魔術師達と彼方

本和 奏

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第2章 少年と友人

少年と友人 10

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 僕達が防衛に力を傾けている頃、アレッサンドロさんは攻撃に移っていた。
apertura!開幕せよquello ballare come un fiore!花の如く舞い踊れ
 魔術の規模から考えれば、随分と短い詠唱だった。だって、廊下一面が埋まるくらいの花弁を運ぶ暴風を巻き起こしたのだから。綺麗だが、量が多すぎて少々情緒に欠けていると思った。今は、そんな事を言う場では無いことは良くわかっているけれど。
 「あ、あんなことも出来るんだ」
「出来るよ。まぁ、三つの属性を同時使用するんだからちょっとは難易度上がるけどさ。時間操作とかに比べれば造作もないさ。ボクでも少しくらいは出来るよ」
 お前なら憶えればそれなりに使いこなせるよ。と、ウィルは言ってくれた。不思議なところで気遣いをするらしい。
 凄まじい威力のある魔術を前に(雷程度では対抗できなかったようで)アイツらは退散していった。ちょっとやってしまったかな。とは思ったけれど、今更そんなことは気にしていられない。
「あの、その……ありがとうございました。態々こんな大規模な魔術まで披露させてしまって……」
「嗚呼。別に言うほど本気は出し取らんから問題ないさ」
 本気を出していない!?今度こそ叫びたくなった。あんなドッカンドッカンやっておいてまだ本気ではない?そう言えばと思い出したのは、ついさっきウィルが言っていた『ボクでも出来る』と言う言葉だった。ウィルは今さっき知った限り、かなりの実技ベタだ。そんなウィルでも出来ると確信を持って言えるものだとしたら、同じ知識があり、実技の才能では(恐らく)上回っているだろうアレッサンドロさんにとっては造作もない事だったのだろうか。……恐らくと言ったのは、その当時の僕がアレッサンドロさんの正しい実力を理解していなかったためである。
「本気……出してなかったんですか?」
「あいつら相手にこっちの手札を馬鹿正直に大量公開する必要も無いだろ?それは向こうさんも分かってるはずだから、これからはやたらと手を出してくることはないと思う」
 良かったな。と、ウィルは優雅に紅茶を飲みつつ呟いた。
「反抗の仕方くらいは教えておいた方が良さそうだがな。ウィルフレッド、後でその術式の話でもするか。ローラン。貴様もお父上辺りに訊いてみたまえ。きっと教えてくれるだろうさ」
 背後から来て、ウィルの頭に手を乗せつつアレッサンドロさんはそう言ってくれた。間違いなく、それは僕に対してのアドバイスだった。僕が普段どんな目に会っているのか、大体想像がついていたんだろう。
「ありがとうございます。そうしてみます」
 父と話すのは数ヶ月ぶりだったが、何となく不自然にはならないような気がした。彼らに勇気をもらえたからだろうか。
「さて、ボクらは授業に行ってくるよ。……行くよ、スタッフォード」
 ウィルが僕を誘ってくれるだなんて思ってもみなくて、つい驚いてしまった。やっぱり、彼はどうしょうもなく優しい。友達だと、僕は勝手に思う事にした。だって、友達になることは態々確認し合うことでもないでしょう。
 だから、今までよりもちょっと気安く接したい。
「分かった。行こう。……あともう一つ」
「ん?何さ」
 ウィルは訝しげな表情をした。僕はそれに笑顔で返したいと思う。
「スタッフォードじゃなくてさ、ローランって呼んでよ」
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