25 / 34
25
しおりを挟む「蓮介!! 逃げて!!」
そんなことを話している時、突然、女の子の声が響いた。
「うわ! やばい! ユイさんこっち!!」
「え? どういうこと?!」
それに、さっき“蓮介”って——。
声のした方を見ると、最初に一緒にいた萌ちゃんが、必死に伊藤くんの進む反対方向へ腕を引っ張っている。
「いいから! 早く! これは鬼ごっこって言ったじゃん!」
蓮介くんは慌てているみたいだけど、私はわけが分からないまま立ち尽くしてしまう。
……あのまま伊藤くんと合流すればいい話なんじゃないの?
「おい! 蓮介!! ふざけんな!!」
伊藤くんが萌ちゃんの腕を振り払い、蓮介くんの元へ来ると胸ぐらを掴んだ。
その勢いのままぐっと顔を近づける。
「まじでどういうつもり?」
「たまきぃ、そんな怒んないでよ。ちょっと遊んだだけじゃん」
「あ? ちょっと? どこがちょっとだよ。携帯の電源まで切っただろ」
少し息が上がっている。
この人混みの中、探してくれたんだと分かる。
イケメン二人が至近距離で言い合っているせいで、通りすがりの人たちが次々と振り返っていく。
「だから俺なりの遊び心じゃん?」
「遊び心でユイさんのこと振り回すなよ」
「それ、環が言えるセリフじゃ——」
その言葉を言いかけた瞬間、伊藤くんは手のひらで蓮介くんの口を塞いだ。
「蓮介、余計なこと言うな」
「だって俺、妨害するって言ったじゃん。より面白くするために」
何の話かは分からないけど、伊藤くんは本気で怒っている。
そこへ萌ちゃんが二人の間に割って入った。
「環! もういいじゃん! 合流できたんだしさ」
「萌、お前も共犯だからな」
「共犯とか悪く聞こえるからやめてよ」
萌ちゃんは伊藤くんの腕に手を回して抱きつく。
それを目の前で見ると、なんだか複雑な気持ちになる。
萌ちゃんは本当に可愛い。
顔も整っていて、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。
それに比べて私は、全部が出ていて、引き締まっている部分なんて見当たらない。
だから蓮介くんにもからかわれるんだ。
この子と伊藤くんの方がずっとお似合いで、絵になっていて——
だんだん情けない気持ちになってくる。
「ユイさん、蓮介のせいでごめんね。油断してた俺にも非があるけど……」
伊藤くんは申し訳なさそうな顔で萌ちゃんの手をそっと外し、私の方へ来た。
すると、何か思い出したように蓮介くんが声をかける。
「はい、ユイさん」
差し出されたのは、私の携帯。
……そうだった。彼が持っていたんだ。
「あ、そうだった」
「なんで蓮介がユイさんの携帯持ってんの?」
伊藤くんは眉を顰め、蓮介くんを睨みつける。
友達の前だと、伊藤くんは本当にいろんな表情を見せる。
11
あなたにおすすめの小説
Melty romance 〜甘S彼氏の執着愛〜
yuzu
恋愛
人数合わせで強引に参加させられた合コンに現れたのは、高校生の頃に少しだけ付き合って別れた元カレの佐野充希。適当にその場をやり過ごして帰るつもりだった堀沢真乃は充希に捕まりキスされて……
「オレを好きになるまで離してやんない。」
なぜ私?スパダリCEOに捕獲され推しの秘書になりました
あいすらん
恋愛
落ち込んでいた私が見つけた最高の趣味。
それは完璧スパダリCEOの「声」を集めること。
動画サイトで最高のイケボを見つけた私、倉田ひかりは、声を録音するためだけに烏丸商事の会社説明会へ。
失業中の元ピアノ講師には、お金のかからない最高のレクリエーションだったのに。
「君、採用」
え、なんで!?
そんなつもりじゃなかったと逃げ出したのに、運命は再び私と彼を引き合わせる。
気づけば私は、推しの秘書に。
時短の鬼CEO×寄り道大好き迷子女。
正反対な2人が繰り広げる、イケボに溺れるドタバタラブコメ!
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
好きな人の好きな人
ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。"
初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。
恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。
そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
婚活嫌いのパイロットは約束妻に恋をする
円山ひより
恋愛
湯沢蕗(ユザワ フキ) 28歳
スターブルー・ライト航空株式会社 グランドスタッフ
×
向琉生(ムカイ ルイ) 32歳
スターブルー航空株式会社 副操縦士
「ーーじゃあ、俺と結婚しようか」
さらりと言われた言葉。
躊躇いのないプロポーズが私の心を乱す。
「大切にすると約束する」
指先に落とされた、彼の薄い唇の感触に胸が詰まった。
私は祖母の遺言に則って実家のカフェを守るため、あなたは広報動画出演の影響による数々の迷惑行為対策と縁談よけに。
お互いの利益のための契約結婚。
『――もう十分がんばっているでしょう』
名前も知らない、三年前に偶然出会った男性。
孤独と不安、さみしさ、負の感情に押しつぶされそうになっていた私を救ってくれたーーきっと、訓練生。
あの男性があなたであるはずがないのに。
どうして、同じ言葉を口にするの?
名前を呼ぶ声に。
触れる指先に。
伝わる体温に。
心が壊れそうな音を立てる。
……この想いを、どう表現していいのかわからない。
☆★☆★☆★☆
こちらの作品は他サイト様でも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる