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しおりを挟む「まあ、俺だけのコレクションだから他のやつには見せないよ」
「良かった…」
恭弥はそんな写真をいろんな人に見せびらかすほど酷い人じゃないことはわかっているが、面白半分でみせてしまったということもあるかもしれない。菫はその言葉を聞いて心から安心した。
食事会がはじまって、数時間ほど経つころには菫はビール一本とワインを少しもらっだけで、すっかり酔いがまわり頭を蒴の肩に預けながら、ぼーと正面を見る。
「すーちゃん?大丈夫??」
「んー、大丈夫だけどふわふわする」
「多分、もうちょっとで頭痛くなってくるかもね。水のみな、水」
恭弥はすでにテーブルの上に置かれていた水を菫の前に差し出す。グラスに入った水を飲み込むと、熱った体に渡っていく冷たい水が心地よく眠気を誘う。
「ベッド行く?」
蒴が菫の顔を覗き込みながら問いかけると、恭弥は目を見開いた。
「何いまの。
菫となんかしようとしてんの?」
「黙れ」
2人の会話の意味がわからないまま、菫は蒴の首元に抱きついて、首元へと顔を擦り寄せる。
「菫?大丈夫?」
蒴が耳元で吐息が当たるような距離で囁くため、菫の熱っている顔はさらに熱を増していく。
そんなゆでだこのような顔を蒴に見られたくなくて、さらにきつく抱きついて蒴の胸元に顔を埋める。
「蒴ちゃん、顔熱い」
蒴は両手で菫の顔を挟んだり、首の後ろに手を回して温度を確認してくる。触れられる度に変な声がでそうになって必死に抑えた。
「うん、熱いね
ちゃんと水飲みな」
「…うん」
何だそれだけかと内心ガッカリした。
もっと何かあってもいいのに。
「あ、ごめん
電話きた。」
蒴はスマホを確認すると、突然席を立ち上がったため、肩に預けていた菫の頭が落ちていき、そのまま蒴の座っていた椅子に頭を強打する。
「いたーーい!」
「菫、ごめん、後で」
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