魔術師達と彼方

本和 奏

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第2章 少年と友人

少年と友人 11

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 酷く穏やかな学園生活が続くのは、たしかに少々退屈ではあるがそれ以上に安定した安心感があった。
 ウィルも僕も無事に進級し、履修科目も大分変わった。まだ専門的なことはそこまでやらないので一般の高校大学のシステムとさほど変わらないだろう。
 今日は随分とウィルが上機嫌だった。何か楽しいことでもあったのだろうか。普段よりも幾分か雰囲気が柔らかい。
「ウィル、今日は何かあったの?」
 突然僕に話を振られたウィルは、少々驚いたようで目を見開いた後ちょっと照れた様な困ったような表情を見せた。
「……そんなに顔に出てたか?不味いな」
「大丈夫だよ。普段よりも上機嫌だなってくらいで、特に不気味だとかそういうことでは無いから」
 それだったらいいけど。と、ウィルは頭を搔く。本人にも思い当たる節があると言うならば、この機嫌の良さにも何かしらの理由があるんだろう。アレッサンドロさん関連かなと当たりをつけつつ更に質問にしてみることにする。
「で、何があったのさ。そこを訊きたいんだけど」
 ウィルは割と思ったことが顔に出やすい。今も顔に『言わなきゃ駄目か』とでも書いてありそうな感じがする。
「ちょっとね。上手くいったらローランにも教えるよ。いや、僕から言わなくても耳に入ると思う」
 何を企てているのかは分からないが、とにかく余程大きな事をするのだろう事は分かった。そう言えば、最近ウィルはほんの少しソワソワしていたような気がする。もしかしたら、今日が楽しみで遠足前の子供の様な状況だったのかもしれない。
「最近ウィルが寝不足だったりしたのはそれかな?じゃあ、内容までは分からないけど僕も楽しみにしておくよ」
「是非。嗚呼、そうだ。上手く行き過ぎたら今回は教師等研究機関の魔術師が来れなくて休講も有り得るから気を付けてな」
 休講。そんなことが起こるのは余っ程じゃない限りありえない。一体何をしようとしているんだ。
「それって、かなりとんでもない事をしようとしているんじゃないか。ウィル、何があったか踏み込んで訊いてもいいか」
「後でって言ったじゃないか。別に疚しい事でも何でもないよ。ただ、ちょっと研究機関を牛耳る老害共への憂さ晴らしをするだけだ。そう、アイツらに目にものを見せてやるんだよ。今までボクらを馬鹿にしてきやがったことを後悔させてやるんだ」
 ボクら。それは恐らく、否間違いなくウィルとアレッサンドロさんの事だろう。確かにアレッサンドさんは正当な評価は受けていなかった。彼らの研究を少しだけ覗かせて貰ったことがあるが、教科書や魔術書に書かれた魔術の運用方法なんて用無しとでも言われてしまいそうな物もあった。素晴らし過ぎて、逆に脅威となりそうなものだとも思った。
「おい!お前等、研究機関の第2ホールに集合だ」
 まさか。そう思って隣を見れば隠しきれない笑いを堪えたウィルの姿があった。
「な、言ったろ?今回は休講も有り得るってさ」
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