R18【同性恋愛】『戻れない僕らの日常』【絆・対・相編】正規ルート編

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────1章『方舟のゆくえ』

■12「以心伝心」

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 ****♡Side・葵

 ────月曜日。

 休み時間、葵がいつもの場所にいると躊躇いがちに咲夜がやって来た。
「おはよー、サク」 
 葵は荷造りが思ったよりも順調だったため気分は上々、明るく声をかける。

 え、何。
 その距離感。

 それに反し咲夜は沈んだ声で、
「おはよ」
 と挨拶を返すと、今まででは考えられない距離に腰掛けた。
「なんでそんな離れてるの?」
「だって..」
 咲夜は寂しそうに膝をかかえる。

 他に好きな人が出来たっていったから遠慮してるの?
 可愛い!
 鼻血でそう。

「寒いじゃん、寂しいじゃん、ひもじいじゃああん」
「何いってんだよ」
 さすがに咲夜が吹き出した。
「ね?くっつこ?」
 葵は無理矢理、咲夜の膝を割って向かい合って座る。
「なに、その強引さ」
「前からでしょ」

 葵は咲夜の首に腕を絡め、気になっていたことを問う。
「ねえ、サク」
「うん?」
「久隆くんと、エッチした?」
「え?」
 咲夜からサーと血の気が引いた。
「ねえ、気持ちよかった?」
 久隆はどれだけしつこく聞いても詳しく教えてくれない。ここは咲夜に聞くしかないと思っていた。
「ちょッ!な?なん...」

 なんで、そこまで動揺する?
 うーん?
 さては、気持ち良すぎて?

「なんで、知ってるの?」

 あ、そっちかぁ。

「だって、久隆くんに謝られたから」
「え?なんで謝る..え、もしかして」
「うん?」
「葵の好きになっちゃった人って久隆?」

 ちょっと待って。
 その三角関係ややこしくない?
 てか、逆ならまだしも。

 久隆くんは咲夜が好きで、咲夜は俺が好き。
 俺は久隆くんが。
 何故そのルートで久隆くんが俺に謝るの?
 変じゃない?
 でも、なんか面白いからそういうことにしとくのも有りかな。
 それなら離れていても咲夜の気持ち、変わらないだろうし。

「さあ、どうかな」
 葵は結局、曖昧な返事しかできなかった。咲夜は素直だから、下手な嘘もすぐ信じてしまう。

 それに、やっぱり不安だもの。
 久隆くんは素敵な人だから心変わりしてしまうかもしれない。
 ミカンの剥き方変だけど。
 変過ぎるけど。
 変でしょッ!

「葵、なんで?」
「何が?」
 何について問われたのか分からず首を傾げると、
「久隆はエッチうまいけどさ..」
 またしても咲夜の口から鼻血もののセリフが飛び出す。
「!」

 うまいんだ。うわー。やぱ、3Pで咲夜をぐちょぐちょにして喘がせてみたい。いつも俺のことばかり優先するセックスしかしない彼だからこそ、見てみたい。変、かな?

「あ、いや。そうじゃなくて」
「うん?」
 エッチについて詳しく知りたかった葵は少しがっかりするが、
「葵が居ないと寂しい」
 と可愛いことを言われ卒倒しそうになる。
「側に居るじゃない。こんなに側に」
 むぎゅっと抱きしめてあげると、
「葵が好きだよ?」
 と、咲夜の切ない吐露。

 大好きッ。
 今は言えないけど。
 ずっと一緒に居たいんだよ。
 だから、ちょっとだけ我慢。

「ごめんね、今はダメなの」
「...」
「でも、ちゃんと戻るから」
「他の人とも経験したいみたいな、あれな感じ?」
「うーん、そんな感じ?」

 俺は咲夜以外とはしたくないけどね。
 咲夜が寂しいなら、許すから。
 そんな覚悟、とっくに出来てる。
 どんな犠牲を払ったって、ずっと一緒に居たいの。
 目先の幸せなんていらない。

 俺にはサクが必要なんだよ?
 言えないけど、今は伝えられないけれど。
 だからどうか、俺のこと好きでいて。

「葵、ちゃんと戻ってくるよね?」
「うん」
「信じてるよ?」
「うん」
 葵は咲夜にぎゅっと抱きついたまま。
「サク」
「うん?」
「寂しかったら、久隆くんに慰めて貰ってもいい」
「..」
「許すから。全部許すから。だから」
 咲夜が抱き締め返してくる。
「待ってて」
 彼は何かを察したようで。
 “寂しいけど、頑張ろうね”
 と、咲夜の小さな小さな呟きに涙が溢れた。
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