33 / 43
運命の日・・・3
しおりを挟む
赤い線のようなものが地面に残されているのが見えた。
それは数十メートル先まで引きずられた血のあとであった、そこまでの地面には大量の白や赤の羽が落ちている。
嫌な予感がした。
急ぎクリスとモー君の2人に、最早気休め程度にもならないのはわかっているが、手持ちの薬草で治療をすませる。
すぐに立ち上がり、地面の血の跡を辿っていく。
わずかな希望は絶望に変わった、美しかった白い翼は赤く染まり、片方は無残にも根元より無くなっている。
彼女は地面に横たわったままピクリとも動かない。
ピナの伸ばした手の先に、もう1人の手が伸びていた。
小柄な少女、長い耳が特徴の彼女であることはすぐにわかった。
「ピナ、ナナ、しっかりなさいーーーーッ、何でこんなことに、くっ、何で私は……ごめんね2人とも」
2人の目をゆっくりと閉じ押させる。
ーーその時、森の奥、わき道を入った先のほうからかすかに音が聞こえた。
聞き覚えのある声、彼女は生きている、何かと戦っている。
アテネは白衣を脱ぎ捨て、音のする方向へ走り出していた。
「メルーー今行くから逃げ回っていなさい、私がそこに行くまーーーー!!」
「----!!、ぐっ、あっ、アテネせん……せい、にげ……て」
わき道に入った直後、何かが飛んできた。
反射的に受け止めたアテネ、それはメルであった。
全身傷だらけ、彼女がいつも杖だと言い張っているハンマーは、黒く腐食し手で握っている部分しか残ってはいなかった。
「メル、大丈夫なーーーーッ、……ゆ、ゆるさない、何が誰がこの子達をここまでーーーー絶対ゆるさない」
アテネの腕の中、メルの腹部には致命傷となっているひどい傷跡が残されていた。
彼女達の傷跡は不自然なほど、全身くまなく広範囲にまでつけられている、普通ここまでの力の差がある戦いでは絶対こうはならない。
あきらかに相手を、ただただいたぶる行為だとわかった。
怒りで我を忘れそうであった、この子達をここまで、もてあそぶ様にいたぶって殺した相手を許せなかった。
自分の手の中で次第に冷たくなっていく昔から良く知っている生徒、いつも元気いっぱいの笑顔が思い出される。
そして間に合わなかった、守れなかった自分自身を許せなかった。
相手は何対いるのか、今の状態の自分で勝てるのだろうか、あの子達全員を同時に相手にして、あそこまでいたぶるようなことが出来る未知の強敵に。
現状無力残量は自然回復した数%程度、回復魔法は使用不可能。
さらにあの現役時代の力と技は封印されている。
それでも許せない、自分の体がどうなろうとも必ず仇をとる。
「----を代償に、--を一部解除、----ッ、体が……悲鳴をあげてる、でもまだ」
高速で術式詠唱を開始する、全身から力があふれ出していくのがわかる。
すぐに武器を取り出し、皆の仇がいる方向へ駆け出す。
ほんの数メートル先にそれは居た、かなりのサイズの熊型の闇喰い。
対峙した瞬間、アテネは不思議な気持ちになった。
恐ろしいほどのプレッシャーを発してはいるが、どこか懐かしいような妙な感じだったのだ。
それも一瞬のことであった、その闇喰いは腹にある巨大な口で1人の生徒を喰っていたのである。
血まみれの右腕のみ口の外に出ていた、怒りで頭がどうにかなりそうであった。
「アッ……アンタがあの子達を、絶対許さないわよ。それとその子は返してもらうーーーー喰らいなさいーーーー」
向き合った瞬間、本能で感じた、この相手はまずい、決して攻撃の手を緩めてはならない、一気に押しきれ破壊し尽くせと。
懐深くまで飛び込み、両手に装備した盾付きのメタルナックル(特殊合金製)で左右からの高速連激、そこから右膝で浮かせ、左蹴りのコンボで相手を上空に蹴り上げる。
「まだまだぁぁぁーー、あの子達の痛みはこんなものじゃなかった」
さらに全身のバネを生かし、一瞬で相手の上空に移動すると、最度連激の体制に入った。
「----ぁ、----我ァ、めっ……」
「ーー!!、えっ何よ、何なのよコイツは……くっ、させるもんですかぁーーー」
目の前の敵、闇喰いがしゃべったような気がした、しかし今の彼女にそのようなことを考えてる暇はなかった。
あれからどれくらい時間が経過しただろうか、数分? 数時間? ただ必死であった。
喰われていた生徒はなんとか救出したものの、無理をしすぎたおかげで左腕の感覚はもうない。
時間が経過するごとに目の前のコイツは強くなっていく、いや別の何かに進化しているようであった。
「ジンルーーい、……〇〇ハ、滅びよ……我が」
確かにこの闇喰いは喋っていた、最初は気のせいかと思ったがそうではなかった、始めはカタコトであったが、今ではちゃんと聞き取れるほどに進歩している。
「五月蝿い、喋るな黙っていろ、クソッーーこの化け物め……こうなればーーーーをすべて解除」
「……死ね、滅せヨ、すべーーーー!!」
力すべてを右手に集中させようとした瞬間。
目の前の闇食いの上半分が消えた、いや正確には頭部ごと消し飛ばされていた。
「----ッ、何が起きたの」
「----ハ、死ぬ、滅びルノカ……!!」
次の瞬間、腹の口から真っ黒い手が飛び出していた。
それは背後からの攻撃、何者かがこの強敵を難なく仕留めたのであった。
「--お、そこ……の女よ、お前はーーーー」
「あっ、あなたは…………誰な……」
急激な負荷が肉体と精神の両方にかかったせいで、彼女の意識は次第に薄れていく。
「--ッ、あなたは誰、何者なのぉぉーーーーーーー」
突如、意識が現実に引き戻された。
全身から嫌な汗が噴出していた、白衣がべとべとで気持ち悪い。
「あっ、あの時の記憶なの……いや夢なの、わからないどこまでが現実だったのか。まだこの子は目を覚まさないか、……ふぅ、まずはシャワーでもあびて着替えてこようかな」
椅子から起き上がろうとした時、自分が男としては小さな少年の右手をしっかりと握っていることに気が付いた。
その手の暖かさから、彼女は不思議な懐かしさを感じていた。
それは数十メートル先まで引きずられた血のあとであった、そこまでの地面には大量の白や赤の羽が落ちている。
嫌な予感がした。
急ぎクリスとモー君の2人に、最早気休め程度にもならないのはわかっているが、手持ちの薬草で治療をすませる。
すぐに立ち上がり、地面の血の跡を辿っていく。
わずかな希望は絶望に変わった、美しかった白い翼は赤く染まり、片方は無残にも根元より無くなっている。
彼女は地面に横たわったままピクリとも動かない。
ピナの伸ばした手の先に、もう1人の手が伸びていた。
小柄な少女、長い耳が特徴の彼女であることはすぐにわかった。
「ピナ、ナナ、しっかりなさいーーーーッ、何でこんなことに、くっ、何で私は……ごめんね2人とも」
2人の目をゆっくりと閉じ押させる。
ーーその時、森の奥、わき道を入った先のほうからかすかに音が聞こえた。
聞き覚えのある声、彼女は生きている、何かと戦っている。
アテネは白衣を脱ぎ捨て、音のする方向へ走り出していた。
「メルーー今行くから逃げ回っていなさい、私がそこに行くまーーーー!!」
「----!!、ぐっ、あっ、アテネせん……せい、にげ……て」
わき道に入った直後、何かが飛んできた。
反射的に受け止めたアテネ、それはメルであった。
全身傷だらけ、彼女がいつも杖だと言い張っているハンマーは、黒く腐食し手で握っている部分しか残ってはいなかった。
「メル、大丈夫なーーーーッ、……ゆ、ゆるさない、何が誰がこの子達をここまでーーーー絶対ゆるさない」
アテネの腕の中、メルの腹部には致命傷となっているひどい傷跡が残されていた。
彼女達の傷跡は不自然なほど、全身くまなく広範囲にまでつけられている、普通ここまでの力の差がある戦いでは絶対こうはならない。
あきらかに相手を、ただただいたぶる行為だとわかった。
怒りで我を忘れそうであった、この子達をここまで、もてあそぶ様にいたぶって殺した相手を許せなかった。
自分の手の中で次第に冷たくなっていく昔から良く知っている生徒、いつも元気いっぱいの笑顔が思い出される。
そして間に合わなかった、守れなかった自分自身を許せなかった。
相手は何対いるのか、今の状態の自分で勝てるのだろうか、あの子達全員を同時に相手にして、あそこまでいたぶるようなことが出来る未知の強敵に。
現状無力残量は自然回復した数%程度、回復魔法は使用不可能。
さらにあの現役時代の力と技は封印されている。
それでも許せない、自分の体がどうなろうとも必ず仇をとる。
「----を代償に、--を一部解除、----ッ、体が……悲鳴をあげてる、でもまだ」
高速で術式詠唱を開始する、全身から力があふれ出していくのがわかる。
すぐに武器を取り出し、皆の仇がいる方向へ駆け出す。
ほんの数メートル先にそれは居た、かなりのサイズの熊型の闇喰い。
対峙した瞬間、アテネは不思議な気持ちになった。
恐ろしいほどのプレッシャーを発してはいるが、どこか懐かしいような妙な感じだったのだ。
それも一瞬のことであった、その闇喰いは腹にある巨大な口で1人の生徒を喰っていたのである。
血まみれの右腕のみ口の外に出ていた、怒りで頭がどうにかなりそうであった。
「アッ……アンタがあの子達を、絶対許さないわよ。それとその子は返してもらうーーーー喰らいなさいーーーー」
向き合った瞬間、本能で感じた、この相手はまずい、決して攻撃の手を緩めてはならない、一気に押しきれ破壊し尽くせと。
懐深くまで飛び込み、両手に装備した盾付きのメタルナックル(特殊合金製)で左右からの高速連激、そこから右膝で浮かせ、左蹴りのコンボで相手を上空に蹴り上げる。
「まだまだぁぁぁーー、あの子達の痛みはこんなものじゃなかった」
さらに全身のバネを生かし、一瞬で相手の上空に移動すると、最度連激の体制に入った。
「----ぁ、----我ァ、めっ……」
「ーー!!、えっ何よ、何なのよコイツは……くっ、させるもんですかぁーーー」
目の前の敵、闇喰いがしゃべったような気がした、しかし今の彼女にそのようなことを考えてる暇はなかった。
あれからどれくらい時間が経過しただろうか、数分? 数時間? ただ必死であった。
喰われていた生徒はなんとか救出したものの、無理をしすぎたおかげで左腕の感覚はもうない。
時間が経過するごとに目の前のコイツは強くなっていく、いや別の何かに進化しているようであった。
「ジンルーーい、……〇〇ハ、滅びよ……我が」
確かにこの闇喰いは喋っていた、最初は気のせいかと思ったがそうではなかった、始めはカタコトであったが、今ではちゃんと聞き取れるほどに進歩している。
「五月蝿い、喋るな黙っていろ、クソッーーこの化け物め……こうなればーーーーをすべて解除」
「……死ね、滅せヨ、すべーーーー!!」
力すべてを右手に集中させようとした瞬間。
目の前の闇食いの上半分が消えた、いや正確には頭部ごと消し飛ばされていた。
「----ッ、何が起きたの」
「----ハ、死ぬ、滅びルノカ……!!」
次の瞬間、腹の口から真っ黒い手が飛び出していた。
それは背後からの攻撃、何者かがこの強敵を難なく仕留めたのであった。
「--お、そこ……の女よ、お前はーーーー」
「あっ、あなたは…………誰な……」
急激な負荷が肉体と精神の両方にかかったせいで、彼女の意識は次第に薄れていく。
「--ッ、あなたは誰、何者なのぉぉーーーーーーー」
突如、意識が現実に引き戻された。
全身から嫌な汗が噴出していた、白衣がべとべとで気持ち悪い。
「あっ、あの時の記憶なの……いや夢なの、わからないどこまでが現実だったのか。まだこの子は目を覚まさないか、……ふぅ、まずはシャワーでもあびて着替えてこようかな」
椅子から起き上がろうとした時、自分が男としては小さな少年の右手をしっかりと握っていることに気が付いた。
その手の暖かさから、彼女は不思議な懐かしさを感じていた。
0
あなたにおすすめの小説
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす
蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。
追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。
しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。
港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。
イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。
犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。
被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。
追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
道化たちの末路
希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と側室母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。
ペットになった
ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。
言葉も常識も通用しない世界。
それでも、特に不便は感じない。
あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。
「クロ」
笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。
※視点コロコロ
※更新ノロノロ
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる