15 / 26
第15話 人が欲するものとは
しおりを挟む
「この銃は武器としては恐らく売れない」
武器屋に向かう道すがら、コピー品をたくさん作って売る気だった僕は、これからの流れを確認すべく聞いてみたら予想外の返答に驚いた。
「モノには大抵広まるルートが存在しているんだ。武器なら軍や騎士団が使い出し、それの廉価版や規制版が一般に広まる。私の使用している魔道具の障壁を貫通出来ないようでは彼らはまず興味を示さないだろう。つまり大量にはさばくことは不可能に等しい。それにそもそも異世界の物とはいえ、身勝手にコピーを作って売るなんて、これを生み出した者に敬意表さないような商売をするつもりは私にはない」
実直な信念。
エンビーさんはどうやらよく言えば正義感が強い、悪く言えば石頭のようだ。流石に銃器メーカーも異世界まで取り分よこせとはいわないだろうに…。
たんたんと正しい行動だけして信頼を勝ちとるタイプのエンビーさんはとても素敵だけれど、僕にはちょっと眩しすぎる気がするな…。
エンビーさんが少し足を止め、僕に振り返る。
「どうした?不服か?」
「全然!じゃあこれからその武器屋さんに何しに行くの?」
「もちろん金を稼ぐに行くのさ。相手が必要としているものを売りにな」
「必要なもの?」
再び歩みを進めるエンビーさん。歩幅が違うのはずなのに歩くのが苦ではない。
「これから会いに行くドクという男をはじめ、ベルモントの奴隷達は大賢者の魔法のおかげで老いて死ぬことがない。その上魔法で行動を制限されていて、与えられた役目以外ほとんど何もできない。そしてこの島にはそもそもあまり客が来ない。つまりどういうことかわかるか?」
「暇を持て余している?」
「正解だ」
ドクさんが必要としているものはわかった。でもそれだけだとドクさんが客として最も重要な要素が足りない気がする。
「お金は?暇なのはわかったけど、お金持って無いんじゃないの?奴隷だから」
「金は持ってないが、使用できる金は多いんだ」
「??」
「この島、絶海の交差市場ラズベルは、ベルモントが世界中から研究材料を集めるために作ったと言われている。ただ、研究時間を削られるのを嫌がってか、島の管理や運営は全て集めた奴隷任せだ。当然のように金の管理も含めてな。ドクがベルモントから山程の金貨を渡され、初めて受けた命令は、必要なときに必要なものを用意しろ。ただそれだけだ。店の金は制限内なら自由に使っていいし、実際300年間一度も使い道に文句を言われたことがないと言っていた。高く積み上がった店の金も一度も取りに来ないそうだ」
必要なものを手に入れることが出来なかった奴隷の末路は気になるが、僕の中のベルモントさんは優しいドラゴンさんのままがいいので聞かないことにしよう。
「300年…。この世界の人ってみんなそんなに長生きなの?前の世界だと100年生きればみんなが褒めてくれるのに」
「命すら司ると噂される大賢者様ならではってやつさ。この世界ではベルモントは、大精霊や場合によっては神と同等の扱いを受けている」
エンビーさんが一軒の木造の建物の前で足を止めた。
店の前についたようだ。古びた看板にはシンプルに魔剣専門店とだけ書いてある。
この先どんな結末でも、僕にとって忘れられない時間になるだろう。
「何をすればいい?」
「タイミングを見て、ドクの前でその銃を分解してくれればいいさ。後は金を稼ぎ方を実際に見て学ぶといい」
武器屋に向かう道すがら、コピー品をたくさん作って売る気だった僕は、これからの流れを確認すべく聞いてみたら予想外の返答に驚いた。
「モノには大抵広まるルートが存在しているんだ。武器なら軍や騎士団が使い出し、それの廉価版や規制版が一般に広まる。私の使用している魔道具の障壁を貫通出来ないようでは彼らはまず興味を示さないだろう。つまり大量にはさばくことは不可能に等しい。それにそもそも異世界の物とはいえ、身勝手にコピーを作って売るなんて、これを生み出した者に敬意表さないような商売をするつもりは私にはない」
実直な信念。
エンビーさんはどうやらよく言えば正義感が強い、悪く言えば石頭のようだ。流石に銃器メーカーも異世界まで取り分よこせとはいわないだろうに…。
たんたんと正しい行動だけして信頼を勝ちとるタイプのエンビーさんはとても素敵だけれど、僕にはちょっと眩しすぎる気がするな…。
エンビーさんが少し足を止め、僕に振り返る。
「どうした?不服か?」
「全然!じゃあこれからその武器屋さんに何しに行くの?」
「もちろん金を稼ぐに行くのさ。相手が必要としているものを売りにな」
「必要なもの?」
再び歩みを進めるエンビーさん。歩幅が違うのはずなのに歩くのが苦ではない。
「これから会いに行くドクという男をはじめ、ベルモントの奴隷達は大賢者の魔法のおかげで老いて死ぬことがない。その上魔法で行動を制限されていて、与えられた役目以外ほとんど何もできない。そしてこの島にはそもそもあまり客が来ない。つまりどういうことかわかるか?」
「暇を持て余している?」
「正解だ」
ドクさんが必要としているものはわかった。でもそれだけだとドクさんが客として最も重要な要素が足りない気がする。
「お金は?暇なのはわかったけど、お金持って無いんじゃないの?奴隷だから」
「金は持ってないが、使用できる金は多いんだ」
「??」
「この島、絶海の交差市場ラズベルは、ベルモントが世界中から研究材料を集めるために作ったと言われている。ただ、研究時間を削られるのを嫌がってか、島の管理や運営は全て集めた奴隷任せだ。当然のように金の管理も含めてな。ドクがベルモントから山程の金貨を渡され、初めて受けた命令は、必要なときに必要なものを用意しろ。ただそれだけだ。店の金は制限内なら自由に使っていいし、実際300年間一度も使い道に文句を言われたことがないと言っていた。高く積み上がった店の金も一度も取りに来ないそうだ」
必要なものを手に入れることが出来なかった奴隷の末路は気になるが、僕の中のベルモントさんは優しいドラゴンさんのままがいいので聞かないことにしよう。
「300年…。この世界の人ってみんなそんなに長生きなの?前の世界だと100年生きればみんなが褒めてくれるのに」
「命すら司ると噂される大賢者様ならではってやつさ。この世界ではベルモントは、大精霊や場合によっては神と同等の扱いを受けている」
エンビーさんが一軒の木造の建物の前で足を止めた。
店の前についたようだ。古びた看板にはシンプルに魔剣専門店とだけ書いてある。
この先どんな結末でも、僕にとって忘れられない時間になるだろう。
「何をすればいい?」
「タイミングを見て、ドクの前でその銃を分解してくれればいいさ。後は金を稼ぎ方を実際に見て学ぶといい」
0
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる