戦人学園

ゆうむ

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穏やかな日常~2

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 あっ、これは失礼しました、長々と話し(回想)を進めるばかりで紹介がまだでした。

 はじめまして、私はメル。人々の役に立つ冒険者を目指し、さきほどの説明にあった学園に通うピチピチ(私語……ではなく死語)の新1年生の女子です。

 外見は冒頭で誰か? が説明したかと思います。

 今私は真新しい制服に身を包み、ゆったりとした足取りで学園にむかっているところです。

 レンガや石造りの建物が左右に立ち並ぶ、中世をイメージさせるレトロな街並み。学園の通学路となっている商店街。

 にぎわいだしはじめた朝の街のいつもの風景、多くの荷馬車が行き来しています。

 焼きたてのパンの香りが道行く人々の足を止める。

 そのパンの悪魔(成長期まっさかりの私達にとって)のような香りの誘惑を振り切り、私は学園へと足を進めるのです。

 この通学路には様々なトラップがあり大変危険なのです、さきほどの焼きたてパンの香りや、コロッケ店の肉の揚げる香りなど数多くあります……とまぁ話を進めますね。




 私が着ているこの制服(膝上20センチほどで、かなりスカートが短い気がするけど)見た目こそ普通科と同じ白ベースに赤青のラインの入ったブレザータイプですが、素材や糸に防御魔法がかけてあって、一般的な鎧と同等の防御力があります。

 しかし永続効果魔法(魔力を供給し続ければ可能)は現在ではまだ確立されておらず理論上不可能なので、破れたり一定期間が過ぎると普通の制服となります。

 新しく魔法をかけることも出来ますが、その場合かけた者の能力により効果期間が変わりますし、自分自身の身体のことですので、私達のような未熟な者がやることはお勧めしません。

 なので普通は新しいものに買い替えることになります(半年が目安)

 その制服を戦士系の生徒達は、制服の上から胸当てや篭手なんかを付ける人も多く見受けられます。

 制服は改造可能で皆結構バラバラ(あまり原型がないものは不可)

 当然私はーーーー完璧な、ーーそう非の打ち所のない美少女の私はーーそれは想像に任せます(実際はほぼノーマルです)




 あっ、本当の冒険者なんかは、ちゃんと鎧を身につけています。

 だってそうしないと、冒険者って感じじゃないから、まぁ気分ね。考えても見てよ、このファンタジー世界でスーツ姿で冒険者って言われてあなた信じるかしら、信じないわよねそうでしょ。ううん、わかってくれればいいの。




 では話しを進めます。

 彼女が自分で脱線している気がするが。




  ……早いもので学園に通い、もう1ヶ月経ちました。

 私の家族は全員、なにかしらの特殊能力をもっています、なので就職や結婚(ここ非常に重要)に有利という理由で強制的に特殊科に入れられました。

 私の特殊能力はこの国では有名です、なにせこの国の人々の生活の安全を、さらに向上させたからなんだけど自分では良く覚えていない(能力名称、術式覚醒。幼い頃に画期的な科学魔術式を発見したと聞かされたのですが、これは確認されたのは今までに2回のみ、しかも自分の意思で発動出来ない欠点があります)けどね。 あとこの能力は戦闘にはまったく使えません。

 その他、特殊能力の詳しい話はまたいずれ話します。

 

 大神官(※現在は)のお母さんの影響で、というか強制? 物心着いた頃から厳しい戒律の神官(シスター)見習い。

 まぁ人助けは私の趣味のようなものなので神官は転職……いや天職だと思います。 でも、その母のおかげ……かどうかは不明ですが。お淑やかに育ち、人助けが趣味の完璧な美少女になりました。




 今は親元を離れて学園の寮生活。あっ高等部の特殊科は、ある例外を除いて基本全寮制なのです。

 問題は寮が学園から離れすぎてること、15kmよ、15km、何で隣じゃないの?

と思わず愚痴をこぼしてしまいます。

 それに、訓練の為ってことで乗合馬車禁止……自分の足で移動のみ。まぁお金も馬鹿にならないしね(普通科生徒は乗合馬車可能で超格安の学割有り)

 しかし、寮生活は目新しい発見ばかりで新鮮なので楽しいからいいのです、皆親切だし。

 あっ、今日もみなさんが私に声をかけてきた…………。

「おはようございます、みなさん~~今日もいいお天気ですね」




 ーーなどと現実逃避しながら全力疾走する彼女は……今日も己の限界(時間)に挑戦していた……。




(ハァ……ハァ、くっもう少し……っで……)

 彼女はまるで疾風のような速度で駆けていく。

 人を間を掻き分け、距離にして軽く5キロは続くレンガ畳の道路、レトロチックな外観の街を抜け、途中で買ったカレーパンを走りながら完食した彼女。

 少し薄暗い十字路を曲がるとようやく目的地である大きな建物が見えてきた。

 高さ5Mの白い壁に囲まれ、これまでのレトロな街とはまったく違う学園のその外観は、近代的(こちらの世界でいうところの)な鉄筋コンクリートや金属で作られていた。

 一番奥がかすんで見えるほどの広大な敷地、これほど必要なのであろうかといいたくなるほど数多くの巨大なドームや校舎が立ち並んでいる。

 数人の生徒が校舎に駆け込んでいくのが見える、規模は違うがどこの世界でも学校はやはり学校なのだなと感じることが出来る。




(よし、間に合っ……た) 

 ……と先ほどから登場している、おそらくは主人公の彼女、メルが内心思った瞬間。

 はるか上空より飛来した巨大な鉄の塊が、彼女の行く手を阻んだ。

 

 ガシャンと大きな金属音を立て、目の前で扉が閉まると大きな影が私とその周囲を暗くする。そして上空からこの影の正体であろう人物より声がかかる。




 正直嫌な予感がしていた、これはまずいーーと危険を身体が本能がそう感じ取っていた。

  

「遅刻だメル、お前今月何回目だと思ってる」

「せっ……あっ、アゴちゃん!」

 私は尻餅をついた格好で、そのまま背後に崩れ落ちた……(そっ、そんな……今日もなの……嫌な予感が当たってしまった)

「ひ~ん、間に合ったと思ったのに……私は悪くない、鳴らない目覚ましが悪いのーー」

(いいえ、まだよあきらめてはダメよメル、あの、あんza…いや、あのバスケ漫画で有名な監督の言葉にもあるように、あきらめてはそこで試合終了……いや終わりなのよ。ーーー行きなさいあなたならやれるわ)




「遅刻だメル、それにちゃんとガード先生と呼ばんか!」

「いや、アゴっ……先生っ、今日は、ほら~~その~~靴がはいってるからセーフで」

 どもりながら答える私ーーそう、そこには、私の靴が門の向こう側にあった。そうなの、だからセーフなのだ、私は遅刻なんかしてないのよ。

 そう言いはると彼女は腰に手をあて胸をはりだしていた、まるで自分が正しいかのようなどや顔であった。




「……お前、靴が本体なのか?」

 ーーふ~やれやれ……ハァ……といった感じのガードと呼ばれた先生が、まさに氷のように冷めた目で冷静に言い放つ。




「うっ、そんなに冷静に言わないでよ……私が可哀想な子と思われるじゃない」

 ※ガード先生、この学園をそして生徒達の安全を守る、なんと7M級の巨大ゴーレム。

 アゴちゃんとは、アイアンゴーレムだから、略してアゴちゃん(私命名)

 さらにこれほど巨大なゴーレムは、この国や同盟国にもいないと言われています。

 しかも召還や魔法で作られた、主人の命令以外聞かない無機物(生命ではない)ゴーレムとはまったくの別物。

 自我がある完全な金属生命体(昔この学園で解析した結果生命体と判明、ちゃんと国の研究機関からも認められている) 

 そしてさらに、特殊能力も持っている、まさにレアな存在。




「ぐっ……やはりダメか……現実は正しいものや正直なものには厳しいのね」

 彼女は唇をかみ締め、目の前で手を合わせ土下座した……なんとかお願いしますと願いながら。なんとも完璧な土下座であろうか、背筋がピーンと伸び、両手で三角形をつくる見事なまでの土下座である。

 土下座検定というものがあれば2級、いや1級は確実であろう、素人が一目見ただけでもかなりの修練を積んだであろうとわかる。

「先生……お願いーー今日遅刻だと校庭50周と、素振り500回なの」

「まったく、冒険者を目指す者が遅刻してどうする」




 彼女は……恐る恐る顔を上げると、アイアンゴーレムことガードは片手でその軽く数百キロはある大きな門を開いてくれた。

「流石アゴちゃん~~いえガード先生~ありがと~~」

 サッと、膝の黒のニーソックスや制服の誇りを払いながら駆け出す彼女であった。

 

 あっという間に、元気一杯の笑顔のメルの姿が遠ざかっていく。

 ガードはやれやれといった表情で、まさに元気の塊のような彼女の姿を見つめていた。




 日頃の行いがいいので、見逃してもらった私。

(やはり神は正しいものの味方ね)

 彼女の行動、とても正しいとは思えないが……。




 砂煙を巻き上げ、お淑やかに校舎に向かって歩き出す……(お淑やかにいくのよメル、あなたは神官ーーそうよ皆の手本とならなくてはいけないのよ)

 すでに悪い見本のような気がするが、まぁこれでなんとなく彼女の性格が見えた気がする。




 キーン~コーン~カーン~コーン~~

 もう、誰もいない広大な校庭にチャイムが鳴り響いた。

 彼女は校庭の中ほどを爆走していた、メルが見逃してもらった学園の門から彼女の目指す校舎まではおよそ1キロの距離。

「……ってまずいっ、せっかく見逃してもらえたのに、遅刻したら洒落にならないよ~~くっ、仕方ないわね、こうなったらーーー」

 私は大きく息を吸い込み、校舎の教室に向かってお淑やかな(大声で)か細い声で語りかけた。




「誰かぁぁ~~~そぉ~~こぉ~~開けてぇぇ~~~~~~~~」

 声は空気の振動となり校舎のガラスの震わせ、すべての教室に響き渡る。

 その声に気がついたであろう(あれほどの大声で気ずかないものはいないと思うが)自身の大きな翼の手入れをしていた少女はその方向を見ずに窓を開く。

 窓が開いたと同時に弾丸のような塊、いやメルが飛び込んできたのであった。

 塊……いや、彼女はそのまま反対の廊下の窓に向かい一直線であった。しかしまさにぶつかる瞬間ーー白いふわふわの物体が彼女と窓の間に割り込んだ。

 騒がしい授業前の教室内が突然の非常識な出来事に静まり返っ……てはいなかった。

 このような世界でも変わらず騒がしい教室内である、そして彼女を救ったその白い物体は巨大な毛玉であった。




 ガラス窓にぶつかる危険を回避し、安全なやわらかい毛玉に飛び込んだ私は、その中からもぞもぞと這い出す……

(いつもながらこの体どうなってるんだろう)

「ふ~~ピナ、それにモー君いつもありがとね」

 彼女は吹き出る汗をきれいにアイロン掛けされた純白のハンカチでぬぐいながら、2人に元気よくあいさつをする。

 周囲の同級生達はといえば、彼女たちの非常識な行動にまったく動じていない。

「も~~まったくメルってば今月何回目よ」

「うむ、まぁまぁピナ、メルも急いでたから……」

 どうやらいつもの日常の風景らしい、教室はといえば現代の日本の教室とほとんど変わらないつくりであった。

 個人の身体に合わせたサイズの真新しい机とリクライニング付の椅子に、空間ディスプレイのパソコンとキーボードが並んでいる。




 ※ピナ・レティシア(私の親友、この国ではかなりの権力を持つ天使族の中の1つレティシア家の次女・高等部入試時・学科成績学年3位)私と同じ? で人望もあり成績優秀な生徒。

 特殊能力はあるらしいが不明(長い付き合いだけど、いままでに使う機会がなかったというのだが詳細は不明)外見は言わなくてもわかると思うけど天使ね。

 でもまぁ天使といっても、天の使いとかではなく翼の生えた種族ってことね。自分の身長ほどもある鳥のような翼はある程度伸縮(40センチ程度まで小さくしたり、逆に短時間だけしか出来ないが大きくしたり)可能、しかも力の強い者は自在に消したりできるといわれています。

 しかし見た目とは違い、通常は長時間の飛行能力はできず、短時間・短距離(数秒~数十秒)の飛行しかできない。

 そして男女ともに魔法が得意であるが、そのほとんどが線の細い種族なので肉弾戦が苦手。さらに美男美女が多い種族として有名です。

 身長は私と同じ165センチほどで 、整った顔立ちに綺麗な腰まである金髪ロング、出るところは出ていてひっこむ所は引っ込んでいる女の私から見ても嫉妬……いや羨ましいプロポーション……。

(ぐっなによその胸は……本当に私と同い年なのかしら)

 チラリと自分の胸を見るメル、その瞳から一筋の涙が頬を伝い床に消えていった。

 でも彼女にも欠点はあります、それは……これは近いうちに話すことでしょう。

 

(……くっ……ちっ、私より大きい胸の女子なんてーーーその一部なんて破裂すればいいのよ) 

 メルは他の女子より無ーーいや僅かに成長の遅れた胸にコンプレックスがあるようだ。

 確かに彼女は外見、見た目だけなら超がつくほどの美少女だといえよう、しかし悲しいこことに彼女の胸は……。




 ※モー君(毛玉? 本名M=J=ディアン)MとJは何かは教えてくれないので不明。

 しかし皆、私が似合わないという理由なのと、もさもさなので名づけたモー君と呼んでいます。

 うん、やっぱりこっちの方がしっくりくるね。

 どうやらこのメルという少女は、なかなかにいい性格をしているようだ。




 見た目……ふわふわの真っ白い毛玉に、つぶらな2つの目。

 まあ、空想上のあのモンスターに良く似ているのだけれど、でもこちらはあのように不気味ではなくファンシーな外見をしています。

 あたりまえだけど、制服は当然着ていないが違反ではないようです、代わりに校章のバッチようなものが彼の左側の腰? の部分に取り付けてある。

 身長? ……いや直径1Mほどの、ん~~そうね、ものすごく柔らかいふわふわの毛糸。ぶっちゃけて言えば、色の抜けたマリモか白いウニ(時々そのような状態になるから)って所かな、友達だけど謎なの、しかも30~50センチほど空中に浮いてる。

 聞いた話では地面がない場所では飛べないらしく、また水の上も浮遊できない……とまぁ色々ツッコミどころ満載の彼。

 彼とは中等部の時からの親友なんだけれども、謎多き人物でもあるわね。

 種族は……よくわからないとしかいえない、いくら聞いてもいつも誤魔化すし、先生達も教えてくれない、同郷(国)らしい者に尋ねても教えてくれなかった。だけど頭は良いし戦闘力(速度)はずば抜けて高い。

 そしてアイテム使い? というこの国では珍しい職。

 こんな外見だけど男子・女子ともに人気はあるし、かなりの有名人(まぁ別の意味でも……と、これはまたいずれ話すことになると思うわ)  




 そうそう、私たち特殊科の授業のことなんだけど。

 普通の授業の他に、鍛冶や戦闘、更に職業別の専門授業があります。

「そういえば、1限目ってなんだっけピナ」

 まったく悪びれた様子もなく自分の席に向かいながら、メルが聞く。

「あんたはーー時間割くらいみてなさいよ、1限目は調合よ」

「ーーげっ……調合、私調合って苦手なんだよーー なんで調合なんてあるのよーー納得いかない、だって私は神官よ、神官。みんなと違い回復魔法使えるんだから、うん必要ない」

 自分の机のキーボードを取り出し、高速ブラインドタッチで何かの操作しながらメルが言い放つ。

「はぁ~~も~~あんたわね」

 その様子に大きなため息をつく翼の少女ピナであった。




「調合は冒険者にとって必須だ、もし怪我をして薬や魔法力が尽きた時とか、そんな時調合の知識があればそこらに生えている野草で助かるかもしれない」

 彼女は突然の後ろからの声に、キーボードを打つ手を止め振り返った。

 するとそこには2Mを超える巨体が、巨人の男子生徒が立っていた。

 かなり大きい身体は天井に頭が届きそうである。




「あぁ、クリスじゃない、おはよ~~今日もデカイわね」

「メル、きみはもう少し落ち着きをもったほうがいいのではないか、一応は……そう一応は女性で神官なんだし」

 その巨体に似合わず落ちつた雰囲気をもつ、クリスと呼ばれた男子生徒が言う。

「なっ……一応って、しかも今2回言ったわね2回も。クリスあんたこそ、なんでそんな無駄にデカイ体で、調合みたいなチマチマした物が簡単にできんのよ。それこそおかしいわよ」




 ※クリス 巨人族。

 本名 クリス・ジャイアント・D(このDも教えてくれないので不明です、巨人族でジャイアントと名乗れるのはかなり高貴な人物だけだったはずだけど、まぁ多分関係ないと思います)

 モー君と同じく中等部からの私の友人、高等部入試時・学科成績学年2位。

 彼のあるといわれている特殊能力は不明(素質があるが発現していない……って本人から聞いた)

 この体格で頭が良く、調合など細かい作業が得意ってどうなのかしら、薄い茶色の短髪でガッシリとした筋肉質な体、でも真面目、先生達からの評価も高い優等生でもあるが問題児でもある。

 巨人族って、まぁ言葉のとうりね、高等部くらいの男子なら大体180~220センチくらい。女子なら160~190センチの大きな身体を持つ種族。

 この国の同盟国でもある巨人の本国には4~5Mクラスの巨人もいますが、通常は2~2,5Mの身長。

 その巨体からもわかるように筋力はずば抜けて高い、しかし男子は頭を使うことや細かい作業などは苦手なのが普通。女子はそこそこ出来る。

 見かけとは違い結構おとなしい種族で有名ですが、ひとたび怒らせると手がつけられないということでも有名。

 例外として、普段から非常に気性の荒い巨人族もいるが少数部族。




「私はそんなに大きい体ではないぞ、むしろ小さいほうだが」

 巨人族にしては似合わないような……いや珍しい鋭い目つき(ただの細目ともいう)の巨人族のクリスが冷静に答える。

 く~~なんで、そんなに落ち着いているのよーーそんな巨体で(いや関係ないか)




「うむクリスよ、お……いや君は巨人族としては、小さいと言ったほうがいいとおもうが」

 浮遊する白いマリもこと、モー君が彼の言葉にツッコミを入れた。

「そうねクリスって、体の割には小心者よね」

「いやピナ、私は体のことを言っただけで、気が小さいとは一言もいってないんだが」

 ウニ……いや、モー君とピナの漫才のようなやり取りにクスクスと、周りから笑い声が聞こえてくるのであった。




「それでお前らは、いったいいつまでおしゃべりしてるつもりなんだ」

 寝耳に水、いや突然聞こえてきた声に、はっ……と私が気づいた時に、教壇に目つきの悪い、いえ鋭い目つきの体格のいい隻眼の男が立っていた。

 素人から見ても恐ろしい雰囲気が漂っているのが感じ取れたーー間違いない、スナイパーか殺し屋だろう。

 誰がどう見ても堅気ではない、軽く数人は殺害しているであろう人物に見える。

 瞬間的に騒がしかった教室内が緊迫した空気に変わった、肌を刺すような冷たい空気である。

 暖かいはずの季節なのに真冬の極寒の吹雪の真っ只中、Tシャツ一枚で山の中に放り出されたようだ。

 しかも目の前には冬眠に失敗し、腹を空かせた巨大な熊がいまにも襲い掛かってくるような光景が見に浮かんでくるようである。

(動いたら負ける、……いや死ぬ、殺される、か弱い美少女の私はまさしくピンチだわ)

 メルは突然の襲撃者、いや突然表れた人物によってテンパっていた……まぁ実際に言わせてもらえば、冒険者の資質がある時点でか弱いというのはありえないのだが。




「ウル教官! ……いっ、いつの間に」

「お前が窓から飛び込んだあたりからだな」

 まさに冷静な教官であった、この非常識な出来事を日常であるといわんばかりの発言。




 嘘……まったく気配がなかったのに……探知能力値の非常に高いモー君でさえまったくきずいていなかったみたいだし。でもまぁ、しょうがないか私は極普通の一般的な神官でお淑やかだし、あっ間違えた一般的ではなく美少女だったわね。

 う~ん、一体私は誰に説明し、念を押してるんだろう(まぁこれは、私が毎日つけている日記のようなものだから気にしないでいいか)

「ふぅ~~まぁいいわ、でも流石、この国で男子唯一のS級オーバーといわれた戦闘師範(教官)だけはあるわね」




 ※ウル(この国に認められた戦闘専門教官、クラスは通常C~Sまである)

 このウルが持つランクは学園や冒険者などに使われているC~などとは違い、いうなればさらに特殊な最難間の国家資格のようなものである。

 この資格を持つものだけが学園の教官となれる(Cでも特殊科生徒数人~数十人の強さがあるが、ランクが低いからといって弱いわけではない。ランクが低くても特殊な能力でその数倍以上強い者も多い)

 この国のかなりの実力者で、短髪のツンツン黒髪で185センチを超える身長。

 ラフな格好のシャツ越しにもわかる、異常な盛り上がりを見せる日焼けした肌の筋肉。




(何あの筋肉の鎧はーーあの巨人族であるクリスもすごいけど教官はそれ以上ね。まったくどう鍛えたら、ああなるのかしら)

 わかりやすく普通科で言うなら、どこの学校にでもいるジャージの似合う体育教師ね、まぁ一般教科や座学ではない戦闘訓練教官だけど。




「ウル教官~~1限目は調合のはずじゃ?」

「メル、お前はHRというのを忘れてないか」

 私の非の打ち所もない問いかけに、教官があきれたように答える……忘れてました。

 まっ、まぁ、攻防も筆の誤り……だったっけ?……なんかちょっとくらい間違いのような気がするけど。

 まぁそんな些細なことはどうでもいいわよね。




「あっ……あはは……嫌だな先生ーー忘れてるわけないじゃないですか、この完璧で優等生と評判の私が」

「まぁいい、では欠席をとる、……遅刻はいない……な、よし」

 ふ~……よかった、またいつものように小言われるかと思った、あせったわよ。

「それと……メル、次に窓から入ってきたら放課後素振り1000回だぞ」

「 なっ、そんなーーーーーーーーーーーいやぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 穏やかな日差しの中、彼女がいる教室に笑い声がこだまする。
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