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────0章『王様と彼らの泥舟』
■10「動き出した歯車」
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****♡Side・咲夜
その日、咲夜は一人で教室へ向かっていた。
廊下でたまたま出くわした担任に、雑用を頼まれたからである。一人で学園内をうろつくのは、なんとなく怖い。K学園に入学してから思う、この学園は明確な何かはわからないが、異質な空気が流れている。葵を一人にしなくて良かったと、咲夜は心から思った。
同じクラスの“外部生”から“内部生”とあまり関わらないほうが良い、と忠告されている。K学園で“内部生”とは、”付属幼稚園から在籍している生徒のみ”を差すらしく、初等部や中等部からの入学生は“外部生”と呼称されているようで。忠告してくれたクラスメイトは、中等部からの“外部生”であった。事情はよく知らないが、学園全体の空気がピリピリしていると感じる。まさかその理由に“大崎 久隆”が関係しているとは思いもしない。
咲夜には、高校で再会できたら彼に聞きたいことがあった。それは“姫”とは誰なのか?と言う事。そんなこと聞いてどうするんだ、と思われるかも知れないが、何故か聞かなくてはいけない気がしている。
たった一言質問するだけなのに..。
それが容易ではないことに気づく、話しかけるチャンスが全くないのである。“内部生”と“外部生”の壁、“セレブ”の久隆と“一般人”の自分。そして、イケメンで180センチの目に見える壁が立ちはだかっていた。恐らく一番の障害は“大里 聖”の存在。ぞろぞろと取り巻きを連れ、まるで“姫を守るナイト”のように、自然かつ一定の距離を保って久隆の側にいる。咲夜にとっては脅威の存在だ。久隆に近づいたら殺されるのではないかと思うくらい殺気すら感じる。それなのに、帰りは別々。不思議な二人だ。
ならば帰りにチャンスがあるのかと言うと、そうではない。空き時間はほぼ葵と一緒にいるためチャンスがない。
葵は久隆に対して警戒している節がある、中学の時のあの旅行以来、ずっと。だから葵の前で久隆に話しかけようものなら、悲しませるかもしれないし、怒らせるかもしれない。最悪嫌われる可能性だってある、それは絶対に避けなくてはならない。葵を失ったら自分は生きてはいけない、葵が居てくれているから自分を保っていられる、呼吸をし、笑うことも出来る。
急ぎ足で教室へ向かっていた咲夜だったが、ふと中庭の紫陽花に目がいく。もう入学からこんなに経っていたのだなと、ここで立ち止まったことが、幸か不幸か大きく三人の運命を変えていく出来事となるのだった。
その日、咲夜は一人で教室へ向かっていた。
廊下でたまたま出くわした担任に、雑用を頼まれたからである。一人で学園内をうろつくのは、なんとなく怖い。K学園に入学してから思う、この学園は明確な何かはわからないが、異質な空気が流れている。葵を一人にしなくて良かったと、咲夜は心から思った。
同じクラスの“外部生”から“内部生”とあまり関わらないほうが良い、と忠告されている。K学園で“内部生”とは、”付属幼稚園から在籍している生徒のみ”を差すらしく、初等部や中等部からの入学生は“外部生”と呼称されているようで。忠告してくれたクラスメイトは、中等部からの“外部生”であった。事情はよく知らないが、学園全体の空気がピリピリしていると感じる。まさかその理由に“大崎 久隆”が関係しているとは思いもしない。
咲夜には、高校で再会できたら彼に聞きたいことがあった。それは“姫”とは誰なのか?と言う事。そんなこと聞いてどうするんだ、と思われるかも知れないが、何故か聞かなくてはいけない気がしている。
たった一言質問するだけなのに..。
それが容易ではないことに気づく、話しかけるチャンスが全くないのである。“内部生”と“外部生”の壁、“セレブ”の久隆と“一般人”の自分。そして、イケメンで180センチの目に見える壁が立ちはだかっていた。恐らく一番の障害は“大里 聖”の存在。ぞろぞろと取り巻きを連れ、まるで“姫を守るナイト”のように、自然かつ一定の距離を保って久隆の側にいる。咲夜にとっては脅威の存在だ。久隆に近づいたら殺されるのではないかと思うくらい殺気すら感じる。それなのに、帰りは別々。不思議な二人だ。
ならば帰りにチャンスがあるのかと言うと、そうではない。空き時間はほぼ葵と一緒にいるためチャンスがない。
葵は久隆に対して警戒している節がある、中学の時のあの旅行以来、ずっと。だから葵の前で久隆に話しかけようものなら、悲しませるかもしれないし、怒らせるかもしれない。最悪嫌われる可能性だってある、それは絶対に避けなくてはならない。葵を失ったら自分は生きてはいけない、葵が居てくれているから自分を保っていられる、呼吸をし、笑うことも出来る。
急ぎ足で教室へ向かっていた咲夜だったが、ふと中庭の紫陽花に目がいく。もう入学からこんなに経っていたのだなと、ここで立ち止まったことが、幸か不幸か大きく三人の運命を変えていく出来事となるのだった。
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