R18【異・同性恋愛】『二人を繋ぐ宝物の日々』

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『二人を繋ぐ宝物の日々』

4.協力者

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 ****♡Side・真咲

「ふうん、なるほど」
 夏海は真咲の話を真面目に聞いて、そう反応を示した。

「夏海もなにか手伝う?」
 確かに、奏と二人で調べものをするのは、骨が折れそうである。しかし夏海はクレイジーで有名な子。真咲は夏海ではなく、彼女の親友である”栗原 望”に密かな期待を寄せていた。”栗原 望”とは、将来大里グループの社長と結婚し、”大里 聖”の母となる。そして夏海の元旦那の妹に当たる存在だ。彼女は学年首位であり、かなりの切れ者という噂である。ここ、大崎本家にてたまに会うこともあり、真咲は是非とも、彼女に協力を願いたいと考えていた。

 ────問題はどうやって巻き込むか?

「夏海ちゃんが俺たちを手伝うと、望ちゃんが寂しがるんじゃないのかな?」
 さりげなく話を望のことに向けてみる。その間も奏はじっとスマホとにらめっこしていた。何をしているのやら、謎だ。
「大丈夫!のぞみんは夏海と一心同体だから!」
 と言う、夏海からの返答。なにがどう大丈夫なのか、真咲にはわからないが、どうやら夏海のやることには望が付属決定らしい。そのことを知り、真咲は心の中でガッツポーズを決める。

 ────よし!これで、協力者を得たも同然。

 そこに頭数として加算されていな、い夏海と奏も居るが。
「で、奏は何やってるの?」
 と、安心した真咲が奏に向き直り問いかけると、
「レビューの良いゴムを買おうとしたら、売り切れだったの」
 どうやら彼は、夜のお供、息子のお洋服を買おうとしたらしい。さては、味をしめたのか。真咲はそんな風に思った。
「まだ、残りあるだろ?薬局で買えばいいじゃない」
 いつまでもスマホとばかり、にらめっこさせているわけにもいかない。
「真咲、一緒にいってくれる?」
 と子犬みたいな目で見つめてくる彼に、真咲は思わず”CMのチワワか!”とツッコミを入れたくなったが、自分を頼りにする奏が可愛くて、
「いいよ、明日の帰りに寄っていこう」
 と、約束を交わす。平和な夜であった。

 ****

 ────翌日、放課後。

 ドラックストア、コンビニ、スーパー。

 日本はとても便利な国だなと思う。最近は二十四時間営業の店も減ってきたが。犯罪はどうしたら減るのだろうか?便利なだけではない、逃げ込む場所としても大活躍なコンビニではあるが、如何せん負担が大きすぎる。本来なら警察署やら交番の役割であるはずの一端を、担っているわけだし。

 それはさて置き。

 ドラックストアは便利な上、今はスーパーと変わらなくなってきていた。
 ポイント大国、日本。大変だなと思いながら、真咲たちは駅前のドラックストア、MY DAY(僕日)に入っていく。個人的にはマツ○ヨが好きである。ゲームも出ていたな…。あのゲームは顧客と会話をしてエピソードを手に入れ商品開発をするという部分が斬新であった。
「ん?奏、どうした?」
 先に入店した真咲は、奏がついて来ていないことに気づき、入り口を振り返ると、入り口には商品フックにかけられた日用品が綺麗に陳列されている。

「爪切り買おうかなって、なっちゃんに」
 ほんとにこの兄妹は、仲が良い。しかし、奏が見ているのは…。
「え、何それ」
 目薬と爪切りなのだが、何かとコラボ商品である。
(エヴァン○リオンとかあるよね)
「なっちゃんが好きな映画のやつ」
「戦場のアナルリスト?…は?」
 夏海の趣味にケチをつける気はないが、恐ろしく卑猥だ。
「こんな卑猥な…爪切りはともかく、目薬するときこの…容器のパッケージは、みんなが注目するんじゃないの?」
「でも、なっちゃん喜ぶし。高校一年のときの同人即売会で五十冊も買ってきてたし」
「…何用?それ。同じのそんなにいらなくないか?」
 真咲は夏海よりも、その即売会に巻き込まれたであろう、望のことを思った。

「まあ、いいけど。この商品見て五十個買ってきてって、言われたらどうするの?」
「目薬五十個もいらないでしょ?」
 もっともらしい返答をし、奏はきょとんとしているが。
「痔の薬二十個も買う子だよ…」
「あ、そうだったね。でも個人が五十個も目薬購入したらマークされちゃうよ?」
「爪切り五十個のほうが、俺は怪しいとおもうが」
 二人が商品と互いの顔を見比べていると、
「あ、お兄ちゃんと真咲さんだー」
 と、聞きなれた声が。二人は慌てた。こんなもの見つかろうものなら、とんでもないことになりそうだ。
「やばい!奏、爪切り隠して」
「どこに!?」
「戻して!戻して!」
「ちょッ…まっ」

 ****

 お?望ちゃんも一緒だ。ラッキー。
 それとなく話をふってみるか。

 真咲のこの頃の積極的な行動が、将来、奏の長男となる圭一と自分の弟の都筑を救うことになるなんて、このときの自分は思いもしなかった。
「こんにちは、二人とも」
「どうも」
 望はえらく申し訳なさそうな表情をして、真咲と奏を見比べる。何故そんな表情を彼女がしたのか、真咲には見当もつかなかったが、夏海が奏に絡み始めていたので、真咲は気にせず望に話しかけることにした。
「夏海ちゃんから、あの話聞いてる?」
「あの話?」
 と、質問が質問で返ってくる。もしやこれは、伝わってないパターンかと思いきや、
「何か調査をするといっていましたが、そのことのですか?」
 と、勘の良い彼女から期待通りの言葉。
「そう!それそれ」
 と、真咲は詳しいいきさつと、これからについて望に話す。すると思った通り、彼女は真面目な顔をして聞いてくれていた。

 話を一通り聞いたのち、彼女は、
「わたしも、真咲さんに聞いていただきたいことがあるのですが」
 と真咲の耳に入れて置きたいことがあるという。真咲の話に反して、彼女からの告白はとても重いものであった。
「奏さんには、言わないで欲しいんです」
 内容は夏海のことであり、自分が真咲に話したことを、夏海には内緒にして欲しいとのことだった。真咲は、あの底抜けに明るい子が、自分自身のことで、そんなに悩んでいるなんて知らずにいた。夏海の方に目を向けると、彼女は屈託なく笑っている。
「言わないよ」

 ────あの子の笑顔が消えたら、奏が悲しむ。

 奏が悲しむことになれば、夏海は二度と笑えなくなるだろう。仲の良い兄妹関係は自分にとって憧れであり、癒しだ。二人が悲しむことなんてしたくは無い。真咲は自分の心に留めておくことを、固く誓ったのだった。
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