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────3章『本格始動、宝船』
■8「穏やかな土曜の夜」
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****♡Side・大里
「面白い関係だな」
呟くように大里は言った。大崎邸二階のリビングには大きなテレビに、ソファーセット。葵は、咲夜にケーキを食べさせて貰っている。テレビのモニターには、久隆の借りてきた映画を映しだしているが、それぞれが好きなことをしているため、観ているのは大里だけ。久隆が眠そうに寄りかかってきたので、大里はその体に腕を回す。大里の呟きから少し間を置いて、
「んー?」
と、久隆がもぞもぞしながら声を出す。
「そういえば、片倉はどんな映画が好きだったんだ?」
「簡単に説明すると、taxi」
「もうそれ、タイトルじゃないかよ」
「だな」
「霧島は?」
「探偵物」
「なにその、バラけた好み」
大里は苦笑いをする。
「大里は何借りたの?」
「トランスしちゃうやつね、ロボット物の」
「あー、いいよね。俺も好き。滑らかな変身の仕方がいいよね。ヘタレな主人公も」
「なかなかね」
「でも、三作目で彼女役の女優さんが変わったのがなぁ」
大里は久隆と話していると視線を感じた。
「久隆、いいのか?あっちは」
「なに」
久隆がうーんと伸びをして、葵と咲夜の方に目を向け、
「いてっ」
伸ばした腕が大里にあたる。
「ごめん」
謝る久隆に、
「構ってやれよ、俺恨まれるじゃん」
と大里が言うと、
「へーへー」
久隆は、しょうがないなぁと笑って
「さーくやッ」
と、拗ねそうな咲夜に抱きつく。
久隆って、あんなこと出来たのかと、大里は複雑な気持ちになった。やれやれという仕草をしながら、久隆の代わりに葵が隣にやってくる。
「霧島って、あんなやきもち妬き?」
「前はあんな感じじゃなかったけど、久隆くんが相手じゃ仕方ないよねー。久隆くんって全然わかってないみたいだし」
「まー」
何故か葵は大里の膝の上を虎視眈々と狙っていた。
「人間ってさ、どんなに見た目が良かろうが人格否定されつづけると、自分になんの価値もないと思うものだよ」
つぅかさ!と、大里は続ける。
「ん?なになに?」
「なんで、俺の膝に乗りたがってるわけ?」
葵がきゅるるんという目でこちらを見ているので、大里は大笑いした。
「えーっ、だってサクにも久隆くんにも甘えられないし。俺、可愛そうじゃない?」
「どういう理屈だよ」
大里は片足を立て、もう片方であぐらをかくようなカッコをしていたのだが、“仕方ないな”と言うように、葵を足の間に座らせてやると、
「んーッ、ポカポカッ」
と嬉しそうだ。
「良かったな」
大里は肩で笑っていた。
「あ、そうだ。久隆くんがね」
と、何かを思い出したように葵が話を変える。
「ん?」
「夏休みに3人で韓国いくけど、大里も行かない?って」
その話は大里にとっては初耳であった。
「え?」
「聞いといてって言われたのッ。てか、俺が誘ったらどう?って提案したんだけどね」
ふふッと葵は笑っている。
「いいのか?」
大里は少々戸惑う。
3人で旅行なんじゃないの?
俺がそこに入っていいものか。
でも、正直...嬉しい。
行きたい。
以前だったら考えられなかったこと。大里は片倉と霧島を恨んでいた、久隆を取られたと思っていたから。しかし、今は違う。初めは偵察のつもりで近づいたものの、二人の良さを知った。特に片倉は、自分を受け入れてくれた。今は一緒に遊ぶのが楽しい。自分にも居場所を作ってくれているようで、とても嬉しい。もっと仲良くなれたらいいのにと、思い始めている。
「えー。迷ってる?なんで?」
葵が可愛らしく首を傾げた。
「邪魔じゃない?俺」
そう、不安はつきまとう。何故なら大里が彼らに近づいた理由が理由だから後ろめたい気持ちがある。
「邪魔?なんでそう思うの?」
質問に質問で返されるとは。
「三人で水入らずの旅行なんだろ?」
「久隆くんがさ、最近大里が俺たちといて楽しそうだって言うんだ」
久隆が?
「今日だってきっと一緒にいたら楽しいと思って誘ったんだと思うよ」
「そっか」
「ね?だから一緒に行こうよ」
「行く」
なんだか顔がにやけた。
「楽しみだねッ」
と、葵。
「そうだな」
二人でクスクス笑いあう。
「その前に試験があるぞ?」
「げえッ」
葵が、頭を抱えて悶絶した。
「教えて貰えよ、側に学年主席がいるんだからさ」
「うぅッ」
大里は無意識に葵の頭を撫でると、彼は変な顔をしてこちらを見上げる。
「ん?」
キョトンとして見つめ返すと
「大里って、天然タラシだよねー」
と、言われてしまった。
なんてこった...。
「面白い関係だな」
呟くように大里は言った。大崎邸二階のリビングには大きなテレビに、ソファーセット。葵は、咲夜にケーキを食べさせて貰っている。テレビのモニターには、久隆の借りてきた映画を映しだしているが、それぞれが好きなことをしているため、観ているのは大里だけ。久隆が眠そうに寄りかかってきたので、大里はその体に腕を回す。大里の呟きから少し間を置いて、
「んー?」
と、久隆がもぞもぞしながら声を出す。
「そういえば、片倉はどんな映画が好きだったんだ?」
「簡単に説明すると、taxi」
「もうそれ、タイトルじゃないかよ」
「だな」
「霧島は?」
「探偵物」
「なにその、バラけた好み」
大里は苦笑いをする。
「大里は何借りたの?」
「トランスしちゃうやつね、ロボット物の」
「あー、いいよね。俺も好き。滑らかな変身の仕方がいいよね。ヘタレな主人公も」
「なかなかね」
「でも、三作目で彼女役の女優さんが変わったのがなぁ」
大里は久隆と話していると視線を感じた。
「久隆、いいのか?あっちは」
「なに」
久隆がうーんと伸びをして、葵と咲夜の方に目を向け、
「いてっ」
伸ばした腕が大里にあたる。
「ごめん」
謝る久隆に、
「構ってやれよ、俺恨まれるじゃん」
と大里が言うと、
「へーへー」
久隆は、しょうがないなぁと笑って
「さーくやッ」
と、拗ねそうな咲夜に抱きつく。
久隆って、あんなこと出来たのかと、大里は複雑な気持ちになった。やれやれという仕草をしながら、久隆の代わりに葵が隣にやってくる。
「霧島って、あんなやきもち妬き?」
「前はあんな感じじゃなかったけど、久隆くんが相手じゃ仕方ないよねー。久隆くんって全然わかってないみたいだし」
「まー」
何故か葵は大里の膝の上を虎視眈々と狙っていた。
「人間ってさ、どんなに見た目が良かろうが人格否定されつづけると、自分になんの価値もないと思うものだよ」
つぅかさ!と、大里は続ける。
「ん?なになに?」
「なんで、俺の膝に乗りたがってるわけ?」
葵がきゅるるんという目でこちらを見ているので、大里は大笑いした。
「えーっ、だってサクにも久隆くんにも甘えられないし。俺、可愛そうじゃない?」
「どういう理屈だよ」
大里は片足を立て、もう片方であぐらをかくようなカッコをしていたのだが、“仕方ないな”と言うように、葵を足の間に座らせてやると、
「んーッ、ポカポカッ」
と嬉しそうだ。
「良かったな」
大里は肩で笑っていた。
「あ、そうだ。久隆くんがね」
と、何かを思い出したように葵が話を変える。
「ん?」
「夏休みに3人で韓国いくけど、大里も行かない?って」
その話は大里にとっては初耳であった。
「え?」
「聞いといてって言われたのッ。てか、俺が誘ったらどう?って提案したんだけどね」
ふふッと葵は笑っている。
「いいのか?」
大里は少々戸惑う。
3人で旅行なんじゃないの?
俺がそこに入っていいものか。
でも、正直...嬉しい。
行きたい。
以前だったら考えられなかったこと。大里は片倉と霧島を恨んでいた、久隆を取られたと思っていたから。しかし、今は違う。初めは偵察のつもりで近づいたものの、二人の良さを知った。特に片倉は、自分を受け入れてくれた。今は一緒に遊ぶのが楽しい。自分にも居場所を作ってくれているようで、とても嬉しい。もっと仲良くなれたらいいのにと、思い始めている。
「えー。迷ってる?なんで?」
葵が可愛らしく首を傾げた。
「邪魔じゃない?俺」
そう、不安はつきまとう。何故なら大里が彼らに近づいた理由が理由だから後ろめたい気持ちがある。
「邪魔?なんでそう思うの?」
質問に質問で返されるとは。
「三人で水入らずの旅行なんだろ?」
「久隆くんがさ、最近大里が俺たちといて楽しそうだって言うんだ」
久隆が?
「今日だってきっと一緒にいたら楽しいと思って誘ったんだと思うよ」
「そっか」
「ね?だから一緒に行こうよ」
「行く」
なんだか顔がにやけた。
「楽しみだねッ」
と、葵。
「そうだな」
二人でクスクス笑いあう。
「その前に試験があるぞ?」
「げえッ」
葵が、頭を抱えて悶絶した。
「教えて貰えよ、側に学年主席がいるんだからさ」
「うぅッ」
大里は無意識に葵の頭を撫でると、彼は変な顔をしてこちらを見上げる。
「ん?」
キョトンとして見つめ返すと
「大里って、天然タラシだよねー」
と、言われてしまった。
なんてこった...。
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