27 / 36
第2章 少年と友人
少年と友人 11
しおりを挟む
酷く穏やかな学園生活が続くのは、たしかに少々退屈ではあるがそれ以上に安定した安心感があった。
ウィルも僕も無事に進級し、履修科目も大分変わった。まだ専門的なことはそこまでやらないので一般の高校大学のシステムとさほど変わらないだろう。
今日は随分とウィルが上機嫌だった。何か楽しいことでもあったのだろうか。普段よりも幾分か雰囲気が柔らかい。
「ウィル、今日は何かあったの?」
突然僕に話を振られたウィルは、少々驚いたようで目を見開いた後ちょっと照れた様な困ったような表情を見せた。
「……そんなに顔に出てたか?不味いな」
「大丈夫だよ。普段よりも上機嫌だなってくらいで、特に不気味だとかそういうことでは無いから」
それだったらいいけど。と、ウィルは頭を搔く。本人にも思い当たる節があると言うならば、この機嫌の良さにも何かしらの理由があるんだろう。アレッサンドロさん関連かなと当たりをつけつつ更に質問にしてみることにする。
「で、何があったのさ。そこを訊きたいんだけど」
ウィルは割と思ったことが顔に出やすい。今も顔に『言わなきゃ駄目か』とでも書いてありそうな感じがする。
「ちょっとね。上手くいったらローランにも教えるよ。いや、僕から言わなくても耳に入ると思う」
何を企てているのかは分からないが、とにかく余程大きな事をするのだろう事は分かった。そう言えば、最近ウィルはほんの少しソワソワしていたような気がする。もしかしたら、今日が楽しみで遠足前の子供の様な状況だったのかもしれない。
「最近ウィルが寝不足だったりしたのはそれかな?じゃあ、内容までは分からないけど僕も楽しみにしておくよ」
「是非。嗚呼、そうだ。上手く行き過ぎたら今回は教師等が来れなくて休講も有り得るから気を付けてな」
休講。そんなことが起こるのは余っ程じゃない限りありえない。一体何をしようとしているんだ。
「それって、かなりとんでもない事をしようとしているんじゃないか。ウィル、何があったか踏み込んで訊いてもいいか」
「後でって言ったじゃないか。別に疚しい事でも何でもないよ。ただ、ちょっと研究機関を牛耳る老害共への憂さ晴らしをするだけだ。そう、アイツらに目にものを見せてやるんだよ。今までボクらを馬鹿にしてきやがったことを後悔させてやるんだ」
ボクら。それは恐らく、否間違いなくウィルとアレッサンドロさんの事だろう。確かにアレッサンドさんは正当な評価は受けていなかった。彼らの研究を少しだけ覗かせて貰ったことがあるが、教科書や魔術書に書かれた魔術の運用方法なんて用無しとでも言われてしまいそうな物もあった。素晴らし過ぎて、逆に脅威となりそうなものだとも思った。
「おい!お前等、研究機関の第2ホールに集合だ」
まさか。そう思って隣を見れば隠しきれない笑いを堪えたウィルの姿があった。
「な、言ったろ?今回は休講も有り得るってさ」
ウィルも僕も無事に進級し、履修科目も大分変わった。まだ専門的なことはそこまでやらないので一般の高校大学のシステムとさほど変わらないだろう。
今日は随分とウィルが上機嫌だった。何か楽しいことでもあったのだろうか。普段よりも幾分か雰囲気が柔らかい。
「ウィル、今日は何かあったの?」
突然僕に話を振られたウィルは、少々驚いたようで目を見開いた後ちょっと照れた様な困ったような表情を見せた。
「……そんなに顔に出てたか?不味いな」
「大丈夫だよ。普段よりも上機嫌だなってくらいで、特に不気味だとかそういうことでは無いから」
それだったらいいけど。と、ウィルは頭を搔く。本人にも思い当たる節があると言うならば、この機嫌の良さにも何かしらの理由があるんだろう。アレッサンドロさん関連かなと当たりをつけつつ更に質問にしてみることにする。
「で、何があったのさ。そこを訊きたいんだけど」
ウィルは割と思ったことが顔に出やすい。今も顔に『言わなきゃ駄目か』とでも書いてありそうな感じがする。
「ちょっとね。上手くいったらローランにも教えるよ。いや、僕から言わなくても耳に入ると思う」
何を企てているのかは分からないが、とにかく余程大きな事をするのだろう事は分かった。そう言えば、最近ウィルはほんの少しソワソワしていたような気がする。もしかしたら、今日が楽しみで遠足前の子供の様な状況だったのかもしれない。
「最近ウィルが寝不足だったりしたのはそれかな?じゃあ、内容までは分からないけど僕も楽しみにしておくよ」
「是非。嗚呼、そうだ。上手く行き過ぎたら今回は教師等が来れなくて休講も有り得るから気を付けてな」
休講。そんなことが起こるのは余っ程じゃない限りありえない。一体何をしようとしているんだ。
「それって、かなりとんでもない事をしようとしているんじゃないか。ウィル、何があったか踏み込んで訊いてもいいか」
「後でって言ったじゃないか。別に疚しい事でも何でもないよ。ただ、ちょっと研究機関を牛耳る老害共への憂さ晴らしをするだけだ。そう、アイツらに目にものを見せてやるんだよ。今までボクらを馬鹿にしてきやがったことを後悔させてやるんだ」
ボクら。それは恐らく、否間違いなくウィルとアレッサンドロさんの事だろう。確かにアレッサンドさんは正当な評価は受けていなかった。彼らの研究を少しだけ覗かせて貰ったことがあるが、教科書や魔術書に書かれた魔術の運用方法なんて用無しとでも言われてしまいそうな物もあった。素晴らし過ぎて、逆に脅威となりそうなものだとも思った。
「おい!お前等、研究機関の第2ホールに集合だ」
まさか。そう思って隣を見れば隠しきれない笑いを堪えたウィルの姿があった。
「な、言ったろ?今回は休講も有り得るってさ」
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる