おすすめ作品【感想・レビュー】まとめ

crazy’s7@体調不良不定期更新中

文字の大きさ
185 / 305
2021’11

灯 不器用父さんの反省記

しおりを挟む
雨実和兎 様作

あらすじ引用
子供二人を残し死んでしまった夫が霊となり、
残した家族と過去の自分を振り返る話

【簡単なあらすじ】
ジャンル:現代ドラマ
休日の買い物中に胸が苦しくなり倒れ、急死してしまった主人公が霊となり、家族の様子を眺めながら現在や過去に想いを馳せていく。その中で人生を振り返り、反省や後悔なども綴られ、教訓ともなる物語。

【物語の始まりは】
自分の死を客観的な視点で見るところから始まっていく。死後、残した家族を眺める日々が始まった。彼はずっとこのままなのだろうか? 後悔を抱えたながら家族を見つめる父の物語。

【舞台や世界観、方向性(箇条書き)】
残した家族を見つめながら、子供たちの成長を見つめたり自分が子供だった時のことなどを思い出し、後悔したり。

【主人公と登場人物について】
主人公には二人の父がいる。育ての親と生みの親というものである。
三人兄弟の一番下で、自分の幼い頃に両親は離婚。良い年ごろになってから父に再会することとなるが、その時に父についての話を聞くことになる。
主人公にとっては育ての父のほうが父親なのだという印象。

【物語について】
主人公は亡くなってしまった為、人と会話したり触れ合うことはない。なので、モノローグで語られていく。タイトルにもあるように反省記である。妻や子供たちを見ながら、生きている時には出来なかったことに気づき、反省を重ねていく。子供たちは妻の判断により、主人公が死んでしまったことを知らない。どうやら子供たちには何かが見えてはいるようだが。
主人公が亡くなって直ぐは、妻が大変な想いをしているようで鍵をかけ忘れて寝てしまい、主人公が心配するような場面も。
亡くなった後に家族の様子が見られるということが実際にあるのかは、まだ生きているので分からないが、彼の気持ちには共感することが多い。

亡くなってしまった人が主人公ではあるが、生きている今を見つめ直すきっかけになる物語だと感じた。生きていた時の教育への在り方。子供への接し方、親に対しての想いや後悔。死んでしまってからでは遅い。日々後悔しないように生きていかなければ、と思わせる作品である。

【良い点(箇条書き)】
・簡単には語ることのできない、想いの詰まった人間ドラマ。
・自分の人生において、きっとこれから起きるであろう後悔を見ることができる。
・涙なしでは読むことのできない作品である。
・もし死んでしまい、客観的に家族を見ることができたなら、こんな風に考えるのだろうなと感じる。
・子供や妻へだけでなく、自分の親に対してもいろんなことが語られていく。
・父というのは親として微妙な位置にあると思う。それがとても分かりやすい物語でもある。

【備考(補足)】アイデンティティー3 まで拝読。(P15)
【見どころ】
死んでしまうとこから始まっていく物語。主人公は子供にとっては父であり、妻にとっては夫、母にとっては息子となる。それは当たり前の関係ではあるが、その三方から語られていく物語である。父としての想い。夫としての想い、そして息子としての想い。死後、三つの立場から反省や感謝、後悔。思い残したことなど。見ていることしかできない彼は、時にもどかしさなども感じていく。
自分の人生を振り返りながら、どういうことが親不孝なのか。子供とはなんなのか? 大人とはどういうことなのか? も考えさせられる物語でもある。主人公は決して裕福な暮らしをしていたわけでもなければ、真面目に生きてきたわけでもない。そういう過去があるからこそ、死んでから反省する部分があり、今さらながら後悔することが多いのだ。人間は、どんなに真面目に生きようとも裕福だろうと、後悔のない人生はないと思う。だが日頃から人生を振り返るということもまた、ないのではないだろうか?
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 人生についてじっくりと考える機会の得られる作品だと感じます。おススメです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...