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第41話 四人の守護勇者
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私は屋敷に戻っすぐメトリックに身体の変化や魔力の増加、新たにスキルを得たことを説明した。最初は激変した容姿を訝しげにしていたメトリックも自ら進んで私の状態を確認してくれることになり、こうして組合の訓練場を貸し切っている。
訓練場は組合の内部にある結界で覆われた闘技場としても機能している。
早速、メトリックの確認が始まった。
「お嬢様、魔法の身体強化を無意識に使われていますから解いてください」
「構えただけでわかる物なの?」
「それが把握できないようでは戦場を生き残ることは難しい。意識しなければ身につかないことです」
「身体強化、実感がないし意識してかけてないから解除なんて……」
「であれば、魔法を発動するときに魔力がどこに流れるか意識できますか?」
どこだろう、指先? 掌かな。
「意識してないけど、指先か掌のような」
「魔力の流れをつかんで、通しやすいところから逃がしてください。今できなくてもかまいません」
「わかったわ、素振りの後に時間を作り取り入れてみる」
メトリックは訓練場の中心位置に立ち、私に打ち込むように指示した。いつもの稽古の型を順番に試してみた。やはり、昔に比べて制御が甘い。大雑把に感じる。
「リーチが変わったので、間合いから直しましょう。そして、筋力が上がり左手が右手に負けています。意識してバランスを修正するしかないですね」
「教本に書いていた方法でいいのよね?」
「試して上手くいかないときに相談してください」
結構厳しい指導なのよね。アレコレ細かくないのが救いだけど。
延々と組打ちした後でA級組合員を相手に模擬戦したりした。驚いたことにA級では私の相手にならなくなっていた。
メトリックが言うには基礎を積み上げてきた成果だそうだ。
手品のようで実感はない。
最後にスキル評価になったのだが、魔法障壁が壊れてしまい訓練場では確認が無理だった。スキル威力を目の当たりにして、ますます怖くなってきた。呪いがいかに強力であったのかを今更ながら知ることになる。
課題は山積みだけど一番の問題は、とにかく人に見られる。
認識阻害が剥がれたことで、諸々もろもろの耐性がなく愛敬を振りまく余裕がない。
まるで、悪役令嬢のようにお高くとまって見えるだろう。
今までのダラダラ生活が恋しくもある。
獣騎士の二人はといえば、フレデリック様は魔力が流れるようになり制御不能、裏山を焼きかけて父伯に矯正してもらっていると手紙が来た。しばらくの間、再会は難しいだろう。一方のオスカー君は封印の指輪が不調で、領地に一度戻り調整をしてくると言い残して帰郷してしまった。
両名とも私の呪い解除に影響を受けて戦力にならない。
スッキリしない展開が続く。
双子は私の影響を受けないようで、いつもと変わらない。ただし、私がステータスアップの補助魔法を唱えると効果範囲に居れば驚くほど能力アップすることが判明した。
ゲームで言うところのバフだ。
デバフもあるので試したいところだが相手がいない。
黙々と隠匿魔法の修行をしてビエレッテに見つからないように行動する訓練は成果を上げていた。ただ、ユリアを撒くことは今も難しい。もう諦めるしかないと思っている。
恒例の部屋でゴロゴロしているとモザイカからメッセージが届いた。クルート関連なので呼び出して確認する。
「モザイカ、何があったの?」
「はい主様、クルートがドラゲアの集結するナーヴァル砦を奇襲するようです。死の森に布陣されてしまうと攻略が難しく、集結点の砦を襲う構想のようです」
「それで、クルートが総動員の招集をかけてるのね?」
「はい」
一緒に行動してドラゲアを叩いた後でクルート潰しかな。ちょっと姑息な作戦よね。
でも、クルートに後ろから刺されて死ぬのも嫌だし。
「どうすればいいのかしら。罠のような気もするけど」
「それを承知の上で申し上げます。今こそドラゲアの魔王達を討つには絶好のタイミングです」
「魔王って複数いたのね。クルートの使途って何人かわかるかしら」
「黒の手帳が情報操作されていなければ一名です」
そういえば、聖女ハリエットの予言……推測では死の森で会うって言ってたから、行かないって選択肢はないわね。まって、聖女も動くって話じゃない。
「聖女とか教会の動きはわかるかな?」
「主様の守護勇者に任せればいいのではないでしょうか?」
「えっ?」
私の知らないうちに守護勇者は総勢4名になっていたらしい。モザイカは私が気づいていると思っていたようで、連絡しなかったらしい。私はそんなに優秀じゃないから。
まあ、今更ぶつぶつ文句を言っても意味はない。
相変わらず思い込みが激しいようだ。
守護勇者で諜報担当は組合フランス人形のドロシー。この時はじめて名前を知ったのだけど。クルートじゃなくて守護勇者とは思わなかったよ。もう一人は私の身辺警護を担当しているらしい。本人の希望で顔バレは勘弁してほしいということで詮索しないことにした。
役割分担は双子が戦闘員、他二名が内務担当らしい。守護勇者はもう一人加わる予定だとか。
その時になればわかると曖昧な回答だった。
精霊相手は根気が必要……。
守護勇者の構成はエバートとは人数や役割が異なっている。
とりあえず、組合に行ってドロシーを捕まえて、聖女の動向を調べてもらうことにした。ちなみに、ドロシーは調査とか潜入のエキスパートで戦闘は最低限と本人は言っていた。どうみても、双子と変わらない身のこなしだけど。
あと、もう一人の守護勇者は身辺警護と暗殺が得意だとか。屋敷に侵入しようとしたドラゲアを完全排除しているらしい。それってエージェントで、もう勇者じゃないでしょう。
ドロシーの調査報告はその日の夕方に届けられた。早速、行動方針を決めるためモザイカに相談する。
「モザイカ、聖女は死の森側でドラゲアの敗走したものを処分するようね。私たちはどうすれば?」
「クルートの後方から悟られないように追従、戦局を見て聖女たちに加勢がいいかと」
「クルートは全滅してもいいということね?」
「使途は簡単に死にません。魔王と一騎打ちで敗れる可能性はあります。ただ、今まで生存していることから一対一であれば使徒有利でしょう」
「様子見するのは私の今までのスタイルだから、うまく相打ちになるように動くわ」
とりあえず、行動指針は決まったのだから死の森に行きましょう。
なるべく、背後でこっそり見てるけど。
訓練場は組合の内部にある結界で覆われた闘技場としても機能している。
早速、メトリックの確認が始まった。
「お嬢様、魔法の身体強化を無意識に使われていますから解いてください」
「構えただけでわかる物なの?」
「それが把握できないようでは戦場を生き残ることは難しい。意識しなければ身につかないことです」
「身体強化、実感がないし意識してかけてないから解除なんて……」
「であれば、魔法を発動するときに魔力がどこに流れるか意識できますか?」
どこだろう、指先? 掌かな。
「意識してないけど、指先か掌のような」
「魔力の流れをつかんで、通しやすいところから逃がしてください。今できなくてもかまいません」
「わかったわ、素振りの後に時間を作り取り入れてみる」
メトリックは訓練場の中心位置に立ち、私に打ち込むように指示した。いつもの稽古の型を順番に試してみた。やはり、昔に比べて制御が甘い。大雑把に感じる。
「リーチが変わったので、間合いから直しましょう。そして、筋力が上がり左手が右手に負けています。意識してバランスを修正するしかないですね」
「教本に書いていた方法でいいのよね?」
「試して上手くいかないときに相談してください」
結構厳しい指導なのよね。アレコレ細かくないのが救いだけど。
延々と組打ちした後でA級組合員を相手に模擬戦したりした。驚いたことにA級では私の相手にならなくなっていた。
メトリックが言うには基礎を積み上げてきた成果だそうだ。
手品のようで実感はない。
最後にスキル評価になったのだが、魔法障壁が壊れてしまい訓練場では確認が無理だった。スキル威力を目の当たりにして、ますます怖くなってきた。呪いがいかに強力であったのかを今更ながら知ることになる。
課題は山積みだけど一番の問題は、とにかく人に見られる。
認識阻害が剥がれたことで、諸々もろもろの耐性がなく愛敬を振りまく余裕がない。
まるで、悪役令嬢のようにお高くとまって見えるだろう。
今までのダラダラ生活が恋しくもある。
獣騎士の二人はといえば、フレデリック様は魔力が流れるようになり制御不能、裏山を焼きかけて父伯に矯正してもらっていると手紙が来た。しばらくの間、再会は難しいだろう。一方のオスカー君は封印の指輪が不調で、領地に一度戻り調整をしてくると言い残して帰郷してしまった。
両名とも私の呪い解除に影響を受けて戦力にならない。
スッキリしない展開が続く。
双子は私の影響を受けないようで、いつもと変わらない。ただし、私がステータスアップの補助魔法を唱えると効果範囲に居れば驚くほど能力アップすることが判明した。
ゲームで言うところのバフだ。
デバフもあるので試したいところだが相手がいない。
黙々と隠匿魔法の修行をしてビエレッテに見つからないように行動する訓練は成果を上げていた。ただ、ユリアを撒くことは今も難しい。もう諦めるしかないと思っている。
恒例の部屋でゴロゴロしているとモザイカからメッセージが届いた。クルート関連なので呼び出して確認する。
「モザイカ、何があったの?」
「はい主様、クルートがドラゲアの集結するナーヴァル砦を奇襲するようです。死の森に布陣されてしまうと攻略が難しく、集結点の砦を襲う構想のようです」
「それで、クルートが総動員の招集をかけてるのね?」
「はい」
一緒に行動してドラゲアを叩いた後でクルート潰しかな。ちょっと姑息な作戦よね。
でも、クルートに後ろから刺されて死ぬのも嫌だし。
「どうすればいいのかしら。罠のような気もするけど」
「それを承知の上で申し上げます。今こそドラゲアの魔王達を討つには絶好のタイミングです」
「魔王って複数いたのね。クルートの使途って何人かわかるかしら」
「黒の手帳が情報操作されていなければ一名です」
そういえば、聖女ハリエットの予言……推測では死の森で会うって言ってたから、行かないって選択肢はないわね。まって、聖女も動くって話じゃない。
「聖女とか教会の動きはわかるかな?」
「主様の守護勇者に任せればいいのではないでしょうか?」
「えっ?」
私の知らないうちに守護勇者は総勢4名になっていたらしい。モザイカは私が気づいていると思っていたようで、連絡しなかったらしい。私はそんなに優秀じゃないから。
まあ、今更ぶつぶつ文句を言っても意味はない。
相変わらず思い込みが激しいようだ。
守護勇者で諜報担当は組合フランス人形のドロシー。この時はじめて名前を知ったのだけど。クルートじゃなくて守護勇者とは思わなかったよ。もう一人は私の身辺警護を担当しているらしい。本人の希望で顔バレは勘弁してほしいということで詮索しないことにした。
役割分担は双子が戦闘員、他二名が内務担当らしい。守護勇者はもう一人加わる予定だとか。
その時になればわかると曖昧な回答だった。
精霊相手は根気が必要……。
守護勇者の構成はエバートとは人数や役割が異なっている。
とりあえず、組合に行ってドロシーを捕まえて、聖女の動向を調べてもらうことにした。ちなみに、ドロシーは調査とか潜入のエキスパートで戦闘は最低限と本人は言っていた。どうみても、双子と変わらない身のこなしだけど。
あと、もう一人の守護勇者は身辺警護と暗殺が得意だとか。屋敷に侵入しようとしたドラゲアを完全排除しているらしい。それってエージェントで、もう勇者じゃないでしょう。
ドロシーの調査報告はその日の夕方に届けられた。早速、行動方針を決めるためモザイカに相談する。
「モザイカ、聖女は死の森側でドラゲアの敗走したものを処分するようね。私たちはどうすれば?」
「クルートの後方から悟られないように追従、戦局を見て聖女たちに加勢がいいかと」
「クルートは全滅してもいいということね?」
「使途は簡単に死にません。魔王と一騎打ちで敗れる可能性はあります。ただ、今まで生存していることから一対一であれば使徒有利でしょう」
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