16 / 43
絶望と僅かな希望~3
しおりを挟む
「ぶっ、……無事かお前達、くっ、俺はもう駄目みたいだが……さっ、最後にその生徒も返してもらうぞっーーーーーーーーーー」
崩れゆく体でありながら、さらに特殊能力を発動させるガード。
地面を高く隆起させ、上空から闇喰いにダイブ(体当たり)攻撃を仕掛けた。
最初の対峙で半分になった左腕で爪を弾くと、振りかぶった右手を大きな口にねじ込んだのであった。
普通の冒険者なら、先ほどの特殊能力発動で24時間は身動きひとつ取れないほど消耗する。
そんな状態で、しかも麻痺も残っていてうまく動かすことの出来ないような身体で、ここまで動けるものはこの国にほとんどいない。
「だめぇぇーーーーーーアゴちゃんーーーーーーーー」
「受け取れーーーーそして逃げろーーーー」
牙に触れた右手も黒く腐食していく、瞬く間にボロボロに崩れていくが、自ら肘を口にねじ込むと無理やり砕くのであった。
それは生徒を掴んだ指を内側から強引に押し出す為であった。
空中に飛び出した彼の巨大な人差し指、そこには1人の血まみれの生徒の姿が確認できた。
ボロボロの服、そして顔や長い髪は血で赤黒く染まり、男子なのか女子なのかすらわからない。
子供かと思えるほど小柄な生徒なのかと誰もが思った。
しかしそれは間違いであった、その生徒は右手以外の手足を失うほど、ひどい状態であった。
だがその生徒の安否すら、確認する時間さえ残されてはいなかった。
「振り返るな、学園まで全力で走れーーそして学園長にーーーーー」
「ごめんなさいアゴちゃん」
「くっ、ちっくしょーーーー」
「くそっ、いくぞメル」
崩れゆくアイアンゴーレムの巨体、それを見ていることしか出来なかった不甲斐無い自分達。
まだ多少麻痺は残っているが、元々の身体能力が高い彼女達は、なんとか走り出すことが出来た。
生徒達を命をかけて救った彼は、その最後の言葉を皆に伝えることなく錆に侵食され、砕け散り消えていったのである。
5人+安否不明の生徒、そしてモー君の背? に担がれたアテネ一行は全力で森を駆けていた。
背後の気配に最善の注意をはりながら。
2分ほど経過し、背後に近づく気配はまったく感じられない。
「なんとか、引き離せたか」
「あんなやつにアゴちゃんが、----なんでこんな」
「ピナ、まだ私達にはやることがあるでしょ、自分の命をかけてまで私達を……」
「うん、学園長に伝えないと駄目、-------ッ!!」
「うっ、うそだろ、何でこいつがここに、気配はあの場所から動いていなかったのに」
学園まであと少し。
数分あれば学園の裏門までの所、そこまでようやく逃げてきた彼女達の目の前にそれは現れた。
「そっ、そんな、ごめんアゴちゃん、私達もうーーーーーーー」
「いやぁぁぁぁーーーーーーーーーーー」
彼女達の悲鳴が深い森の中に消えてゆく。
舞い散る血肉、もはら痛みすら感じることのなくなった己の体。
「……あ~あ、……な、なんで……こんなことに、なったのかな、ただの…………だったはずなのに」
薄れ行く意識、自身の腹を貫く嫌な感覚を最後に彼女の意識は暗く深い深淵へと落ちていった。
崩れゆく体でありながら、さらに特殊能力を発動させるガード。
地面を高く隆起させ、上空から闇喰いにダイブ(体当たり)攻撃を仕掛けた。
最初の対峙で半分になった左腕で爪を弾くと、振りかぶった右手を大きな口にねじ込んだのであった。
普通の冒険者なら、先ほどの特殊能力発動で24時間は身動きひとつ取れないほど消耗する。
そんな状態で、しかも麻痺も残っていてうまく動かすことの出来ないような身体で、ここまで動けるものはこの国にほとんどいない。
「だめぇぇーーーーーーアゴちゃんーーーーーーーー」
「受け取れーーーーそして逃げろーーーー」
牙に触れた右手も黒く腐食していく、瞬く間にボロボロに崩れていくが、自ら肘を口にねじ込むと無理やり砕くのであった。
それは生徒を掴んだ指を内側から強引に押し出す為であった。
空中に飛び出した彼の巨大な人差し指、そこには1人の血まみれの生徒の姿が確認できた。
ボロボロの服、そして顔や長い髪は血で赤黒く染まり、男子なのか女子なのかすらわからない。
子供かと思えるほど小柄な生徒なのかと誰もが思った。
しかしそれは間違いであった、その生徒は右手以外の手足を失うほど、ひどい状態であった。
だがその生徒の安否すら、確認する時間さえ残されてはいなかった。
「振り返るな、学園まで全力で走れーーそして学園長にーーーーー」
「ごめんなさいアゴちゃん」
「くっ、ちっくしょーーーー」
「くそっ、いくぞメル」
崩れゆくアイアンゴーレムの巨体、それを見ていることしか出来なかった不甲斐無い自分達。
まだ多少麻痺は残っているが、元々の身体能力が高い彼女達は、なんとか走り出すことが出来た。
生徒達を命をかけて救った彼は、その最後の言葉を皆に伝えることなく錆に侵食され、砕け散り消えていったのである。
5人+安否不明の生徒、そしてモー君の背? に担がれたアテネ一行は全力で森を駆けていた。
背後の気配に最善の注意をはりながら。
2分ほど経過し、背後に近づく気配はまったく感じられない。
「なんとか、引き離せたか」
「あんなやつにアゴちゃんが、----なんでこんな」
「ピナ、まだ私達にはやることがあるでしょ、自分の命をかけてまで私達を……」
「うん、学園長に伝えないと駄目、-------ッ!!」
「うっ、うそだろ、何でこいつがここに、気配はあの場所から動いていなかったのに」
学園まであと少し。
数分あれば学園の裏門までの所、そこまでようやく逃げてきた彼女達の目の前にそれは現れた。
「そっ、そんな、ごめんアゴちゃん、私達もうーーーーーーー」
「いやぁぁぁぁーーーーーーーーーーー」
彼女達の悲鳴が深い森の中に消えてゆく。
舞い散る血肉、もはら痛みすら感じることのなくなった己の体。
「……あ~あ、……な、なんで……こんなことに、なったのかな、ただの…………だったはずなのに」
薄れ行く意識、自身の腹を貫く嫌な感覚を最後に彼女の意識は暗く深い深淵へと落ちていった。
0
あなたにおすすめの小説
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす
蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。
追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。
しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。
港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。
イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。
犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。
被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。
追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
道化たちの末路
希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と側室母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。
ペットになった
ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。
言葉も常識も通用しない世界。
それでも、特に不便は感じない。
あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。
「クロ」
笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。
※視点コロコロ
※更新ノロノロ
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる