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第13話 影に憑依された?
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空洞に落下して姿勢を正そうとした瞬間、いきなり水中に落下した。鼻や口から水が入り息を止める。下水かと思ったが臭くない。でも浮上しなければ。方向感覚がなくなって、どっちが上かわからない。そうだ、力を抜くと浮かぶはず。
正解、今ゆっくりと浮上している。
私は水面に顔を出し照明魔法を唱える。天井は高くて、かなり下層に落とされたようだ。右手側には煉瓦でできた壁があり、左手には石段が見える。私は迷いなく左側に向かって泳ぎだす。
後ろに何かいる。水は渦を巻いて波が照らしだされる。
水生の魔物かもしれない。
魔物は光を嫌うのか近づいてこないようだ。しかし、いつ気が変わるかわからない。私は全力で泳ぎだす。魔物は左右に位置を変えてついてくる。もう嫌だ。死ぬ気で泳いでいると石段がすぐそこに迫っていた。私は渾身の力を振り絞って石段の上に這い上がった。
背後を見ると魔物が私を見つめている。
魚のような生物。
私は後ろに下がって距離をとる。魔物は陸に上がれないようで水面近くを泳いだり、ジャンプしたりして落ち着きがない。私と行動パターンが似ているから何を仕出かすかわからない。
とりあえずもっと距離を置こう。
魔物から離れて追ってこないのを確認してから、下級の治療魔法で足の応急処置をした。負荷をかけるなど無理をしなければ行動に制限はない。しかし、ここはどこだろう。地下にこんな場所があるなんて、少なくとも郷土史を思い起こしても該当施設はない。
放心状態で休憩していると現実逃避していたようだ。この場所は地下壕なのだろうか、それとも地下納骨堂なのだろうか。水場の存在から考えると地下壕ではなさそうだけど、探索しないと何もわからない。
まずは水場の反対方向に向かうことにした。
しばらく歩いていると所々に鉄格子の入った部屋がある。中を照らすと壁一面に穴が開いていて棺桶が突っ込んである。間違いなく墓地。それも古そうで何世紀か前の納骨堂だろう。だって、アンデッド除けの魔術式か書き込まれた鉄格子があるから。
まだ死者が生ける屍になる時代の墓地。
危険極まりない。
聖水を作る授業を受けたはずだが、まったく記憶に残ってない。もしも何か出たらどうしよう。レイスとかグールとかスケルトンにリッチ、そのあたりがお出ましになると失神しそうだ。しかし、古代の魔物など、どうでもいいことは良く覚えている。
真っすぐ進んでいると霊廟の様な怪しい構築物が現れた。しげしげと眺めていると対になった鎖付きの鉄輪がぶら下がっている。あれを引っ張ったらこの施設が崩壊するか、霊廟の主が登場するパターンだろう。八方塞がりだから試してみたいような。
悩んだ末に結論は先送りすることにしたのだが、探索を続けても目ぼしいものは他になかった。霊廟に戻り、二つの鉄輪を手に取り覚悟を決めて引っ張った。何かが壊れた音がする。
古代魔道具が発動してしまったに違いない。
不自然に拡散する鈴の音が遠くから聞こえてくる。それとは別に私の足元に黒い影が広がり魔法照明が揺れ動く。私の影は悪魔のような角があり、両手剣ほどある大剣を片手で握り、逆手には盾のようなものを掲げているように見える。
黒く大きな影はみるみるうちに更に大きくなり、左手に明るく輝く緑色の宝石のブレスレットがはまってっている。私に注意を向けているようで、何者なのかわからないが悪意は感じられない。それは、例えるなら純粋無垢な子供の好奇心のように感じられた。
何処からともなく子供の笑い声が聞こえてくる。狂ってしまったのか、狂う寸前なのか、頭がおかしくなりそうだ。
もしかして、憑依されたのだろうか。
正解、今ゆっくりと浮上している。
私は水面に顔を出し照明魔法を唱える。天井は高くて、かなり下層に落とされたようだ。右手側には煉瓦でできた壁があり、左手には石段が見える。私は迷いなく左側に向かって泳ぎだす。
後ろに何かいる。水は渦を巻いて波が照らしだされる。
水生の魔物かもしれない。
魔物は光を嫌うのか近づいてこないようだ。しかし、いつ気が変わるかわからない。私は全力で泳ぎだす。魔物は左右に位置を変えてついてくる。もう嫌だ。死ぬ気で泳いでいると石段がすぐそこに迫っていた。私は渾身の力を振り絞って石段の上に這い上がった。
背後を見ると魔物が私を見つめている。
魚のような生物。
私は後ろに下がって距離をとる。魔物は陸に上がれないようで水面近くを泳いだり、ジャンプしたりして落ち着きがない。私と行動パターンが似ているから何を仕出かすかわからない。
とりあえずもっと距離を置こう。
魔物から離れて追ってこないのを確認してから、下級の治療魔法で足の応急処置をした。負荷をかけるなど無理をしなければ行動に制限はない。しかし、ここはどこだろう。地下にこんな場所があるなんて、少なくとも郷土史を思い起こしても該当施設はない。
放心状態で休憩していると現実逃避していたようだ。この場所は地下壕なのだろうか、それとも地下納骨堂なのだろうか。水場の存在から考えると地下壕ではなさそうだけど、探索しないと何もわからない。
まずは水場の反対方向に向かうことにした。
しばらく歩いていると所々に鉄格子の入った部屋がある。中を照らすと壁一面に穴が開いていて棺桶が突っ込んである。間違いなく墓地。それも古そうで何世紀か前の納骨堂だろう。だって、アンデッド除けの魔術式か書き込まれた鉄格子があるから。
まだ死者が生ける屍になる時代の墓地。
危険極まりない。
聖水を作る授業を受けたはずだが、まったく記憶に残ってない。もしも何か出たらどうしよう。レイスとかグールとかスケルトンにリッチ、そのあたりがお出ましになると失神しそうだ。しかし、古代の魔物など、どうでもいいことは良く覚えている。
真っすぐ進んでいると霊廟の様な怪しい構築物が現れた。しげしげと眺めていると対になった鎖付きの鉄輪がぶら下がっている。あれを引っ張ったらこの施設が崩壊するか、霊廟の主が登場するパターンだろう。八方塞がりだから試してみたいような。
悩んだ末に結論は先送りすることにしたのだが、探索を続けても目ぼしいものは他になかった。霊廟に戻り、二つの鉄輪を手に取り覚悟を決めて引っ張った。何かが壊れた音がする。
古代魔道具が発動してしまったに違いない。
不自然に拡散する鈴の音が遠くから聞こえてくる。それとは別に私の足元に黒い影が広がり魔法照明が揺れ動く。私の影は悪魔のような角があり、両手剣ほどある大剣を片手で握り、逆手には盾のようなものを掲げているように見える。
黒く大きな影はみるみるうちに更に大きくなり、左手に明るく輝く緑色の宝石のブレスレットがはまってっている。私に注意を向けているようで、何者なのかわからないが悪意は感じられない。それは、例えるなら純粋無垢な子供の好奇心のように感じられた。
何処からともなく子供の笑い声が聞こえてくる。狂ってしまったのか、狂う寸前なのか、頭がおかしくなりそうだ。
もしかして、憑依されたのだろうか。
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