R18【同性恋愛】『戻れない僕らの日常』【絆・対・相編】正規ルート編

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────4章【咲夜と葵】

□8「寂しくないよ」

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****♡Side・葵

「あ、ずるーい」
葵が目を覚ますと、隣に咲夜は居なかった。服を身に着け、ベッドから降りる。隣のリビングへのドアを開ければ、咲夜と久隆が並んでソファーに腰かけていた。まるで仲間外れにされたような気分になり、二人に駆け寄る葵。
「起きちゃったの?」
と久隆。咲夜はウトウトしていた。
「独りぼっち、嫌ッ」
「うん、おいで」
久隆はいつだって優しい。彼の膝の上に乗り上げれば、いい子いい子してくれる。
「もう少ししたら、部屋に夕飯届くから三人で食べよう?」
「うんッ」
頷いてみたものの、どうして今日は部屋で夕飯なのか気になった。今日は久隆の叔母の夏海や、兄圭一の友人たちが遊びに来ている。きっと彼らは大崎邸で夕飯を取るに違いない。そんな中、家人でもある彼が夕飯を共にしなくてもいいのだろうか、と。
「うーん、兄さんマンションに帰っちゃったし」
「え⁈友達を置いて?」
相変わらず、彼の兄は自由人だなと葵は感じた。
「それに、夏海さんがいるから大丈夫だよ」
と笑う彼。大崎家の事情はよく知らないが、彼の父は会社の近くにマンションを借りていてあまりここへ帰宅することはなく、兄は恋人と同棲しているらしい。まだ高校生の久隆だけを残し、家族が不在なのが常というのは、尋常ではない気がしていた。

かといって、この邸宅には常に二十名強の従業員、通称ファミリーが住み込みで働いている。彼らはもちろん成人している立派な大人だ。ある意味、普通の家庭よりセキュリティー面で安全なのかもしれないし、賑やかなため寂しさを感じることはないだろう。だが、人がいて賑やかという意味の寂しくない、と家族が傍にいない寂しさは全く別物だ。現に彼は、なかなか会えない仲のいい兄を恋しがっている。葵はそんな久隆を見ていて、少しでも自分や咲夜が彼の寂しさを癒すことができたらいいなと思っていた。

”寂しくない?”と問う葵に彼は、
「葵ちゃんこそ、お家が恋しかったりしない?」
と問う。葵は習い事の度に、母に送ってもらう為、大好きな母と会うことが出来た。父は中学の時のあの事件以来苦手だ。出来れば会いたくない。それに、大崎邸の賑やかなところが何より気に入っている。大好きな咲夜と久隆と毎日一緒に居られるのも嬉しい。
「俺は、ここの暮らしは好きだし、合ってると思うよ」
趣味であるDIYも、この家であるから思う存分できるのだ。葵の家も広いが和風である。洋風やクラッシックなどを好む葵にはこちらの方が合っていた。何より、ここは人が多いし、作品を見てくれる人の人数が全然違う。

「俺、賑やかなの好き。みんな優しいし」
葵にとって大崎邸での暮らしは、毎日がお祭りであった。久隆は部屋の中の家具を見渡すと、
「今度は何を作るの?」
と興味津々という表情を浮かべる。
「何作ろうかな。お洒落な間接照明とか」
「いいね」
「久隆くんは何か欲しいものないの?俺、作ってあげるよ」
「ほんとに?」
彼がとても嬉しそうな顔をした。彼の部屋はどっちかというと、アンティーク調だが、重厚な書斎という雰囲気である。とても高校生の部屋とは思えなかった。イメージで言うならば、社長…そこまで考えたところで葵は、彼が次期大崎グループの社長だったことを思い出したのだった。
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