魔術師達と彼方

本和 奏

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第2章 少年と友人

少年と友人 14

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 「遅いぞ。もう試験が終わってしまったではないか」
 暢気な声でそんな事を言ってくるアレッサンドロさんは緊張感の欠片もなかった。魔術による疲労の傾向も見られていないので、当時は酷く不思議に映ったものだ。何たって第一冠を取れるような術式なら、基本的には身体への負担が並ではないのだから。
「ボクらは学問棟の方から来たんだ。距離も多少あるんだから勘弁してもらいたいね。で、結果は殆どが即日だろ?もうすぐ出るんじゃないのか」
 ウィルがアレッサンドロさんの言葉に反論するのと、今現在の状況を質問する。多少不機嫌っぽくは振る舞っているけれど、ソワソワしているのを隠しきれていないよと言うのはやめておく。
「それがなんか揉めててな。さっきから皆が右往左往している。確かに面白くもあるが、そろそろ飽きてきたな」
「まぁ、爺共がうろちょろしてる図を延々と見続けるのは確かに苦痛かな。とっとと結果を聞いて帰ろうよ」
 この様子では今日の授業は全てパァだなとは思ったが、学校の授業が一応残っているにも関わらず帰ろうと言い出すのにはほんの少しだけ驚いた。いつだって、ウィルは真面目な生徒だったから。
「結果ってその場で聞くの?」
 今までの昇格試験では一日程度はかかった気がするから、聞いてみたくなったのだ。自分の時はそれ位かかっていたはずだ。
「一般枠はね。日程が結構用意されてるから一日に行う人数を減らして即日で結果を出すことにしてるんだ。一方、生徒や学生は一度に大勢をやるから流石に即日は無理でしょう」
 単純に人数の問題だったようだ。いつの間にか第2ホールの人口は、数分前から考えて三倍程に増えていた。僕らの様な生徒や学生の方々はもちろん、近隣の魔術師も集まっている。これは本当にとんでもない事になってしまった。
「お、おいユリアーノ君。これはどういう事だよ。この人が本当にお前の師匠なのか?何か口裏あわせて我々を騙そうとしているのでは?」
 ラナードは何だかんだ言って失礼な奴だと思う。表現がいちいち気に障る……と言ってもこれは私怨も含まれた感情だということは分かっていたので、一切を口には出さなかった。
「そうだけど何か。ねぇ、アレク」
「そうだなぁ。まぁウィル。コヤツも少年だろう。適切な表現を学ぶ機会はまだあるさ。だからその眉間のシワをどうにかしろ」
 ぐいぐいと、アレッサンドロさんはウィルの眉間のシワを伸ばした。余計酷くなった気がするのはそれこそ気の所為だろう。
「審議の結果が纏まったため、只今よりアレッサンドロ・ユリアーノの称号を発表する」
 周りに散々急かされていたからか、多少焦ったようにガーランド教授……全体学部のトップが言葉を発した。
「結果、魔術師として栄光ある第一冠を授与する」
 一瞬の静寂が、まるで世界が止まったかのように感じられて、それこそが魔法なのではないかと少しだけ思ってしまった。
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