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第05話 記憶はまだら模様
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自室であれこれ思案していると部屋の外が騒々しい。きっと扉の向こうで誰かが揉め事でもおこしているのだろう。聞き耳をたてると一人は私の侍女エレナの声ね。
「エレナ、かまわないから通してちょうだい」
「はい、お嬢様。ユリア様です」
誰だっけ?
「おねー様、大丈夫ですか。心配しましたわ!」
キラキラした金髪碧眼の妖精のような少女が胸を張って立っている。私の顔を見ると猫のように駆け込んできて、私のベッドの上に飛び乗ってきた。
「えっと……あなただれ!?」
「お姉さま? 私をお忘れですか? ユリアです。妹のユリアです」
「妹??」
知らないわ。私の記憶が変なのかしら。頭を打ったから? どうしましょう。
エレナにアイコンタクトするとウンウンと頷く。妹で間違いなさそう。
記憶一切なし、こまったよ。
「ごめんなさいユリア……。なぜか思い出せないわ」
「そんなぁ、悲しすぎます」
抱きついて離れない。子猫のようにかわいらしい子。
いい香りだし、すべすべだし。それなりに育ってる胸は柔らかいよ?
な、何を考えてるのわたくしは。
「取り込み中のようだけど、入っても良いかなカーラ」
「お兄様!! どうぞ」
「とても心配したよ、最愛のわが妹。三日も会えないから気が変になるところだったよ」
「またそんなことを……」
ユリアを私から剥ぎ取り、私の手を両手で握ってきくるフランツ兄さん、この人もキラキラした文学青年のようなイケメン。
家族は全員金髪碧眼。私だけがマスタードイエローの髪に濃紺の瞳、当然キラキラは飛んでいない。
キラキラ皆無の私は橋の下で拾われたのだろうか。
ほんと恨めしい。
「フランツ兄さんのことを覚えていて、わたくしはお忘れになっているのね。なんてこと!」
「ユリアごめんね。そのうち思い出すと思うわ」
「ははは、安心したよ。わが心を溶かすことなき永久凍土、堕天使のような尊さ! 私はカーラさえいれば、もう何もいらない!!」
「お兄様、大げさすぎ!」
兄と妹が私との最短距離で争っている。
家族には恵まれてる。
「お嬢様、トリステ様がお見舞いにいらっしゃいましたが、如何いたしましょう」
「エレナ通してあげて」
面倒くさい幼馴染でもある親戚だ。情報通でちょっとずれてる耳年魔。
「あら、カーラ。思ったよりも元気そうね」
「残念でしたトリステ。わたくしピンピンしてるわ」
「そう、よかったわ。それよりもヨトウムシとの婚約解消おめでとう! それから、こちらが本題だけど赤いファントムの姫になったんだってね!!」
「なっ、何よその話」
「王都で一番ホットな話題よ。誰なのかしら赤いファントム?」
なぜかフランツ兄さんが動揺している。そして、トリステに縋りつく。
「むむ、トリステ! 私にとって一大事だ。後でその話の詳細を……頼む私に詳しく教えてくれ」
「私も聞きたいっ。トリステ姉さま」
「フランツ様、ユリア承知しましたわ。そうはいってもカーラ壁紙が姫などになるわけはないけど」
ちょっと待って。噂って言ってたよね。聞き間違いじゃないよね。こういう時は確認、確認よ!
「まって、トリステ。噂って?」
「淫らなあなたの噂よ」
「あぁ、すでに変な噂が拡散してるのね。最悪の事態だわ」
「目立たない貴方のこと心配してたくらいよ。多少の恥などいいじゃない。なんでも、貴方はお姫様抱っこで運ばれたらしいし!」
理解できず口が開いたままの私。トリステは私の肩をグイグイ押してくる。そして覗き込むように顔を近づけまくしたてる。
「男性の腕に抱かれるなんて破廉恥ね。ムフフ。もう、お盛んなんだから!!」
「えっ!」
「そうだ、カーラ! 赤いファンタズマに心当たりないの?」
「ファンタズマ?」
いきなり何の話?
「気分で言い換えただけだし、そこはどうでもいいのよ。ごまかさないで教えて」
「そんなこと言われても……残念ながら該当者はいないのよ。だって、気絶してたのよ。容姿など確認できるわけないわ」
「ふむ、そこは気絶したふりかと思ったけど。しっかり男性の胸に抱かれたのならチラ見くらいしなさいな、ほんと浮かれて夢見る残念な人」
「もう、ほっといて」
胸に抱かれてしまったの。お姫様抱っこで? 恥ずかしくなり赤面だけで終わらず上半身がヒートアップ。
それに噂は拡散済みだなんて。
最悪だわ!
「真っ赤! 面白すぎるわ。抱かれて恋に目覚めたカーラ! 私が初めて見る、まるで乙女の表情。恋など無縁な少女が蕾から花に、あぁ!! 胸まで赤くなる姿っ! 恋は偉大ね。イイ!! 最高よ!!! クククッ」
「トリステは黙る! もう、ユリアてば、興奮してくっつかない。あーっ! 病人だから一人にして!!」
私は恥ずかしがり、トリステは唾を飛ばして喋り、兄はオドオド、妹はうらやましそうだ。たぶん。
とりあえず全員追い出して一人になる。
「エレナ、かまわないから通してちょうだい」
「はい、お嬢様。ユリア様です」
誰だっけ?
「おねー様、大丈夫ですか。心配しましたわ!」
キラキラした金髪碧眼の妖精のような少女が胸を張って立っている。私の顔を見ると猫のように駆け込んできて、私のベッドの上に飛び乗ってきた。
「えっと……あなただれ!?」
「お姉さま? 私をお忘れですか? ユリアです。妹のユリアです」
「妹??」
知らないわ。私の記憶が変なのかしら。頭を打ったから? どうしましょう。
エレナにアイコンタクトするとウンウンと頷く。妹で間違いなさそう。
記憶一切なし、こまったよ。
「ごめんなさいユリア……。なぜか思い出せないわ」
「そんなぁ、悲しすぎます」
抱きついて離れない。子猫のようにかわいらしい子。
いい香りだし、すべすべだし。それなりに育ってる胸は柔らかいよ?
な、何を考えてるのわたくしは。
「取り込み中のようだけど、入っても良いかなカーラ」
「お兄様!! どうぞ」
「とても心配したよ、最愛のわが妹。三日も会えないから気が変になるところだったよ」
「またそんなことを……」
ユリアを私から剥ぎ取り、私の手を両手で握ってきくるフランツ兄さん、この人もキラキラした文学青年のようなイケメン。
家族は全員金髪碧眼。私だけがマスタードイエローの髪に濃紺の瞳、当然キラキラは飛んでいない。
キラキラ皆無の私は橋の下で拾われたのだろうか。
ほんと恨めしい。
「フランツ兄さんのことを覚えていて、わたくしはお忘れになっているのね。なんてこと!」
「ユリアごめんね。そのうち思い出すと思うわ」
「ははは、安心したよ。わが心を溶かすことなき永久凍土、堕天使のような尊さ! 私はカーラさえいれば、もう何もいらない!!」
「お兄様、大げさすぎ!」
兄と妹が私との最短距離で争っている。
家族には恵まれてる。
「お嬢様、トリステ様がお見舞いにいらっしゃいましたが、如何いたしましょう」
「エレナ通してあげて」
面倒くさい幼馴染でもある親戚だ。情報通でちょっとずれてる耳年魔。
「あら、カーラ。思ったよりも元気そうね」
「残念でしたトリステ。わたくしピンピンしてるわ」
「そう、よかったわ。それよりもヨトウムシとの婚約解消おめでとう! それから、こちらが本題だけど赤いファントムの姫になったんだってね!!」
「なっ、何よその話」
「王都で一番ホットな話題よ。誰なのかしら赤いファントム?」
なぜかフランツ兄さんが動揺している。そして、トリステに縋りつく。
「むむ、トリステ! 私にとって一大事だ。後でその話の詳細を……頼む私に詳しく教えてくれ」
「私も聞きたいっ。トリステ姉さま」
「フランツ様、ユリア承知しましたわ。そうはいってもカーラ壁紙が姫などになるわけはないけど」
ちょっと待って。噂って言ってたよね。聞き間違いじゃないよね。こういう時は確認、確認よ!
「まって、トリステ。噂って?」
「淫らなあなたの噂よ」
「あぁ、すでに変な噂が拡散してるのね。最悪の事態だわ」
「目立たない貴方のこと心配してたくらいよ。多少の恥などいいじゃない。なんでも、貴方はお姫様抱っこで運ばれたらしいし!」
理解できず口が開いたままの私。トリステは私の肩をグイグイ押してくる。そして覗き込むように顔を近づけまくしたてる。
「男性の腕に抱かれるなんて破廉恥ね。ムフフ。もう、お盛んなんだから!!」
「えっ!」
「そうだ、カーラ! 赤いファンタズマに心当たりないの?」
「ファンタズマ?」
いきなり何の話?
「気分で言い換えただけだし、そこはどうでもいいのよ。ごまかさないで教えて」
「そんなこと言われても……残念ながら該当者はいないのよ。だって、気絶してたのよ。容姿など確認できるわけないわ」
「ふむ、そこは気絶したふりかと思ったけど。しっかり男性の胸に抱かれたのならチラ見くらいしなさいな、ほんと浮かれて夢見る残念な人」
「もう、ほっといて」
胸に抱かれてしまったの。お姫様抱っこで? 恥ずかしくなり赤面だけで終わらず上半身がヒートアップ。
それに噂は拡散済みだなんて。
最悪だわ!
「真っ赤! 面白すぎるわ。抱かれて恋に目覚めたカーラ! 私が初めて見る、まるで乙女の表情。恋など無縁な少女が蕾から花に、あぁ!! 胸まで赤くなる姿っ! 恋は偉大ね。イイ!! 最高よ!!! クククッ」
「トリステは黙る! もう、ユリアてば、興奮してくっつかない。あーっ! 病人だから一人にして!!」
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