冴えない女なのに美男子に言い寄られてます。

ぽぽ

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「蓮介!! 逃げて!!」

そんなことを話している時、突然、女の子の声が響いた。

「うわ! やばい! ユイさんこっち!!」

「え? どういうこと?!」

それに、さっき“蓮介”って——。

声のした方を見ると、最初に一緒にいた萌ちゃんが、必死に伊藤くんの進む反対方向へ腕を引っ張っている。

「いいから! 早く! これは鬼ごっこって言ったじゃん!」

蓮介くんは慌てているみたいだけど、私はわけが分からないまま立ち尽くしてしまう。

……あのまま伊藤くんと合流すればいい話なんじゃないの?

「おい! 蓮介!! ふざけんな!!」

伊藤くんが萌ちゃんの腕を振り払い、蓮介くんの元へ来ると胸ぐらを掴んだ。
その勢いのままぐっと顔を近づける。

「まじでどういうつもり?」

「たまきぃ、そんな怒んないでよ。ちょっと遊んだだけじゃん」

「あ? ちょっと? どこがちょっとだよ。携帯の電源まで切っただろ」

少し息が上がっている。
この人混みの中、探してくれたんだと分かる。

イケメン二人が至近距離で言い合っているせいで、通りすがりの人たちが次々と振り返っていく。

「だから俺なりの遊び心じゃん?」

「遊び心でユイさんのこと振り回すなよ」

「それ、環が言えるセリフじゃ——」

その言葉を言いかけた瞬間、伊藤くんは手のひらで蓮介くんの口を塞いだ。

「蓮介、余計なこと言うな」

「だって俺、妨害するって言ったじゃん。より面白くするために」

何の話かは分からないけど、伊藤くんは本気で怒っている。

そこへ萌ちゃんが二人の間に割って入った。

「環! もういいじゃん! 合流できたんだしさ」

「萌、お前も共犯だからな」

「共犯とか悪く聞こえるからやめてよ」

萌ちゃんは伊藤くんの腕に手を回して抱きつく。

それを目の前で見ると、なんだか複雑な気持ちになる。

萌ちゃんは本当に可愛い。
顔も整っていて、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。

それに比べて私は、全部が出ていて、引き締まっている部分なんて見当たらない。

だから蓮介くんにもからかわれるんだ。

この子と伊藤くんの方がずっとお似合いで、絵になっていて——
だんだん情けない気持ちになってくる。

「ユイさん、蓮介のせいでごめんね。油断してた俺にも非があるけど……」

伊藤くんは申し訳なさそうな顔で萌ちゃんの手をそっと外し、私の方へ来た。

すると、何か思い出したように蓮介くんが声をかける。

「はい、ユイさん」

差し出されたのは、私の携帯。

……そうだった。彼が持っていたんだ。

「あ、そうだった」

「なんで蓮介がユイさんの携帯持ってんの?」

伊藤くんは眉を顰め、蓮介くんを睨みつける。

友達の前だと、伊藤くんは本当にいろんな表情を見せる。
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