冴えない女なのに美男子に言い寄られてます。

ぽぽ

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「ユイさん」

「は、はい!」

「好きなもの食べて」

「……はい」

やっぱり、嘘は簡単に見破られてしまったらしい。

そりゃそうだよね。
あんな不自然な注文の仕方をしたんだし。

それに、せっかくこんな素敵な場所に連れてきてもらったんだから、ケチケチするのも違う気がする。

私は正直に、最初から気になっていたグラタンを指さした。

「これと、さっきのコーンスープとパンだっけ?」

どれだけ食いしん坊だと思われているのか分からないけど、さすがにデートでそこまでドカ食いはしない。

「いや、コーンスープとパンは大丈夫です……」

「本当? じゃあこれで決まりでいい?」

「うん!」

「他に食べたいものあったら頼んで」

「ありがとう」

環くんが注文してくれて、しばらくすると料理が運ばれてきた。

「うわあ、美味しそう!」

目の前に置かれたグラタンから立ちのぼる香りが、空腹の胃を刺激する。

「じゃあ食べようか」

「うん!」

「いただきます!!」

正直、お腹はかなり空いていた。

目の前のグラタンが宝石みたいに見える。

ひと口食べると、熱々のホワイトソースが広がって、思わず頬が緩んだ。

幸せって、こういうことかもしれない。

ふと顔を上げると、環くんは自分のハンバーグには手をつけず、こちらをじっと見ていた。

……もしかして、グラタン食べたくなったとか?

確かに、かなりいい匂いはしてるけど。

「あの……食べる?」

そう言って、つい彼の方へお皿を差し出す。

すると、環くんは小さく首を横に振った。

その瞬間、自分が“食べかけ”を差し出していたことに気づく。

「ご、ごめん!」

慌ててお皿を引き戻す。

一口しか食べていないとはいえ、嫌な人もいるよね。

なんて無神経なことを……と、じわじわ罪悪感が湧いてくる。

「ユイさんが幸せそうに食べてるところ、見てた」

頬杖をつきながら、柔らかく微笑む。

その姿があまりにも整いすぎていて、雑誌のワンシーンみたいだと思ってしまう。

「あ、あの、えっと……」

「気にしないで食べて」

そう言われても、さっきまでみたいに無邪気には食べられない。

見られていると思うと、どうしても動きがぎこちなくなる。

それでもなんとか食べ終え、店を出ようと立ち上がる。

そのとき、ふと気づく。

……あれ?

また伝票がない。

まさか――

「ん?どうしたの?
行こう?」

伊藤くんは歩き出そうとするけど、私はその場に立ち止まる
伝票がないってことはそういうことだよね??

「お会計ってもしかして…」

「払っちゃった」

「え?!いつ払ったの??」

払っちゃったなんて可愛く言われても、いつ払ったのか全く分からない
今度こそは、私が払うつもりでお財布の中身も大丈夫かどうかこっそり確認していたというのに

「秘密」

人差し指を口元に当てながら、微笑みを浮かべる彼は美しい以外の何者でもなかった

それにしても、一体いつお金を出したんだろう
全然気づかない私が鈍感すぎるのもあるけど…

「ごめんね…お金どれくらいだった?」

「ううん、いらないよ」

「え!だってチケット代も…」

「いらないですよ
行きましょう」

伊藤くんは、私に向かって手を差し伸ばしてくる
私はその手をじっと見つめて戸惑っていると、強引に手を掴まれる

「え?」

「そろそろ、デートぽいことしませんか…」 

デート慣れしてそうなのに、いざ手を繋ぐとなると、指で頬をかきながら、恥ずかしそうに手を伸ばしてくる所はやっぱり可愛い


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