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────3章【久隆と大里】
□7「その心境」
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****♡Side・久隆
「くりゅうッ」
ベッドに腰掛け通話を切った久隆の腰に、甘えたように腕を絡める咲夜の髪を撫でながら、思案に耽る。
大里は根本的なことがわかっていない。
俺は誰かに守られたいのではなく、守りたいんだ。
甘えたいんじゃなく、甘えられたいんだよ。
「んんッ」
まるで子猫のように甘える仕草をする彼が可愛くて、思わず笑みがこぼれた。隣に潜り込みその背中に手を回して抱き寄せる。
「起きちゃったの?」
「ん…」
むにゃむにゃしているのが堪らなくて髪にちゅっと口付ける。
自分にしか甘えることのない咲夜が好きだ。
特別だと思えるから。
確かに容姿が優れていると思う。
けれど、彼の心に惚れたのだ。
一人で一所懸命、立とうとしていたんだよな。
辛い時、傍にいて支えてあげたかったよ。
ずっと君の事だけ思っていた。
俺に何がしてあげられるんだろう?
「さくや」
小さな声でその名を呼び耳たぶを優しく噛む。
「ん…」
起こしたくはないのに、自分に気づいて欲しい。
夢の中まで一緒にいられたらいいのに。
何処までも一緒にいたいよ。
「くりゅ…すき」
「あ…」
擦り寄るその温もりを確かめるようにそっと背中を撫でた。もしかしたら自分の夢を見ているのかもしれないと、思いながら。
今日の、生徒会選挙の応援演説のことをふと思い出し、そのときの咲夜の行動に苦笑いをした。自分たち四人は二手に分かれて演説をしていたのだが、あまりにも人が寄ってくるものだから、彼はやきもちを妬いて、久隆からマイクを取り上げたのだった。後からなんだたのだろうと、首を傾げていると、
『久隆はいい声なんだから、自覚して!』
と怒られた、意味不明だ。
声、声ねえ…。
そういえば、破壊的音痴だが声は良いって大里が言ってたな。
どうにも褒めてるとは思えなかったが。
俺は咲夜の声が好きだけど。
特にあの時の声が甘ったるくて可愛くて…って、変態かよ俺は。
朝起きたらしようね、と約束していたことを思い出す。夜も遅い、もう寝なければなと久隆は思っていたのだが、
「ん?どうしたの?」
やはり目覚めてしまったのか、咲夜が寝ぼけ眼で久隆を見ていた。
「んん」
「なに、甘えん坊?」
すぐに目を閉じ、スリスリしてくるのが可愛らしい。頭を撫でながら背中をぽんぽんしてやれば再び寝息を立て始める。
葵ちゃんと寝てるとき一体どうしているんだろう。大丈夫なのだろうかと、久隆は素朴な疑問を抱くのだった。
「くりゅうッ」
ベッドに腰掛け通話を切った久隆の腰に、甘えたように腕を絡める咲夜の髪を撫でながら、思案に耽る。
大里は根本的なことがわかっていない。
俺は誰かに守られたいのではなく、守りたいんだ。
甘えたいんじゃなく、甘えられたいんだよ。
「んんッ」
まるで子猫のように甘える仕草をする彼が可愛くて、思わず笑みがこぼれた。隣に潜り込みその背中に手を回して抱き寄せる。
「起きちゃったの?」
「ん…」
むにゃむにゃしているのが堪らなくて髪にちゅっと口付ける。
自分にしか甘えることのない咲夜が好きだ。
特別だと思えるから。
確かに容姿が優れていると思う。
けれど、彼の心に惚れたのだ。
一人で一所懸命、立とうとしていたんだよな。
辛い時、傍にいて支えてあげたかったよ。
ずっと君の事だけ思っていた。
俺に何がしてあげられるんだろう?
「さくや」
小さな声でその名を呼び耳たぶを優しく噛む。
「ん…」
起こしたくはないのに、自分に気づいて欲しい。
夢の中まで一緒にいられたらいいのに。
何処までも一緒にいたいよ。
「くりゅ…すき」
「あ…」
擦り寄るその温もりを確かめるようにそっと背中を撫でた。もしかしたら自分の夢を見ているのかもしれないと、思いながら。
今日の、生徒会選挙の応援演説のことをふと思い出し、そのときの咲夜の行動に苦笑いをした。自分たち四人は二手に分かれて演説をしていたのだが、あまりにも人が寄ってくるものだから、彼はやきもちを妬いて、久隆からマイクを取り上げたのだった。後からなんだたのだろうと、首を傾げていると、
『久隆はいい声なんだから、自覚して!』
と怒られた、意味不明だ。
声、声ねえ…。
そういえば、破壊的音痴だが声は良いって大里が言ってたな。
どうにも褒めてるとは思えなかったが。
俺は咲夜の声が好きだけど。
特にあの時の声が甘ったるくて可愛くて…って、変態かよ俺は。
朝起きたらしようね、と約束していたことを思い出す。夜も遅い、もう寝なければなと久隆は思っていたのだが、
「ん?どうしたの?」
やはり目覚めてしまったのか、咲夜が寝ぼけ眼で久隆を見ていた。
「んん」
「なに、甘えん坊?」
すぐに目を閉じ、スリスリしてくるのが可愛らしい。頭を撫でながら背中をぽんぽんしてやれば再び寝息を立て始める。
葵ちゃんと寝てるとき一体どうしているんだろう。大丈夫なのだろうかと、久隆は素朴な疑問を抱くのだった。
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