転生したら石でした!

むねじゅ

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第43話 マッドと石

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スピネル 「では早速、息子に連絡してみるの。」

爺さんはそう言って、手紙を書き青い鳥に運んでもらった。

スピネル 「息子からの返事を待とう。それからじゃな・・・」

セシル 「ようへい大丈夫だ!きっとうまくいく!だってようへいといたら、いつも万事OK!だもん!」

とセシルは言ってくれた。俺は一人では何もできない・・・二人に感謝をしないといけない。俺はありがとうという思いを込めて光った。
二人はにっこり笑って

スピネル 「いいんじゃ!いいんじゃ!」

セシル 「ようへい大丈夫だよ!」

と言ってくれた。

そしてしばらくすると、店の窓に白い鳥がとまった。あっ!爺さんの息子の鳥だ!返事がきた!

スピネル 「おー返事がきたぞい!何々?ふーむ。なにやら、息子は心配しているみたいじゃ・・・マッドにようへいくんを見せるのは危険ではないか?と書いておるのーでもどうしても会いたい時はようへいくんの存在をかくして息子が一緒に面会めんかいするなら、なんとか会わせると言っておるぞ。どうする?ようへいくん?」

俺はその条件で会いたいと伝えた。

スピネル 「では、そうしようかのー。それでは一旦いったん息子のところに行ってみようぞ!」

セシル 「出発ー!ようへい、行くぞー!なぞを解明するぞー!!!」

俺たちは爺さんの息子が居る研究所へ急いだ。
到着すると爺さんが案内所で息子を呼び出している。爺さんの息子はやっぱり来てしまったのかー・・・という表情で俺たちに向かって歩いてくる。

アレキサンド 「やっぱり、いらっしゃいましたね・・・父上。あの約束は守ってくださいね!秘密に・・・ばれそうになったら、部屋から出る努力をしてくださいね。」

スピネル 「わかっておる!どんな感じか見るだけじゃ!さぐるだけじゃ!」

アレキサンド 「セシルさん!少々危ない奴なので、あまり刺激しないようにしてくださいね。」

セシル 「わかったー。大人しくしているよ。」

爺さんの息子の先導せんどうで、王宮研究所の裏手うらてにある林の中に入った、やけに薄暗うすぐらく不気味だ・・・本当にこんなところにあるのか?爺さんの息子がいる研究所はとてもきれいだった。なんだか、その研究室の処遇しょぐうがわかる様な気がした。人間錬金術の研究は待遇たいぐうが悪いのか?と俺は思った。
その時、何かわからない悲鳴のような声が聞こえてきた。爺さんの息子が言った通り、やばい所に来てしまったのか?俺は少し後悔した・・・

アレキサンド 「いつもこうなんです・・・気味の悪い声が聞こえるんです。だから研究所には部屋を置けなくて離れに別棟べつむねてたんです・・・」

そりゃそうだ。こんなに不気味な声が常に聞こえていたら、仕事になるはずがない、ノイローゼになりそうだ。
そんなこんなで錬金術研究室にたどり着いた。見た目は大きな小屋のようだ。

アレキサンド 「ここがそうです。では皆さん行きますよ。マッド!いますか?アレキサンドです。開けてください!」

爺さんの息子はドアをノックした。

アレキサンド 「皆さん、少々異様いような臭いがしますが、我慢してください。」

爺さんの息子に注意をされて、身構みがまえると。少々ではなかった。いだ事のない異臭いしゅうがドアを開けたとたんに、一気に流れてきた。爺さんとセシルと俺もその臭いにウッとなった。
その後、マッドが猫背の姿勢で現れた。なんだか不気味を形にしたらこんな人間ができるだろうなーという人物が現れた。

マッド 「アレキサンド?何の用です?忙しいんですけど・・・」

アレキサンド 「忙しいところ申し訳ないが、研究室を見せてもらえないか?」

マッド「えー。なんで?」

アレキサンド 「なんでかって?それは・・・私の父が錬金術に興味で出てきて、もしかしたら、資金を寄付してもいいかも?と言い出してな・・・」

マッド 「本当ですか?王宮で貰ってる資金は常に不足しているんです!是非!見ていってください!資金はいくらでも欲しい状態なので!」

爺さんの息子は、辺りさわりの無いうそを付いた。爺さんはびっくりしている事だろう・・・これで、良くわからない出費がかさんでしまった・・・爺さんごめんよー・・・

スピネル 「そ、そ、そうなんじゃ!錬金術は素晴らしいのー・・・」

爺さんもあやししまれないように、息子の嘘に合わせている。

マッド 「ところで、こちらの強そうなお嬢さんは?」

爺さんがセシルの事を言われて、ビクッとした。

スピネル 「この娘はわしの護衛ごえいじゃ!わしも年を取って、どこに行くにもあやういんじゃ!それでやとっておる。」

爺さんはとっさに嘘をついた。爺さんグッジョブ!
セシルは無言でお辞儀じぎをした。

マッド 「そうですかー。それは頼もしいですね。」

マッドも信じたようだ。俺は何にも反応しないよう気をつけた。今光ってしまったら大変だ。

マッド 「中を案内します。スピネルさんは引退してどのくらいですか?いつもこうやって研究者に寄付しているのですか?」

スピネル 「引退は随分すいぶん前じゃ。20年くらいかのー?そうじゃなー色々と投資したくなってのー若い人の研究を助けるのも爺の役目じゃ。」

爺さんの嘘も板についてきた。

マッド 「そうなんですかー。素晴らしい考えですね!この研究室について何か質問でもありますか?」

マッドはよっぽど資金に困っているようだ。爺さんから少しでも金を引き出したいらしい、興味を持たせるために色々と話かけてくる。

スピネル 「あの奥にある人間が入ったびんは完成品かの?もう動けるのかの?」

マッド 「さすが!お目が高い!あのホムンクルスたちは今までで一番の傑作けっさくなんです!なんとか動けるよう日々努力しているのですが、中々うまくいかなくて・・・」

スピネル 「そうなんじゃな?何か決め手のようなものが必要なんじゃ?」

マッド 「そうなんですよー。スピネルさんだけに教えますけど、石が必要なんです!この完璧かんぺき容姿ようしのこの子たちも、今のままでは外に出せないんですー。でも、この中でも時々声をはっするんですよー。ほらー。ひひひっ」

瓶の中の女がヒエーともギャーともつかない恐ろしい悲鳴のような声を出している・・・先程の悲鳴はこれだったのか。俺はこの生き人形がすごく不気味だった。
どの瓶の生き人形も皆、容姿がすぐれている。簡単に言うとマネキン?のような感じだ、マッド本人とは似ても似つかない容姿でマッドの美的センスは物凄く良いのかもしれない。
俺の世界で美容整形の先生になれば、そうとう客がつくかも?と思ってしまった。
生き人形たちはまるで 生きているけど死んでいる が一番いい表現だと思ってしまった。

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