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しおりを挟む蒴は肩を押して体を強引に離すと、菫の横を通り抜けていく。
後ろを振り返ると、そこには淡いピンク色のブラウスに黒のタイトスカートを履いた女性が蒴に肩を抱かれていた。
小柄な女は胸に手を当てながら、高い位置にある蒴の顔を甘えるように見上げている。
「え?誰??」
思わず出てしまった言葉に、女性と蒴が菫の方へと視線を向ける。
菫はその女性の顔をみた途端驚いた。
明るいブラウンの髪に、クリッとした大きな目元、スッと通った鼻筋、透けるように白い肌。少し厚めの唇はぽってりとしていて、ピンク色のグロスが光り、見た目の可愛さの中に色気を混じらせていた。
女性は菫の姿に戸惑いの表情を見せて、蒴と菫の顔を何度か交互に見る。
「菫、突然飛び出したら危ないだろ」
蒴は菫の行動を責めるように目を鋭く細める。
「だ、だって蒴ちゃんが中々帰ってこなくて…で、ずっと待ってて…」
「何?なんか急ぎの用事でもあったの?」
「急ぎの用事とかじゃなくて…!」
「じゃあ何?言わないなら俺たち部屋に戻っちゃうよ?」
俺たち????
俺たちとはどういうことだろうか。その女も一緒に蒴の部屋に行くということだろうか。
菫の顔はスッと青ざめる。
だめだ、そんなの絶対だめだ。蒴は自分と誕生日パーティーを2人きりで祝う予定なんだ。
「だめだよ!!なんで2人で部屋に戻るの?
蒴ちゃんの誕生日だよ??私と2人でお祝いしようよ…」
声を荒げると、蒴は深いため息をついて女性の肩を抱きながら菫の横を通り抜けて自分の部屋へと女を入れる。
「…嫌だ、蒴ちゃん
誰?彼女じゃないよね…私よりその人が大事??」
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