魔術師達と彼方

本和 奏

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第1章 青年と少年

青年と少年 2

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「案外時間通りに来たな。もう少し遅れてくるものかと思ったが」
「えっ。僕、いつもそんなに遅れて来てましたっけ?」
「毎回平均十五分遅れだよ馬鹿野郎」
 僕の師匠であるウィル先生は、ほんの少しだけ口が悪い。だが、教育者としての云々は、彼の授業を受けてみればわかるだろう。
 彼にとって、教職は天職だ。それ以外になるなんて、とても考えられないほどに。
「さて、今回君を呼び出したのは他でもない。明後日からの出張で、君に俺の助手を務めて貰いたいからだ」
「え、護衛のラピスちゃんじゃなく、僕にですか?」
「そうだ。……ラピスは今、それどころではないからな」
 そういえば、と思い出したのは、前回の出張で何らかの怪我かなにかを負い、魔術機関直属の病院に入院しているという話だった。
 確かに、それどころではないのだろう。しかも、噂が本当だと言うのなら彼女は生死の境をさ迷ったという話もある。
「……わかりました。引き受けます。えっと、明後日?明明後日でしたっけ?」
「今言ったばかりだろうが阿呆。明後日だよ。あと、引き受けてくれてありがとう」
「いっ、いえ、そんな。こちらこそよろしくお願いします」
 先生と何処かに行くなんて初めてで、少しだけ楽しみだと思ってしまう自分がいる。
 ……あれ、なんか聴いてないことがないか?
「ねぇ、ウィル先生。行き先って何処なんすか?」
「……ハーメルン。ドイツのハーメルンだよ」
少しだけ嫌な予感がしたのは気の所為だろうか。
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