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2021’12
呪われし不老の旅人、世界を癒す。
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Edy 様作
あらすじ引用
魔法や悪魔や吸血鬼などがおとぎ話の中だけだと信じられている中世の地球によく似た世界、呪われて不老になったギルという青年がいた。
ギルは年老いたサムをからかう。
「しわだらけじゃないか」
年老いたサムは笑い飛ばした。
「このしわの一本一本が儂の生きた証。羨ましいだろう?」
「そうだな。私には高望みすぎる夢かもしれない。羨ましいよ」
「諦めたのか?」
「まさか。ひがんでいるだけさ」
その言葉とは裏腹に、ギルの表情はにこやかだ。
ギルは呪い師の言葉を思い出した。
「私を追いかけて来なさい。それが呪いを解く唯一の方法だから」
ギルは旅を続ける。出会い、別れ、時には助け、時には迷う。これはギルに係わった全ての人の物語。
【物語の始まりは】
大聖堂の図書館での一場面から始まっていく。ある本をここに納本することに異を唱える若い助祭と司祭との会話によって、その本がどんな内容のものであるか明かされていく。そこにはギルという人物が、呪い師に呪われて不老になり、呪いをとかせるために100年以上も旅したと記されていた。その真意を探るべく、助祭はその本を読むことを許可されるのであった。そこにはどんなことが描かれているのであろうか?
【登場人物について】
群像劇であり。旅人ギルの視点からではなく、ギルに関わった人物の視点から語られていくようである。
補足〈個人的に調べた用語〉
アルビノ……目と皮膚と毛髪をはじめとした全身(眼皮膚白皮症)、または目のみ(眼白皮症)が、先天的にメラニン色素をつくれない、もしくは少ししかつくれない体質。(web調べ)
【良い点(箇条書き)】
・全体的に描写が美しい。優しい世界観である。
・ランプの元で本をめくっているような、暖かさがありドラマチック。
・確かに旅人が見聞きした物語なのだが、その主人公は旅人ではない為、彼らの切り取った人生の一ページのような印象。
・時間が戻っていくスタイルというのは面白い。
・一つの物語に一つのテーマがあるように感じた。
【物語の感想】
1 木こりと旅人
ここでの主人公となる少年は、強くなって名をあげたいと考えていた。だがそれは、周りから反対されていたようである。後半にて、元戦士だった祖父から語られる話。戦士とは何か。戦争とは何かについて考えさせられる。
戦争は、大義名分があり”国だったり財産だったり人だったり”色んなものを守るという名目で行われるが、それはただの人殺しに過ぎないのだ。
安易に強くなりたいというのは、危険であり将来を考えているとは言えない。主人公は祖父の過去を知り、改めて自分自身を見つめ直す機会を得る。
若いうちはどうしても、自分の世界が全てだと思いがちである。広い視野を得る為にも、先人の話を聞くことが大切であるということを改めて感じた。
2 商人と旅人
この物語は、もしかしたら段々と時間の戻っていくスタイルなのかもしれない。森を舞台に語られていくのは、ある商人の想い。きっとそれは、果たすことが出来なかったのだろう。しかしその想いはちゃんと子に伝わっていく。旅人の位置は決して中心というわけではなく見届けるというものなのかもしれない。しかし確実に関与し、人と人を結んでいるように感じた。
何故旅人が呪われてしまったのか、この時点では分らないが100年以上かけて色んな体験をし、人と関わっていったことは他の人間にとっても幸福をもたらしたのではないだろうか? そんなことを思った。
3 吸血鬼とアルビノの少女と旅人
うっとりとする美しい情景描写によって始まっていく。この物語は全体的に言葉選びが美しく、情景を一つとっても季節や自然を感じる部分が多い。
孤独だった二人が出逢う。長く生き続けるというのは孤独との戦いだと感じた。善行を続けていたからこそ、その中でこのような出会いがあったのではないかと思う。彼らがどんな答えを選んだのかは、ここでは明かされてはいないが幸せな二人の姿が見えるようだ。とても素敵な物語だと感じた。
*3つの物語まで拝読。
【物語全体の見どころ】
どれも感動する物語であり、人の愛情や優しさ。表面上では分らないものなどが語られていく。全体の中から三つの物語を拝読。その中で感じたのが、どれも全く違う物語であるが、人と人との絆だったり関りを大切にしている物語だと感じた。その関係も様々で、血のつながりもあれば同じ種族でない場合もある。そんな彼らのドラマチックな一面を垣間見ることのできる物語であり、旅をしている中で起きた出来事の一部というスタイルである。
どれも温かみを感じる物語。この本を手に取った助祭は、これらを目にし、一体どんな結論を導き出すのだろうか?
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 素敵な物語がたくさん詰まった作品です。お奨めです。
あらすじ引用
魔法や悪魔や吸血鬼などがおとぎ話の中だけだと信じられている中世の地球によく似た世界、呪われて不老になったギルという青年がいた。
ギルは年老いたサムをからかう。
「しわだらけじゃないか」
年老いたサムは笑い飛ばした。
「このしわの一本一本が儂の生きた証。羨ましいだろう?」
「そうだな。私には高望みすぎる夢かもしれない。羨ましいよ」
「諦めたのか?」
「まさか。ひがんでいるだけさ」
その言葉とは裏腹に、ギルの表情はにこやかだ。
ギルは呪い師の言葉を思い出した。
「私を追いかけて来なさい。それが呪いを解く唯一の方法だから」
ギルは旅を続ける。出会い、別れ、時には助け、時には迷う。これはギルに係わった全ての人の物語。
【物語の始まりは】
大聖堂の図書館での一場面から始まっていく。ある本をここに納本することに異を唱える若い助祭と司祭との会話によって、その本がどんな内容のものであるか明かされていく。そこにはギルという人物が、呪い師に呪われて不老になり、呪いをとかせるために100年以上も旅したと記されていた。その真意を探るべく、助祭はその本を読むことを許可されるのであった。そこにはどんなことが描かれているのであろうか?
【登場人物について】
群像劇であり。旅人ギルの視点からではなく、ギルに関わった人物の視点から語られていくようである。
補足〈個人的に調べた用語〉
アルビノ……目と皮膚と毛髪をはじめとした全身(眼皮膚白皮症)、または目のみ(眼白皮症)が、先天的にメラニン色素をつくれない、もしくは少ししかつくれない体質。(web調べ)
【良い点(箇条書き)】
・全体的に描写が美しい。優しい世界観である。
・ランプの元で本をめくっているような、暖かさがありドラマチック。
・確かに旅人が見聞きした物語なのだが、その主人公は旅人ではない為、彼らの切り取った人生の一ページのような印象。
・時間が戻っていくスタイルというのは面白い。
・一つの物語に一つのテーマがあるように感じた。
【物語の感想】
1 木こりと旅人
ここでの主人公となる少年は、強くなって名をあげたいと考えていた。だがそれは、周りから反対されていたようである。後半にて、元戦士だった祖父から語られる話。戦士とは何か。戦争とは何かについて考えさせられる。
戦争は、大義名分があり”国だったり財産だったり人だったり”色んなものを守るという名目で行われるが、それはただの人殺しに過ぎないのだ。
安易に強くなりたいというのは、危険であり将来を考えているとは言えない。主人公は祖父の過去を知り、改めて自分自身を見つめ直す機会を得る。
若いうちはどうしても、自分の世界が全てだと思いがちである。広い視野を得る為にも、先人の話を聞くことが大切であるということを改めて感じた。
2 商人と旅人
この物語は、もしかしたら段々と時間の戻っていくスタイルなのかもしれない。森を舞台に語られていくのは、ある商人の想い。きっとそれは、果たすことが出来なかったのだろう。しかしその想いはちゃんと子に伝わっていく。旅人の位置は決して中心というわけではなく見届けるというものなのかもしれない。しかし確実に関与し、人と人を結んでいるように感じた。
何故旅人が呪われてしまったのか、この時点では分らないが100年以上かけて色んな体験をし、人と関わっていったことは他の人間にとっても幸福をもたらしたのではないだろうか? そんなことを思った。
3 吸血鬼とアルビノの少女と旅人
うっとりとする美しい情景描写によって始まっていく。この物語は全体的に言葉選びが美しく、情景を一つとっても季節や自然を感じる部分が多い。
孤独だった二人が出逢う。長く生き続けるというのは孤独との戦いだと感じた。善行を続けていたからこそ、その中でこのような出会いがあったのではないかと思う。彼らがどんな答えを選んだのかは、ここでは明かされてはいないが幸せな二人の姿が見えるようだ。とても素敵な物語だと感じた。
*3つの物語まで拝読。
【物語全体の見どころ】
どれも感動する物語であり、人の愛情や優しさ。表面上では分らないものなどが語られていく。全体の中から三つの物語を拝読。その中で感じたのが、どれも全く違う物語であるが、人と人との絆だったり関りを大切にしている物語だと感じた。その関係も様々で、血のつながりもあれば同じ種族でない場合もある。そんな彼らのドラマチックな一面を垣間見ることのできる物語であり、旅をしている中で起きた出来事の一部というスタイルである。
どれも温かみを感じる物語。この本を手に取った助祭は、これらを目にし、一体どんな結論を導き出すのだろうか?
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