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────1章『方舟のゆくえ』
■11「葵と久隆」
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****♡Side・咲夜
夜中にふと目が覚める。
「葵..」
毎夜抱き締めて眠っていた葵がいない。
そうだ、葵は..。
咲夜は自分の不甲斐なさと無力さにハラハラと涙を溢す。
「うぅっ...」
こんな日が来るなんて思わなかった。ずっと一緒に居てくれるって言ったのに。帰ろうと思えば二人で暮らしているマンションに帰れたが、もし葵が居なかったらと思うと帰るに帰れず、ずっと久隆のところに居る。たった二日なのに、寂しくて寂しくて胸が張り裂けそうだ。
好きな人って誰なのだろう?
葵を奪ったその人が憎い。
葵、葵、葵..。
会いたい。
全部嘘だと言って抱き締めて欲しい。
結局、自分は誰にも愛されない。
大好きだった父は他界した。
最愛の妹とは引き裂かれ、母に捨てられた。
愛し、どっぷり依存していた葵には見捨てられ..。
「咲夜」
顔を覆い泣いていると、いつの間にか戸口に久隆が心配そうな顔をして立っている。葵の匂いの残るベッドで一人眠っていたのだが。
「おいで、やっぱり一緒に寝よう?」
「久隆ッ」
“くー”なら俺を捨てない?
一緒に居てくれる?
もう、ひとりぼっちは嫌だ。
咲夜はベッドから飛び出すと幼子のように久隆に抱きついた。
「葵ちゃんはすぐに戻ってくるよ」
だから泣かないでと抱き締め返してくれる。
「隣の部屋いこう」
久隆に連れられ、彼の部屋へ。
**
ベッドに横になると久隆は咲夜を抱き締め、ヨシヨシと髪を撫でてくれた。
「辛かったね、大丈夫だよ」
「うぅっ..う」
「いい子、咲夜はいい子だよ」
まるで大好きだった父のように久隆は、咲夜をいい子いい子して背中をポンポンと優しく叩きながら、
「葵ちゃんに連絡したら、またこっち来るって言ってたし」
そう葵について報告をしてくれる。咲夜は葵が本格的に大崎邸で暮らそうと、思い荷づくりの真っ最中であることを知らない。もちろん咲夜の荷物も、葵がせっせと荷づくりしていることや、葵自身の親や咲夜の義父に話をつけていることも。
「大丈夫だから、安心してお眠り」
咲夜はぎゅっと久隆にしがみつき、
「久隆はずっと一緒に居てくれるの?」
と疑問を投げ掛けると、久隆は驚いた顔をする。
どうして久隆がそんな顔をするのかわからなかった。彼がずっと”咲夜は自分に興味がない”と思っていたことを咲夜は知らずにいた。咲夜にとっては、久隆が“くー”と同一人物だとわかっても“住む世界が違う”という理由で、近づき難い印象が根強く残っていたから距離をとっていただけに過ぎないからである。
「咲夜が望んでくれるならいくらだって側にいるよ」
「!」
久隆の慈愛に満ちた微笑みに、咲夜はトキメキを感じてしまった。
な、なんで?
なんでこんなにドキドキするんだろ?
咲夜は混乱していた。
夜中にふと目が覚める。
「葵..」
毎夜抱き締めて眠っていた葵がいない。
そうだ、葵は..。
咲夜は自分の不甲斐なさと無力さにハラハラと涙を溢す。
「うぅっ...」
こんな日が来るなんて思わなかった。ずっと一緒に居てくれるって言ったのに。帰ろうと思えば二人で暮らしているマンションに帰れたが、もし葵が居なかったらと思うと帰るに帰れず、ずっと久隆のところに居る。たった二日なのに、寂しくて寂しくて胸が張り裂けそうだ。
好きな人って誰なのだろう?
葵を奪ったその人が憎い。
葵、葵、葵..。
会いたい。
全部嘘だと言って抱き締めて欲しい。
結局、自分は誰にも愛されない。
大好きだった父は他界した。
最愛の妹とは引き裂かれ、母に捨てられた。
愛し、どっぷり依存していた葵には見捨てられ..。
「咲夜」
顔を覆い泣いていると、いつの間にか戸口に久隆が心配そうな顔をして立っている。葵の匂いの残るベッドで一人眠っていたのだが。
「おいで、やっぱり一緒に寝よう?」
「久隆ッ」
“くー”なら俺を捨てない?
一緒に居てくれる?
もう、ひとりぼっちは嫌だ。
咲夜はベッドから飛び出すと幼子のように久隆に抱きついた。
「葵ちゃんはすぐに戻ってくるよ」
だから泣かないでと抱き締め返してくれる。
「隣の部屋いこう」
久隆に連れられ、彼の部屋へ。
**
ベッドに横になると久隆は咲夜を抱き締め、ヨシヨシと髪を撫でてくれた。
「辛かったね、大丈夫だよ」
「うぅっ..う」
「いい子、咲夜はいい子だよ」
まるで大好きだった父のように久隆は、咲夜をいい子いい子して背中をポンポンと優しく叩きながら、
「葵ちゃんに連絡したら、またこっち来るって言ってたし」
そう葵について報告をしてくれる。咲夜は葵が本格的に大崎邸で暮らそうと、思い荷づくりの真っ最中であることを知らない。もちろん咲夜の荷物も、葵がせっせと荷づくりしていることや、葵自身の親や咲夜の義父に話をつけていることも。
「大丈夫だから、安心してお眠り」
咲夜はぎゅっと久隆にしがみつき、
「久隆はずっと一緒に居てくれるの?」
と疑問を投げ掛けると、久隆は驚いた顔をする。
どうして久隆がそんな顔をするのかわからなかった。彼がずっと”咲夜は自分に興味がない”と思っていたことを咲夜は知らずにいた。咲夜にとっては、久隆が“くー”と同一人物だとわかっても“住む世界が違う”という理由で、近づき難い印象が根強く残っていたから距離をとっていただけに過ぎないからである。
「咲夜が望んでくれるならいくらだって側にいるよ」
「!」
久隆の慈愛に満ちた微笑みに、咲夜はトキメキを感じてしまった。
な、なんで?
なんでこんなにドキドキするんだろ?
咲夜は混乱していた。
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