魔術師達と彼方

本和 奏

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第2章 少年と友人

少年と友人 12

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 廊下を走るのは本来はマナー違反なので早歩きで研究機関の方へと向かう。ウィルは企んでいた事が成功したことを確信したからか、さらに上機嫌になった。もう隠そうとも思っていないらしい。
「本当に何をやったのさ。今日は何があったの?」
 ウィルはきょとんとして、『それすら知らないのか』みたいな顔をしてきた。我が家でその手の情報を握っているのは父なのだからあまりその手の情報は入ってこないのだ。勘弁してもらいたい。
「称号昇格試験だよ。知らないの?年一でやってるし、皆ある程度の地位は欲しいから将来の事も考えて結構参加してると思っていたんだけど」
 生徒に与えられた日程とその他の魔術師とでは日程が違うことをすっかり忘れていた。この昇格試験、多少自身の研究した魔術を公開してしまうことになるが上手く行けば特許として出願し儲けることもできるし何より他の魔術師との差を見せつけることが出来る。皆当然トップを目指してはいるが、それには類まれなる才能が必要とされているので取れている人は僕が当時生きてきた中で一人も聞いたことがない。
「いい機会だろ。アイツらはボク達の研究を散々馬鹿にしてきやがったヤツらなんだ。去年はエントリーすら出来なかったんだぞ。それがここまでの結果を出している。……アレク、何処までやったのかな。本気を出せば第一冠まで取れるはずなんだけど」
 ちょっと目にものを見せてやるどころではない。間違いなく、アレッサンドロさんはトップの称号を狙っていたのだ。
 この称号は、第七冠からスタートして第一冠が最上の称号だ。因みに第四冠は特別枠で、その他の功績で評価せざるを得なくなった魔術師に対して送られる称号だ。
「……第2ホール、どうなってると思う?阿鼻叫喚かな。ウィルはどうなっていて欲しい?」
「馬鹿共のアホ面を拝めればまずは満足かな。あとはしっかりと評価を出せば文句は無いよ」
 異例中の異例を望んでおいてそれ以上の望みがないのは中々なものを感じた。そう、彼らにとってはそれで充分なのだろう。
 「おい。ユリアーノ、どういう事だ。先程、今話題の人物の名を訪ねたら貴様と同じ苗字のやつだと言われたんだが」
「ボクの父親だよ。何か問題ある?嗚呼、師匠って言った方が良かった?」
 ウィルの口の遠慮の無さは相変わらずだ。でも、今回ばかりはそれでも構わないだろう。アレッサンドロさんは間違いなく今回の件で功績を挙げる。否、挙げなければならない。ウィルは根拠の無い自信は持たない質だ。そのウィルが自信を持って答えたのは、つまりはそういう事だろう。
 恐る恐る第2ホールの扉を開く。
「おお!ようやく来たか。待ちくたびれたぞ」
いつも通りの調子で笑うアレッサンドロさんに、ほんの少し気が抜けた。
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