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第42話 使徒と魔王
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魔王討伐を目標としてドラゲアの集結場所とされるナーヴァル砦を目指して移動している。今回は敵が入り乱れているため、公共交通機関と思われる乗合馬車で移動することになった。メンバーはエリシャ、スキリア、ドロシーにビエレッテだ。マスコット枠のソフィーと水龍も参加している。
乗合と名のつく馬車ではあるが乗客は少なく、我々の他には怪しい女が一名だけ乗っていた。
守護勇者が女を取り囲んでいるが、女は景色に見とれて反応はない。
さて知り合いに声を掛けますか。
「メフューザス様、御機嫌よう!」
「うげ! 誰だっけ?」
「カーラだけど」
「いつ気づいたんだ。変装……いや、忍法、七変化は完ぺきなはず。腕を上げたなカーラ!」
「見かけは誤魔化せても転生者丸出しの衣装は駄目でしょう」
「はっ!?」
白の貫頭衣の胸元に手書きで忍者が描いてある。異世界から来たものなら誰でも知っているキャラだ。
違和感の正体が何かと観察していると、今日は変装しているからなのか飛び跳ねていない。
おとなしくしていれば綺麗なのに残念過ぎる人。
「そういえば、カーラ! あんたも忍法 七変化をマスターしたのか? 綺麗に化けてるな」
「そんなわけないでしょう! ところで、どちらに向かわれているのでしょう?」
「ナーヴァル砦に集合がかかってるけど、ボクは死の森の陰から観戦予定だよ」
「観戦というと戦争があるの?」
「よく知ってるな。クルートとの総力戦だ」
情報が駄々洩れなんですけど。
この人も頭のネジが何本かねじ切れ、脱落してしまった人なのね。
まあいいわ。
「死の森ってどこまで行くの?」
「森に入ってしまうと危険だから手前の岩場で観戦さ! 点呼だけ受けてとんずら、ボクは頭いいからね」
「そう……」
呆れたけれど今のところ無害ね。
その後、私たちは死の森近くで馬車から降りて徒歩で目的地に向かうことにした。メフューザスは爆睡していて、そのまま目覚めることなく先に行ってしまった。殺すまでもないので放置したのだ。
観戦どころか、よだれ垂らして終点まで行ってしまいそうで思いっきり笑ってしまった。
そして、メフューザスがこっそり観戦するはずだった岩場を我々は確保した。ドロシーが最適な場所を見つけて、カモフラージュしてくれる。守護勇者は役に立つ。ほんとに。
私の予想ではもう一人の守護勇者も隠密行動してると思う。
「ドロシー適当に情報収集してくれないかしら。戦闘開始前に戻ってほしいけど」
「姫様! メフューザスに化けて砦に潜入します。そのあとは顔を変えクルートに」
「あなたまで姫様呼びしなくてもいいのに」
「守護勇者の結束のためなのです! ……を建前にあとはお愉しみ」
最後に小声で何か付け加えたけど、何も聞かなかったことにしよう。
監視すること二日、ナーヴァル砦に怪人達がワラワラと集合していた。統制は採れておらず、数だけ多い烏合の衆。もう一方のクルートは間抜けなのか私たちの居る岩場の下に集結している。この情報はドロシーが偵察して判明したことだ。
ナーヴァル砦は、数百年は放置されていたのではと思うような廃棄された砦だった。外壁は炎に焼かれた後の汚れや、崩壊した壁や石段など砦としては機能していない。そんな状態なのにドラゲアは補修もせずに適当に寝泊まりしている。
フリーダム過ぎるよ。
一方のクルートは綺麗に隊列を組んで陣形を維持したままで待機している。ただ選民思想が強そうで、ギスギスした雰囲気を醸し出している。私はどちらも馴染まないわ。
聖女や教会はどこに居るのだろう。ドロシー案件ね。
戦闘が開始されるのが明日の夜明けとクルート情報を持ち帰ったドロシーに、私は教会の行動を偵察に行ってもらう。ちょっと過酷な指示だったけど、喜んで偵察に出かけて行った。
ドロシーはとても朗らかで華があり諜報員とは思えない。
本人が言うには影の者と正反対、あり得ないほど明るければ疑われないと。そんな説明を聞き、当分帰ってこないと思いダラダラしているとドロシーが速攻で帰って来た。教会関係者は死の森に陣を張っているそうで聖女二人に聖女見習いが8人、ビショップとか僧兵が数十人いるらしい。
死の森で陣を構えるということは魔物など敵ではないということ。
精鋭ぞろいなのだろう。
日付は変わり朝日が顔を出した時、クルートの陣にドラゲアの魔王二名が奇襲を仕掛けてきた。編成中だったクルート軍は慌てている。魔王は私が今まで倒したような間抜けでは無いようだ。一人の魔王は辺りを凍らせながら雑魚敵を葬っている。
「我は餓鬼の焔ドラゲアの魔王! 風雪蟲カリアドロウアー・ウインターなり!!」
名乗りを上げて敵将を挑発している。
風説蟲ってなんだろう? いやいや、そこが問題ではなく、信じられないくらい容姿が普通だ……。
見た目は普通の中年男性、特徴がないのが特徴の人だった。もう一人は名乗りも上げず高笑いしながら無双している。ドラゲアの魔王らしいイカれた人物。
ところで、クルート陣営は何をしているの?
使徒はどこいったのよ。
不信に思っていると気難し気な女の声がする。
「神の石鎚! 名乗らぬ無礼な魔王よ。受けてみなさい!」
石鎚のはずなのにメテオが落ちてくる。怖いよ。
名乗らぬ魔王はあっけなく蒸発した。
「やっと出てきたか、そんな石など俺には効かぬ!! ハハハ!」
「使徒エイテイア・ピスミネストがお相手するわ! 哀れな虫けらなど踏みつぶしてあげる!!」
羽根が生えてるよ使徒エイテイア、それに空を飛んでるし。あれを倒さないといけないの。
見た目は天使でも顔は笑ってない。魔王など下等生物と見下す目だ。
魔王と使徒が眼下で死闘を繰り広げている。部下などゴミみたいに蒸発する。
ブリザードとライトニングが飛び交い。剣を交えては範囲魔法を打ち合う。ひたすら力業だ。
そんな中、砦から怪光線が飛来する。
確かもう一人魔王がいたはず。遠距離攻撃のようね。
なぜ出てこないのかしら?
乗合と名のつく馬車ではあるが乗客は少なく、我々の他には怪しい女が一名だけ乗っていた。
守護勇者が女を取り囲んでいるが、女は景色に見とれて反応はない。
さて知り合いに声を掛けますか。
「メフューザス様、御機嫌よう!」
「うげ! 誰だっけ?」
「カーラだけど」
「いつ気づいたんだ。変装……いや、忍法、七変化は完ぺきなはず。腕を上げたなカーラ!」
「見かけは誤魔化せても転生者丸出しの衣装は駄目でしょう」
「はっ!?」
白の貫頭衣の胸元に手書きで忍者が描いてある。異世界から来たものなら誰でも知っているキャラだ。
違和感の正体が何かと観察していると、今日は変装しているからなのか飛び跳ねていない。
おとなしくしていれば綺麗なのに残念過ぎる人。
「そういえば、カーラ! あんたも忍法 七変化をマスターしたのか? 綺麗に化けてるな」
「そんなわけないでしょう! ところで、どちらに向かわれているのでしょう?」
「ナーヴァル砦に集合がかかってるけど、ボクは死の森の陰から観戦予定だよ」
「観戦というと戦争があるの?」
「よく知ってるな。クルートとの総力戦だ」
情報が駄々洩れなんですけど。
この人も頭のネジが何本かねじ切れ、脱落してしまった人なのね。
まあいいわ。
「死の森ってどこまで行くの?」
「森に入ってしまうと危険だから手前の岩場で観戦さ! 点呼だけ受けてとんずら、ボクは頭いいからね」
「そう……」
呆れたけれど今のところ無害ね。
その後、私たちは死の森近くで馬車から降りて徒歩で目的地に向かうことにした。メフューザスは爆睡していて、そのまま目覚めることなく先に行ってしまった。殺すまでもないので放置したのだ。
観戦どころか、よだれ垂らして終点まで行ってしまいそうで思いっきり笑ってしまった。
そして、メフューザスがこっそり観戦するはずだった岩場を我々は確保した。ドロシーが最適な場所を見つけて、カモフラージュしてくれる。守護勇者は役に立つ。ほんとに。
私の予想ではもう一人の守護勇者も隠密行動してると思う。
「ドロシー適当に情報収集してくれないかしら。戦闘開始前に戻ってほしいけど」
「姫様! メフューザスに化けて砦に潜入します。そのあとは顔を変えクルートに」
「あなたまで姫様呼びしなくてもいいのに」
「守護勇者の結束のためなのです! ……を建前にあとはお愉しみ」
最後に小声で何か付け加えたけど、何も聞かなかったことにしよう。
監視すること二日、ナーヴァル砦に怪人達がワラワラと集合していた。統制は採れておらず、数だけ多い烏合の衆。もう一方のクルートは間抜けなのか私たちの居る岩場の下に集結している。この情報はドロシーが偵察して判明したことだ。
ナーヴァル砦は、数百年は放置されていたのではと思うような廃棄された砦だった。外壁は炎に焼かれた後の汚れや、崩壊した壁や石段など砦としては機能していない。そんな状態なのにドラゲアは補修もせずに適当に寝泊まりしている。
フリーダム過ぎるよ。
一方のクルートは綺麗に隊列を組んで陣形を維持したままで待機している。ただ選民思想が強そうで、ギスギスした雰囲気を醸し出している。私はどちらも馴染まないわ。
聖女や教会はどこに居るのだろう。ドロシー案件ね。
戦闘が開始されるのが明日の夜明けとクルート情報を持ち帰ったドロシーに、私は教会の行動を偵察に行ってもらう。ちょっと過酷な指示だったけど、喜んで偵察に出かけて行った。
ドロシーはとても朗らかで華があり諜報員とは思えない。
本人が言うには影の者と正反対、あり得ないほど明るければ疑われないと。そんな説明を聞き、当分帰ってこないと思いダラダラしているとドロシーが速攻で帰って来た。教会関係者は死の森に陣を張っているそうで聖女二人に聖女見習いが8人、ビショップとか僧兵が数十人いるらしい。
死の森で陣を構えるということは魔物など敵ではないということ。
精鋭ぞろいなのだろう。
日付は変わり朝日が顔を出した時、クルートの陣にドラゲアの魔王二名が奇襲を仕掛けてきた。編成中だったクルート軍は慌てている。魔王は私が今まで倒したような間抜けでは無いようだ。一人の魔王は辺りを凍らせながら雑魚敵を葬っている。
「我は餓鬼の焔ドラゲアの魔王! 風雪蟲カリアドロウアー・ウインターなり!!」
名乗りを上げて敵将を挑発している。
風説蟲ってなんだろう? いやいや、そこが問題ではなく、信じられないくらい容姿が普通だ……。
見た目は普通の中年男性、特徴がないのが特徴の人だった。もう一人は名乗りも上げず高笑いしながら無双している。ドラゲアの魔王らしいイカれた人物。
ところで、クルート陣営は何をしているの?
使徒はどこいったのよ。
不信に思っていると気難し気な女の声がする。
「神の石鎚! 名乗らぬ無礼な魔王よ。受けてみなさい!」
石鎚のはずなのにメテオが落ちてくる。怖いよ。
名乗らぬ魔王はあっけなく蒸発した。
「やっと出てきたか、そんな石など俺には効かぬ!! ハハハ!」
「使徒エイテイア・ピスミネストがお相手するわ! 哀れな虫けらなど踏みつぶしてあげる!!」
羽根が生えてるよ使徒エイテイア、それに空を飛んでるし。あれを倒さないといけないの。
見た目は天使でも顔は笑ってない。魔王など下等生物と見下す目だ。
魔王と使徒が眼下で死闘を繰り広げている。部下などゴミみたいに蒸発する。
ブリザードとライトニングが飛び交い。剣を交えては範囲魔法を打ち合う。ひたすら力業だ。
そんな中、砦から怪光線が飛来する。
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