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────1章『方舟のゆくえ』
■4「その選択の理由」
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****♡Side・葵
葵は隣でうとうとしている咲夜の髪をそっと撫でながら、久隆に持ちかけられた計画を反芻している。悪い話ではなかった。望む形にならなくとも、半永久的に咲夜のそばにいることが出来る。そもそも、子を成すことの出来ない同性同士だ、婚姻がゴールである必要はないのかもしれない。
昔は、同性同士というだけで白い目で見られたり、こそこそしなければならない世の中だったと聞く。今からではとてもではないが、考えられない。“人は個として相手を愛すべきであり、それを性として捉えるべきではない”そう考える世の中になった。つまりAがBを愛するのは異性だから、同性だからではなく、Bだからという思想。それで変わったことと言えばは、結果としての同性愛者や異性愛者ではなく、恋愛対象がどちらなのかかという考え方。それは似ているようで全然違う。
その思想により偏見はなくなった。好きになる相手が同性ばかりの場合、自分の恋愛対象は同性なのかな、と認識する程度であり、恋愛において性別重要ではないということ。仮に自分の恋愛対象が異性ばかりで、同性に告白されたとする。付き合えない理由が性別という考え方は古い。恋愛に発展できない相手同様、普通にお断りすればいいだけのこと。優しい世の中になったのだな、と葵は昔の文献を読むたびそう感じたし、好きな人と、同性だからという理由で手も繋げないなんて、と不憫に思うこともある。
これにより、もうひとつ良いことがあった。虐待などで施設にあづけられる子供を、子成せない同性カップルが引き取れるようになったことだ。中学の時、葵のクラスにも、女性同士の同性婚カップルに引き取られて育った子がいる。とても幸せそうに見え、幸せなんてものは、誰かが決めるものではない、押し付けられるものでもないと心から感じた。この世で一番幸せなことは、大好きな人の側にいられること。人間だから自分の意思でそれを選べる。そうあるべきだ。
「サク、俺は..」
自分は、彼を幸せにしてあげられるのだろうか、こんな世の中なのに、不安しかない。
『俺が二人の恋を守るから』
久隆は強い光を目に称えてそう言った、任せて欲しいと。
『どうしてそこまでしてくれるの?』
葵は計画書を見ながら、久隆に問う。
『好きな人と結ばれない辛さは、俺が誰よりも解っていると思うから』
彼はそう言って微笑む。久隆に愛された人はどんなにか幸せだろうと思った。自分を犠牲にしてでも、誰かの幸せを成そうとする人なのだ。そんな優しい久隆のために自分はなにが出来る?
“咲夜を自分の恋人として、大崎グループの会長に紹介する”
ふと、計画の一行を思い出した。果たして、咲夜に久隆の恋人のフリが出来るのだろうか?ならば演技でなければどうだろう?咲夜の側を離れることは正直、気が進まない。彼をここまで自分に依存させたのは他でもない自分なのだから。けれど、久隆が必死になっている今、自分も必死にならなければならないのではないだろうか?葵は腹を括る、敵を騙すにはまず、味方から。
「サク、ごめんね」
君が好きだから、俺は君に嘘をつく。
でも、友人として側にいるから。
ちゃんと戻ってくるから。
葵はスマホを手に取ると、久隆に連絡を入れた。
「久隆くん、お願いがあるんだ」
葵は隣でうとうとしている咲夜の髪をそっと撫でながら、久隆に持ちかけられた計画を反芻している。悪い話ではなかった。望む形にならなくとも、半永久的に咲夜のそばにいることが出来る。そもそも、子を成すことの出来ない同性同士だ、婚姻がゴールである必要はないのかもしれない。
昔は、同性同士というだけで白い目で見られたり、こそこそしなければならない世の中だったと聞く。今からではとてもではないが、考えられない。“人は個として相手を愛すべきであり、それを性として捉えるべきではない”そう考える世の中になった。つまりAがBを愛するのは異性だから、同性だからではなく、Bだからという思想。それで変わったことと言えばは、結果としての同性愛者や異性愛者ではなく、恋愛対象がどちらなのかかという考え方。それは似ているようで全然違う。
その思想により偏見はなくなった。好きになる相手が同性ばかりの場合、自分の恋愛対象は同性なのかな、と認識する程度であり、恋愛において性別重要ではないということ。仮に自分の恋愛対象が異性ばかりで、同性に告白されたとする。付き合えない理由が性別という考え方は古い。恋愛に発展できない相手同様、普通にお断りすればいいだけのこと。優しい世の中になったのだな、と葵は昔の文献を読むたびそう感じたし、好きな人と、同性だからという理由で手も繋げないなんて、と不憫に思うこともある。
これにより、もうひとつ良いことがあった。虐待などで施設にあづけられる子供を、子成せない同性カップルが引き取れるようになったことだ。中学の時、葵のクラスにも、女性同士の同性婚カップルに引き取られて育った子がいる。とても幸せそうに見え、幸せなんてものは、誰かが決めるものではない、押し付けられるものでもないと心から感じた。この世で一番幸せなことは、大好きな人の側にいられること。人間だから自分の意思でそれを選べる。そうあるべきだ。
「サク、俺は..」
自分は、彼を幸せにしてあげられるのだろうか、こんな世の中なのに、不安しかない。
『俺が二人の恋を守るから』
久隆は強い光を目に称えてそう言った、任せて欲しいと。
『どうしてそこまでしてくれるの?』
葵は計画書を見ながら、久隆に問う。
『好きな人と結ばれない辛さは、俺が誰よりも解っていると思うから』
彼はそう言って微笑む。久隆に愛された人はどんなにか幸せだろうと思った。自分を犠牲にしてでも、誰かの幸せを成そうとする人なのだ。そんな優しい久隆のために自分はなにが出来る?
“咲夜を自分の恋人として、大崎グループの会長に紹介する”
ふと、計画の一行を思い出した。果たして、咲夜に久隆の恋人のフリが出来るのだろうか?ならば演技でなければどうだろう?咲夜の側を離れることは正直、気が進まない。彼をここまで自分に依存させたのは他でもない自分なのだから。けれど、久隆が必死になっている今、自分も必死にならなければならないのではないだろうか?葵は腹を括る、敵を騙すにはまず、味方から。
「サク、ごめんね」
君が好きだから、俺は君に嘘をつく。
でも、友人として側にいるから。
ちゃんと戻ってくるから。
葵はスマホを手に取ると、久隆に連絡を入れた。
「久隆くん、お願いがあるんだ」
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