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しおりを挟むなぜか始まった4人での飲み会は進んでいくも、菫は何も話すことなく、ひたすら酒を飲み続けていると、恭弥が横目で菫をみる。
「菫、ペースおかしいじゃん」
「恭弥くんは美香さんと蒴ちゃんと話して楽しんでればいいじゃん
私のことなんか気にしないで」
菫は椅子から降りると恭弥から少し遠ざけて座る。
「そんな冷たくされたら俺寂しいよ?
菫も混ざりたいなら話混ざればいいじゃん」
「話したくないからいい…」
菫は目元に浮かびそうになる涙をグッと堪えて言い放つ。蒴にはこっぴどく振られ、美香には知りたくもない事実を聞かされ、何を話したら良いのかわからない。
恭弥だけは味方で、自分を助けてくれると感じていたのに、この場の空気を読めと目と表情で訴えてくる。
顔を背ける菫の顎を恭弥の手のひらが添えられる。
「菫、俺の言い方キツかった?
ごめんね」
「別に思ってない…」
そう言いつつ、菫が頰を軽く膨らませると恭弥がフッと笑みを浮かべて菫の顔を覗き込む。
菫が恭弥の顔に手を置いて遠ざけようとするも、辞めようとはしない。
「やだ、みないで」
「菫が許してくれるまでやめませーん」
「恭弥くん、小学生みたい
意地悪!」
「うん、俺好きな子に意地悪しちゃうタイプだから」
恭弥がそう言った途端、場がシンと静まった。
菫は恭弥が冗談でそんなことを言っていることはわかっていたが動揺してしまい、フォークが床に落ちてしまった。腰を屈めて拾い上げようとすると、席を立つ音が聞こえた。そして、足跡がこちらに向かって近づいてくる。
蒴の脚が視界に入り込んだため、急いで拾い上げようとしている間に蒴がその場にしゃがみ込み、テーブルの下で蒴と視線があった。
フォークを拾おうとしている手に蒴の手を重ねられる。
「ご、ごめん」
慌てて手を避けようとするも、指を絡めて手を握られた。そして耳元に蒴の顔が近づいていく。
「まさか本気にしてないよね?」
「…何を??」
「恭弥がいまさっき言ったこと」
蒴の顔を見ると、感情の読めない無表情で菫をじっと見つめている。
「なんで、私達恋人同士なのに」
「もうその言葉聞くのも飽きた」
蒴は投げ捨てるようにいい、菫の手を強く握りしめると、手を引いて部屋の外へと連れ出す。
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