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────1話*俺のものになってよ
22・優しい君のくれる煌めく純愛
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****♡Side・塩田
塩田は玄関から社外に出ると、電車に手を差し出す。外で手を繋ぐのは、塩田には当たり前になっている。彼はその度に嬉しそうな顔をした。それが塩田にとって、何より嬉しい。
──こんなことで、お前はそんな顔するんだな。
どうしたらもっと幸せにしてやれる?
「夜景が綺麗なんだって。楽しみだね」
そういって隣でニコニコしている彼に目を向けると、
「塩田、観覧車乗りたいって言ってたし。好きかなって思って」
と付け加える。
塩田は少し複雑な気持ちなった。何故なら、彼に喜んで欲しくて”雑誌に書いてある通りにしようとした”だけだったからだ。自分はずっと、何にも興味を持っていなかった。
「どうしたの? 高いところが好きだった?」
「いや」
少し悲し気な彼の瞳。
「俺が好きなのは」
「うん?」
「お前の笑顔だよ」
塩田はじっと彼を見つめて。彼はそんな塩田に驚いた顔をしていたが、
「ふふっ」
と照れたように笑った。
****♡Side・電車
塩田には、驚かされてばかりいる。塩対応なのが冷たいという事でないのは分かっていた。単に人を分けず、自分自身の気持ちに素直なだけ。
だから嘘はつかない。思ったことをストレートに言ってしまう人なのだ。電車は自分がどれほど彼に好かれているのか、少しづつだが理解し始めていた。
ただ、彼の行動が自分の為だとは気づいていない。
彼と繋いだ手から温もりを感じ、繋いでいない方の手をスーツのポケットに忍ばせる。初めてのデートで彼に渡したいものがあった。受け取ってくれるかはわからないが。
──いらないって言われたら嫌だな……。
「ここだよ」
着いた先のホテルの展望レストランは、とても評判がよかった。入り口で変な兄弟とすれ違う。
「お兄ちゃん、パンツをそんなに持ち歩くのやめてよ」
「何言ってるんだ! おパンティは常備しておくものだ。いつ何時、おパンティが食い破られるかわからないだろ?」
「パンツ食い破るのは、お兄ちゃんだけだよ」
”何という会話だ”と、ぎょっとしながら彼らに視線を移すと、
「うちのお得意様だな」
と、隣の塩田。
「箱買いしてくんだよ」
「パンツを?」
「そう、お前も好きなピンクのスケスケのやつな」
一箱百枚入りらしい。お得意様と言うからにはしょっちゅう購入するのだろうが、食い破るために買っているならただのクレイジーな人である。
電車は複雑な心境になりつつ、彼をエスコートしレストランへ直通のエレベーターに乗り込む。
ガラス張りのエレベーターからは、街の夜景が一望できる。宝石箱をひっくり返したようなその風景を見つめる彼の瞳は光を反射し、煌めいていた。そんな彼が電車の耳元に唇を寄せる。
「なあ」
といたずらっぽく声を発して。
「ん?」
「履いてやろうか?」
──え?
ピンクのスケスケおパンティを?
驚愕する電車に彼は、
「冗談だよ」
とフッと笑みを溢す。
「やば、鼻血でそう」
電車は思わず鼻を抑えたのだった。
「何を想像してんだ、馬鹿」
と怒られながら。
塩田は玄関から社外に出ると、電車に手を差し出す。外で手を繋ぐのは、塩田には当たり前になっている。彼はその度に嬉しそうな顔をした。それが塩田にとって、何より嬉しい。
──こんなことで、お前はそんな顔するんだな。
どうしたらもっと幸せにしてやれる?
「夜景が綺麗なんだって。楽しみだね」
そういって隣でニコニコしている彼に目を向けると、
「塩田、観覧車乗りたいって言ってたし。好きかなって思って」
と付け加える。
塩田は少し複雑な気持ちなった。何故なら、彼に喜んで欲しくて”雑誌に書いてある通りにしようとした”だけだったからだ。自分はずっと、何にも興味を持っていなかった。
「どうしたの? 高いところが好きだった?」
「いや」
少し悲し気な彼の瞳。
「俺が好きなのは」
「うん?」
「お前の笑顔だよ」
塩田はじっと彼を見つめて。彼はそんな塩田に驚いた顔をしていたが、
「ふふっ」
と照れたように笑った。
****♡Side・電車
塩田には、驚かされてばかりいる。塩対応なのが冷たいという事でないのは分かっていた。単に人を分けず、自分自身の気持ちに素直なだけ。
だから嘘はつかない。思ったことをストレートに言ってしまう人なのだ。電車は自分がどれほど彼に好かれているのか、少しづつだが理解し始めていた。
ただ、彼の行動が自分の為だとは気づいていない。
彼と繋いだ手から温もりを感じ、繋いでいない方の手をスーツのポケットに忍ばせる。初めてのデートで彼に渡したいものがあった。受け取ってくれるかはわからないが。
──いらないって言われたら嫌だな……。
「ここだよ」
着いた先のホテルの展望レストランは、とても評判がよかった。入り口で変な兄弟とすれ違う。
「お兄ちゃん、パンツをそんなに持ち歩くのやめてよ」
「何言ってるんだ! おパンティは常備しておくものだ。いつ何時、おパンティが食い破られるかわからないだろ?」
「パンツ食い破るのは、お兄ちゃんだけだよ」
”何という会話だ”と、ぎょっとしながら彼らに視線を移すと、
「うちのお得意様だな」
と、隣の塩田。
「箱買いしてくんだよ」
「パンツを?」
「そう、お前も好きなピンクのスケスケのやつな」
一箱百枚入りらしい。お得意様と言うからにはしょっちゅう購入するのだろうが、食い破るために買っているならただのクレイジーな人である。
電車は複雑な心境になりつつ、彼をエスコートしレストランへ直通のエレベーターに乗り込む。
ガラス張りのエレベーターからは、街の夜景が一望できる。宝石箱をひっくり返したようなその風景を見つめる彼の瞳は光を反射し、煌めいていた。そんな彼が電車の耳元に唇を寄せる。
「なあ」
といたずらっぽく声を発して。
「ん?」
「履いてやろうか?」
──え?
ピンクのスケスケおパンティを?
驚愕する電車に彼は、
「冗談だよ」
とフッと笑みを溢す。
「やば、鼻血でそう」
電車は思わず鼻を抑えたのだった。
「何を想像してんだ、馬鹿」
と怒られながら。
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