戦人学園

ゆうむ

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絶望と僅かな希望~3

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「ぶっ、……無事かお前達、くっ、俺はもう駄目みたいだが……さっ、最後にその生徒も返してもらうぞっーーーーーーーーーー」

 崩れゆく体でありながら、さらに特殊能力を発動させるガード。

 地面を高く隆起させ、上空から闇喰いにダイブ(体当たり)攻撃を仕掛けた。

 最初の対峙で半分になった左腕で爪を弾くと、振りかぶった右手を大きな口にねじ込んだのであった。

 普通の冒険者なら、先ほどの特殊能力発動で24時間は身動きひとつ取れないほど消耗する。

 そんな状態で、しかも麻痺も残っていてうまく動かすことの出来ないような身体で、ここまで動けるものはこの国にほとんどいない。




「だめぇぇーーーーーーアゴちゃんーーーーーーーー」  

「受け取れーーーーそして逃げろーーーー」 

 牙に触れた右手も黒く腐食していく、瞬く間にボロボロに崩れていくが、自ら肘を口にねじ込むと無理やり砕くのであった。

 それは生徒を掴んだ指を内側から強引に押し出す為であった。




 空中に飛び出した彼の巨大な人差し指、そこには1人の血まみれの生徒の姿が確認できた。 

 ボロボロの服、そして顔や長い髪は血で赤黒く染まり、男子なのか女子なのかすらわからない。

 子供かと思えるほど小柄な生徒なのかと誰もが思った。

 しかしそれは間違いであった、その生徒は右手以外の手足を失うほど、ひどい状態であった。

 だがその生徒の安否すら、確認する時間さえ残されてはいなかった。

「振り返るな、学園まで全力で走れーーそして学園長にーーーーー」





「ごめんなさいアゴちゃん」

「くっ、ちっくしょーーーー」

「くそっ、いくぞメル」 

 崩れゆくアイアンゴーレムの巨体、それを見ていることしか出来なかった不甲斐無い自分達。

 まだ多少麻痺は残っているが、元々の身体能力が高い彼女達は、なんとか走り出すことが出来た。

 生徒達を命をかけて救った彼は、その最後の言葉を皆に伝えることなく錆に侵食され、砕け散り消えていったのである。




 5人+安否不明の生徒、そしてモー君の背? に担がれたアテネ一行は全力で森を駆けていた。

 背後の気配に最善の注意をはりながら。




 2分ほど経過し、背後に近づく気配はまったく感じられない。

「なんとか、引き離せたか」

「あんなやつにアゴちゃんが、----なんでこんな」

「ピナ、まだ私達にはやることがあるでしょ、自分の命をかけてまで私達を……」

「うん、学園長に伝えないと駄目、-------ッ!!」

「うっ、うそだろ、何でこいつがここに、気配はあの場所から動いていなかったのに」




 学園まであと少し。

 数分あれば学園の裏門までの所、そこまでようやく逃げてきた彼女達の目の前にそれは現れた。

「そっ、そんな、ごめんアゴちゃん、私達もうーーーーーーー」

「いやぁぁぁぁーーーーーーーーーーー」

 彼女達の悲鳴が深い森の中に消えてゆく。




 舞い散る血肉、もはら痛みすら感じることのなくなった己の体。

「……あ~あ、……な、なんで……こんなことに、なったのかな、ただの…………だったはずなのに」


 薄れ行く意識、自身の腹を貫く嫌な感覚を最後に彼女の意識は暗く深い深淵へと落ちていった。
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