これは少年ラーズの異世界物語

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第15話 人が欲するものとは

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「この銃は武器としては恐らく売れない」

 武器屋に向かう道すがら、コピー品をたくさん作って売る気だった僕は、これからの流れを確認すべく聞いてみたら予想外の返答に驚いた。

「モノには大抵広まるルートが存在しているんだ。武器なら軍や騎士団が使い出し、それの廉価版や規制版が一般に広まる。私の使用している魔道具の障壁を貫通出来ないようでは彼らはまず興味を示さないだろう。つまり大量にはさばくことは不可能に等しい。それにそもそも異世界の物とはいえ、身勝手にコピーを作って売るなんて、これを生み出した者に敬意表さないような商売をするつもりは私にはない」
 
 実直な信念。
 エンビーさんはどうやらよく言えば正義感が強い、悪く言えば石頭のようだ。流石に銃器メーカーも異世界まで取り分よこせとはいわないだろうに…。
 たんたんと正しい行動だけして信頼を勝ちとるタイプのエンビーさんはとても素敵だけれど、僕にはちょっと眩しすぎる気がするな…。
 エンビーさんが少し足を止め、僕に振り返る。

「どうした?不服か?」
「全然!じゃあこれからその武器屋さんに何しに行くの?」
「もちろん金を稼ぐに行くのさ。相手が必要としているものを売りにな」
「必要なもの?」
 
 再び歩みを進めるエンビーさん。歩幅が違うのはずなのに歩くのが苦ではない。
 
「これから会いに行くドクという男をはじめ、ベルモントの奴隷達は大賢者の魔法のおかげで老いて死ぬことがない。その上魔法で行動を制限されていて、与えられた役目以外ほとんど何もできない。そしてこの島にはそもそもあまり客が来ない。つまりどういうことかわかるか?」
「暇を持て余している?」
「正解だ」

 ドクさんが必要としているものはわかった。でもそれだけだとドクさんが客として最も重要な要素が足りない気がする。

「お金は?暇なのはわかったけど、お金持って無いんじゃないの?奴隷だから」
「金は持ってないが、使用できる金は多いんだ」
「??」
「この島、絶海の交差市場ラズベルは、ベルモントが世界中から研究材料を集めるために作ったと言われている。ただ、研究時間を削られるのを嫌がってか、島の管理や運営は全て集めた奴隷任せだ。当然のように金の管理も含めてな。ドクがベルモントから山程の金貨を渡され、初めて受けた命令は、必要なときに必要なものを用意しろ。ただそれだけだ。店の金は制限内なら自由に使っていいし、実際300年間一度も使い道に文句を言われたことがないと言っていた。高く積み上がった店の金も一度も取りに来ないそうだ」

 必要なものを手に入れることが出来なかった奴隷の末路は気になるが、僕の中のベルモントさんは優しいドラゴンさんのままがいいので聞かないことにしよう。

「300年…。この世界の人ってみんなそんなに長生きなの?前の世界だと100年生きればみんなが褒めてくれるのに」
「命すら司ると噂される大賢者様ならではってやつさ。この世界ではベルモントは、大精霊や場合によっては神と同等の扱いを受けている」
 
 エンビーさんが一軒の木造の建物の前で足を止めた。
 店の前についたようだ。古びた看板にはシンプルに魔剣専門店とだけ書いてある。
 この先どんな結末でも、僕にとって忘れられない時間になるだろう。

「何をすればいい?」
「タイミングを見て、ドクの前でその銃を分解してくれればいいさ。後は金を稼ぎ方を実際に見て学ぶといい」


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