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8話 その分岐点
1 家に残されていたもの
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「任意だと想定して、兄が居なくなったのが11月中だと仮定した場合は」
2人はノートパソコンのモニターを見つめていたが一旦身体を起こした。
「今年度の確定申告の期限は翌3月15日まで」
戀が検索画面にチラリと視線を戻して文面を読み上げる。
「2年前もそのくらいかな」
「調べてみる?」
戀の疑問に陽菜。
「いや。どの道それまでに帰ってきていないわけだから、詳しい日付は要らない気がする」
「そうね」
「でも待って、お兄さんの収入はどれくらい?」
確定申告に関しては申請が不要な場合があるようだ。
給与の収入金額の合計額から雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下であり、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下の場合。
申告の必要はありませんと記載されている。
「控除がクセモノね」
「給料は振込だったのかな?」
「そうだと思う」
彼女の兄は、だいたいの収入が分かっている会社員とは違う。
「通帳の記帳はしたんだっけ?」
「うん。兄が使っているならお金の動きがあるだろうと思って。もしかしたら強盗に遭ったということも考えられるし」
その間にも平均収入などについて調べていく。
「かなりピンキリみたいだね」
戀の言葉を聞きながら席を立つ陽菜。通帳を取りに行ったようだ。
稼げる人は800万から1000万くらい稼げるようだが、30%の人は月収20万以下という。年で200万以下の人も多いようだ。
稼げる人は専門に長けていて、人気の記事が作成できる。そして重要なのは美しい文章ではなく目的を達成させる能力とあった。
「うーん……収入はまちまちみたい」
もっとも、彼女の兄はライターで食べてきたいとは思っていなかったのかもしれない。目的は政治家の悪事を暴くこと。自己の利益のために議員となった者を引きずり下ろすことにあった。
「となると確定申告を念頭に入れていない可能性があるね」
戀はカウンターの上に置かれたマイナンバー通知に視線を移す。
彼女の計らいで頭がチラリと覗いているだけ。何故こんなことを調べているのかと言えば、陽菜の兄はマイナカードを発行してはおらず、確定申告の時に必要になるだろう番号が記載された通知カードも部屋に残したままだったからだ。
これでは長期を見込んでいたのかどうかの基準にはならないだろう。
「そうだ、税金は自動引き落とし?」
「そうみたい」
ますます家に帰る必要性を感じない人だなと思った。
「戀くん、原点に戻ろう」
「ああ、うん」
頬杖をつきため息をついていた戀は彼女の提案に素直に頷く。
「戀くんの目的は、11月22日を失踪した日と断定づけるだけの証拠を集めるとだよね。そしてそれが任意なのか、突発なのか決定づけること」
「うん」
「クローゼットからなくなっていたのは上着。これは確定だと思うの。その分のスペースが空いていたし。そしてここへ来た日、洗濯物は室内に干してあった。洗濯籠にはなにも入ってなかった」
彼女はここに来るときすでに兄に何かあったのだと思って訪ねて来た。しかし部屋には兄はおろか誰もいなかったのである。もちろん部屋に鍵はかけてあったという。
つまり総合して考えると、洗濯を終えてゴミをまとめたのちに外出したことになる。その時、持っていたのはスマホと鍵のみ。
翌朝ゴミ出しをしようと思っていたというのが自然だと思われる。もしそのまま数日帰らないのであれば、妹の陽菜にお願いすることも考えられるし翌朝ゴミを捨ててから留守にするという方がより自然に思えた。
「どう考えても、事前に準備していたとは考えづらいね」
「わたしもそう思う」
となると突発的となってしまう。
「突発的に、か。でも自宅はすぐそこなんだよ? 長期で家を空ける予定が出来たとしたなら”不法投棄”覚悟でゴミを捨ててから出ていかない?」
何処の地域でもゴミ出しの時間は決まっている。ルールを犯した場合、それは不法投棄として処罰されることもあるのだ。
2人はノートパソコンのモニターを見つめていたが一旦身体を起こした。
「今年度の確定申告の期限は翌3月15日まで」
戀が検索画面にチラリと視線を戻して文面を読み上げる。
「2年前もそのくらいかな」
「調べてみる?」
戀の疑問に陽菜。
「いや。どの道それまでに帰ってきていないわけだから、詳しい日付は要らない気がする」
「そうね」
「でも待って、お兄さんの収入はどれくらい?」
確定申告に関しては申請が不要な場合があるようだ。
給与の収入金額の合計額から雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下であり、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下の場合。
申告の必要はありませんと記載されている。
「控除がクセモノね」
「給料は振込だったのかな?」
「そうだと思う」
彼女の兄は、だいたいの収入が分かっている会社員とは違う。
「通帳の記帳はしたんだっけ?」
「うん。兄が使っているならお金の動きがあるだろうと思って。もしかしたら強盗に遭ったということも考えられるし」
その間にも平均収入などについて調べていく。
「かなりピンキリみたいだね」
戀の言葉を聞きながら席を立つ陽菜。通帳を取りに行ったようだ。
稼げる人は800万から1000万くらい稼げるようだが、30%の人は月収20万以下という。年で200万以下の人も多いようだ。
稼げる人は専門に長けていて、人気の記事が作成できる。そして重要なのは美しい文章ではなく目的を達成させる能力とあった。
「うーん……収入はまちまちみたい」
もっとも、彼女の兄はライターで食べてきたいとは思っていなかったのかもしれない。目的は政治家の悪事を暴くこと。自己の利益のために議員となった者を引きずり下ろすことにあった。
「となると確定申告を念頭に入れていない可能性があるね」
戀はカウンターの上に置かれたマイナンバー通知に視線を移す。
彼女の計らいで頭がチラリと覗いているだけ。何故こんなことを調べているのかと言えば、陽菜の兄はマイナカードを発行してはおらず、確定申告の時に必要になるだろう番号が記載された通知カードも部屋に残したままだったからだ。
これでは長期を見込んでいたのかどうかの基準にはならないだろう。
「そうだ、税金は自動引き落とし?」
「そうみたい」
ますます家に帰る必要性を感じない人だなと思った。
「戀くん、原点に戻ろう」
「ああ、うん」
頬杖をつきため息をついていた戀は彼女の提案に素直に頷く。
「戀くんの目的は、11月22日を失踪した日と断定づけるだけの証拠を集めるとだよね。そしてそれが任意なのか、突発なのか決定づけること」
「うん」
「クローゼットからなくなっていたのは上着。これは確定だと思うの。その分のスペースが空いていたし。そしてここへ来た日、洗濯物は室内に干してあった。洗濯籠にはなにも入ってなかった」
彼女はここに来るときすでに兄に何かあったのだと思って訪ねて来た。しかし部屋には兄はおろか誰もいなかったのである。もちろん部屋に鍵はかけてあったという。
つまり総合して考えると、洗濯を終えてゴミをまとめたのちに外出したことになる。その時、持っていたのはスマホと鍵のみ。
翌朝ゴミ出しをしようと思っていたというのが自然だと思われる。もしそのまま数日帰らないのであれば、妹の陽菜にお願いすることも考えられるし翌朝ゴミを捨ててから留守にするという方がより自然に思えた。
「どう考えても、事前に準備していたとは考えづらいね」
「わたしもそう思う」
となると突発的となってしまう。
「突発的に、か。でも自宅はすぐそこなんだよ? 長期で家を空ける予定が出来たとしたなら”不法投棄”覚悟でゴミを捨ててから出ていかない?」
何処の地域でもゴミ出しの時間は決まっている。ルールを犯した場合、それは不法投棄として処罰されることもあるのだ。
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