11 / 147
────0章『王様と彼らの泥舟』
■8「大里の葛藤」
しおりを挟む
****♡side・大里
「久隆?」
パーティーから抜け出した大里と久隆は、借りて来た映画を二人で眺めていた。久隆はいつも通り大里の隣に座ると、そのまま寄りかかって腕と足を組む。友人のいない彼は、その距離感がおかしいと誰からも指摘されたことがなかったため、ずっとこの恋人のような距離感で大里と接してきたのだが。大里は眠ってしまった彼をソファーに横たえ、ブランケットをかけてやると、しばらく寝顔を見つめていた。
久隆が好きだ。
まだ久隆に言ったことはない。言ったらこの関係が終わってしまうような気がして言えない。こんな風に安心して寄りかかられることも。話をすることも無くなるかもしれない。何よりも、自分の理性が保てなくなりそうで怖い。そうやって自分を騙して今までやってきた。大里は彼の柔らかい髪に触れる。
大里は中学二年の時から遊び人として学園で有名になり始めた。ただ、久隆を守りたくて。学園に久隆を巻き込んだ闇ルールを作った自分は、彼に憎しみが向けられることを何よりも恐れた。“体の関係があれば大丈夫”、“セフレだから大丈夫”そんな安心感を求めているヤツを誰彼構わず受け入れ。
久隆さえ安全なら、自分なんてどうでもいい。
久隆さえ守れるのなら。
ぶっ壊れた大里を救ってくれたのは“黒川 彩都”だった。純粋で健気で、優しい子で。自分のどこがいいのか、好きだと告白をされ“好きな人がいるからつき合えない”と断ったら”セフレでもいいから側に居たい”とすがられた。そもそも彩都を抱く気はなかったが、中学のあの旅行以降毎晩“久隆をレイプする夢”を見るようになり、それが現実になるのを恐れノイローゼ気味になって。耐えられなくなった自分は彩都に”救い”を求めた。
間違っている。
彩都を犠牲にするなんて。
それでもあの子は受け入れてくれた。
“辛かったね”って、俺の心の重荷を半分持とうとしてくれて。
あの日、隣の部屋に久隆が居るのにも関わらずわざと彩都を抱いたのだ。それは“実質的に久隆を諦めるため”自分自身に“諦めさせるため”。でも、好きという気持ちはどうにもならない。今だって目の前で無防備に眠る彼を自分のものにしたいと思ってしまっている。
“二年以内に婚約か?!”
週刊紙の見出しを思い出す度に現実になればいいのにと願っている。最低な自分は久隆が好きで、こんな最低な自分を彩都は好きで居てくれて。
“セフレなんてやめろよ”
久隆に何度も言われてきた。人を傷つけるのはやめろと。
俺だって、やめられるものならやめたい。
できることなら。
「久隆?」
パーティーから抜け出した大里と久隆は、借りて来た映画を二人で眺めていた。久隆はいつも通り大里の隣に座ると、そのまま寄りかかって腕と足を組む。友人のいない彼は、その距離感がおかしいと誰からも指摘されたことがなかったため、ずっとこの恋人のような距離感で大里と接してきたのだが。大里は眠ってしまった彼をソファーに横たえ、ブランケットをかけてやると、しばらく寝顔を見つめていた。
久隆が好きだ。
まだ久隆に言ったことはない。言ったらこの関係が終わってしまうような気がして言えない。こんな風に安心して寄りかかられることも。話をすることも無くなるかもしれない。何よりも、自分の理性が保てなくなりそうで怖い。そうやって自分を騙して今までやってきた。大里は彼の柔らかい髪に触れる。
大里は中学二年の時から遊び人として学園で有名になり始めた。ただ、久隆を守りたくて。学園に久隆を巻き込んだ闇ルールを作った自分は、彼に憎しみが向けられることを何よりも恐れた。“体の関係があれば大丈夫”、“セフレだから大丈夫”そんな安心感を求めているヤツを誰彼構わず受け入れ。
久隆さえ安全なら、自分なんてどうでもいい。
久隆さえ守れるのなら。
ぶっ壊れた大里を救ってくれたのは“黒川 彩都”だった。純粋で健気で、優しい子で。自分のどこがいいのか、好きだと告白をされ“好きな人がいるからつき合えない”と断ったら”セフレでもいいから側に居たい”とすがられた。そもそも彩都を抱く気はなかったが、中学のあの旅行以降毎晩“久隆をレイプする夢”を見るようになり、それが現実になるのを恐れノイローゼ気味になって。耐えられなくなった自分は彩都に”救い”を求めた。
間違っている。
彩都を犠牲にするなんて。
それでもあの子は受け入れてくれた。
“辛かったね”って、俺の心の重荷を半分持とうとしてくれて。
あの日、隣の部屋に久隆が居るのにも関わらずわざと彩都を抱いたのだ。それは“実質的に久隆を諦めるため”自分自身に“諦めさせるため”。でも、好きという気持ちはどうにもならない。今だって目の前で無防備に眠る彼を自分のものにしたいと思ってしまっている。
“二年以内に婚約か?!”
週刊紙の見出しを思い出す度に現実になればいいのにと願っている。最低な自分は久隆が好きで、こんな最低な自分を彩都は好きで居てくれて。
“セフレなんてやめろよ”
久隆に何度も言われてきた。人を傷つけるのはやめろと。
俺だって、やめられるものならやめたい。
できることなら。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる