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第18話 聖女はハーレムがお好き
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夜になりベッドでゴロゴロ寝転がってくつろぐ。最近は冒険に行かないときは剣の稽古をしている。父の騎士や組合の女剣士に手合わせしてもらっていて、模擬戦でも勝利することが増えてきた。
稽古をすると半端でない筋肉痛とやる気が出ないほど疲れるので夜はごろ寝していることが多い。
訓練は順調で個人的には体が軽く、剣の操作スピードは速いと褒められることが多い。
この変化、ステージアップのボーナスなんだろうけど不思議よね。
明日以降の活動方針に迷いモザイカに質問して、次の組合活動は忘れられた街道と古代霊廟になった。基本的に一般人は立ち入り禁止地区で、当然であるが危険地帯である。
とりあえず予習していると黒の手帳にメッセージが届く。
何だろうと見てみると殉職通知。
死んだ同業者の書き込み。警告である。
「逃げられそうにない……魔の森に魔王の配下が集結。注意されたし……」
この近くに仲間がいたけど殺害されたってことなの? 魔王もいるのかな。
魔の森は適正じゃないから行かないけど注意は必要ね。
身近に潜む危険、安穏とした生活には戻れない。もう逃げることも避けることもできそうにない。
私は強くならないと。私はなぜか驚きもなく淡々と考える。
翌朝は一番に組合の依頼窓口に並んで順番待ちをしている。暇を持て余していると何やら入り口付近が騒がしい。
振り返ると男性4人に守られた聖職者が入り口に立っている。
私は目を細めて観察すると立ち姿からして女性のようだ。
アルバに藍色のスカラを緩やかに首に巻いている。
近くにいた組合員の男性やスタッフが聖女とつぶやく。
聖女はこの国に3人しかいなかったはず。
私は好奇心を隠せず、めったにお目にかかれない聖女のことを目で追ってしまう。妙に姿勢がよく無駄のない仕草は美しく、お供を連れて階上の部屋に消えていった。
組合上層部と打ち合わせでもするのかもしれない。
お供の一人が階段の手前に立ち私をじっと見ている。
私に注目するなんて珍しいわ。
「姫様、あの人たち強いです」
「聖女様と取り巻きの男性達のこと?」
「うん、この間のお兄ちゃんより、かなり弱いけど」
「はて、誰のことだろう。まあ気にしても私とは無縁の人だしね。細かいことは気にしないのよ」
私か首をかしげながら逆ハーなのねと笑いをこらえる。
聖女の趣味や嗜好をとやかく言うつもりはないけれど、なんとなく面白くて気になってしまう。
私とフランス人形が話していると聖女が下りてきた。なんとなく一瞬見つめられた気がするけど、何事もなく私の後ろを通り過ぎていく。
安心して会話を続けようとしたときに事件は起きる。
聖女のさらに奥にいたローブをかぶった男が聖女に向けて魔法を放つ。
「仲間の仇だ思い知れ!」
聖女は防御姿勢をとりながら回避して、取り巻きたちが盾になる。素早く見事なまでの連携だった。
聖女の回避により私に魔法が飛んできている。動けない!
死んだと思い目を瞑ったのだが……。
「あれ? 死んでない」
私の身体は青く発光して傷は負っておらず、胸にはアミュレットが強く輝いていた。光に呼応するように辺りは水しぶきと霧に覆われていく。
これ、ブルータル=チューガの守護!
飛沫や霧はアミュレットの輝きが弱まると消えていった。
エリシャが汚い氷像を引きずってくる。
「姫様、不審者を捕まえたよ」
スキリアがローブの男を氷漬けにしていた。生きているのよね。
「殺してないよね」
「最小の魔力だから凍りついているだけ。スキリアが言ってるよ。このままだと凍死するかも」
「どうしましょ」
私が迷っていると聖女が語りかけてきた。
「問題ありません。私が連行していきますね。それよりも、精霊の守護を受けていますね?」
「いえいえ、アミュレットが光るだけです。何でもないですわ」
「そうですか、私には魔法を打ち消したように。何かに守られているようですが?」
「祖先のおかげかもしれません……」
かなり苦しいぞ、この言い訳。聖女の目は笑ってないし、どうなるのか。
ていうか、妖精の加護じゃなかったの。精霊って?
「あ! 妖精と精霊って別物?」
聖女が笑った。
「精霊はエバートの生きていた時代以降、現れていませんわ。エレーンプロックス嬢」
「あ、ばれてた」
私も苦笑いして誤魔化す。
フランス人形の機転で衛兵が現れたため、有耶無耶になったが危ないところであった。
こっそりと帰りましょ。そそくさと退散していると聖女に声を掛けられる。
「私はハリエット。またお会いしましょう。カーラ様」
私は会釈して、その場を逃げるように立ち去った。
聖女ハリエットは要注意人物だ。
稽古をすると半端でない筋肉痛とやる気が出ないほど疲れるので夜はごろ寝していることが多い。
訓練は順調で個人的には体が軽く、剣の操作スピードは速いと褒められることが多い。
この変化、ステージアップのボーナスなんだろうけど不思議よね。
明日以降の活動方針に迷いモザイカに質問して、次の組合活動は忘れられた街道と古代霊廟になった。基本的に一般人は立ち入り禁止地区で、当然であるが危険地帯である。
とりあえず予習していると黒の手帳にメッセージが届く。
何だろうと見てみると殉職通知。
死んだ同業者の書き込み。警告である。
「逃げられそうにない……魔の森に魔王の配下が集結。注意されたし……」
この近くに仲間がいたけど殺害されたってことなの? 魔王もいるのかな。
魔の森は適正じゃないから行かないけど注意は必要ね。
身近に潜む危険、安穏とした生活には戻れない。もう逃げることも避けることもできそうにない。
私は強くならないと。私はなぜか驚きもなく淡々と考える。
翌朝は一番に組合の依頼窓口に並んで順番待ちをしている。暇を持て余していると何やら入り口付近が騒がしい。
振り返ると男性4人に守られた聖職者が入り口に立っている。
私は目を細めて観察すると立ち姿からして女性のようだ。
アルバに藍色のスカラを緩やかに首に巻いている。
近くにいた組合員の男性やスタッフが聖女とつぶやく。
聖女はこの国に3人しかいなかったはず。
私は好奇心を隠せず、めったにお目にかかれない聖女のことを目で追ってしまう。妙に姿勢がよく無駄のない仕草は美しく、お供を連れて階上の部屋に消えていった。
組合上層部と打ち合わせでもするのかもしれない。
お供の一人が階段の手前に立ち私をじっと見ている。
私に注目するなんて珍しいわ。
「姫様、あの人たち強いです」
「聖女様と取り巻きの男性達のこと?」
「うん、この間のお兄ちゃんより、かなり弱いけど」
「はて、誰のことだろう。まあ気にしても私とは無縁の人だしね。細かいことは気にしないのよ」
私か首をかしげながら逆ハーなのねと笑いをこらえる。
聖女の趣味や嗜好をとやかく言うつもりはないけれど、なんとなく面白くて気になってしまう。
私とフランス人形が話していると聖女が下りてきた。なんとなく一瞬見つめられた気がするけど、何事もなく私の後ろを通り過ぎていく。
安心して会話を続けようとしたときに事件は起きる。
聖女のさらに奥にいたローブをかぶった男が聖女に向けて魔法を放つ。
「仲間の仇だ思い知れ!」
聖女は防御姿勢をとりながら回避して、取り巻きたちが盾になる。素早く見事なまでの連携だった。
聖女の回避により私に魔法が飛んできている。動けない!
死んだと思い目を瞑ったのだが……。
「あれ? 死んでない」
私の身体は青く発光して傷は負っておらず、胸にはアミュレットが強く輝いていた。光に呼応するように辺りは水しぶきと霧に覆われていく。
これ、ブルータル=チューガの守護!
飛沫や霧はアミュレットの輝きが弱まると消えていった。
エリシャが汚い氷像を引きずってくる。
「姫様、不審者を捕まえたよ」
スキリアがローブの男を氷漬けにしていた。生きているのよね。
「殺してないよね」
「最小の魔力だから凍りついているだけ。スキリアが言ってるよ。このままだと凍死するかも」
「どうしましょ」
私が迷っていると聖女が語りかけてきた。
「問題ありません。私が連行していきますね。それよりも、精霊の守護を受けていますね?」
「いえいえ、アミュレットが光るだけです。何でもないですわ」
「そうですか、私には魔法を打ち消したように。何かに守られているようですが?」
「祖先のおかげかもしれません……」
かなり苦しいぞ、この言い訳。聖女の目は笑ってないし、どうなるのか。
ていうか、妖精の加護じゃなかったの。精霊って?
「あ! 妖精と精霊って別物?」
聖女が笑った。
「精霊はエバートの生きていた時代以降、現れていませんわ。エレーンプロックス嬢」
「あ、ばれてた」
私も苦笑いして誤魔化す。
フランス人形の機転で衛兵が現れたため、有耶無耶になったが危ないところであった。
こっそりと帰りましょ。そそくさと退散していると聖女に声を掛けられる。
「私はハリエット。またお会いしましょう。カーラ様」
私は会釈して、その場を逃げるように立ち去った。
聖女ハリエットは要注意人物だ。
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