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9話 過去と対峙して
3 図書館での成果
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「で、どうだったのよ」
皆で手分けして新聞の記事を調べたもの、特定の場所となるとなかなか該当の記事には当たらなかった。もっとも新聞には全ての事故が載っているわけではない。
協力してくれた人々には叔母から夕食をご馳走すると言われ、再び珈琲店に引き返してきた一行。
「内容的には一致した記事もあるんですが、場所が違ったり」
戀の代わりにそれぞれ成果を報告する彼ら。
「でも、記事になっていないと言うことは、そこまでの大けがでなかったという捉え方もできますしね」
温かい料理が冷えた心を溶かしていく。
戀は皆の話を聞きながら、そういう捉え方もできるのかと思っていた。
「例えばの話だけれど」
協力してくれた中の常連客の一人が自分の考えを口にする。
「陽菜ちゃんのお兄さんはライターさんである事件を追っていたわけでしょう。それ関係でこの街から何処かに移動したとしても、何か進展があれば『ネタ』はその雑誌社に報告すると思うんだよ」
進捗や現在どこにいるなどの報告も、もちろんその担当にするだろうと推理する。
「その途中で事件に巻き込まれて……なんてのはやはりドラマの中だけだと思うしさ」
世の中にはきな臭い事件も確かにある。
無名だったからこそ秘密裏に処理されたという可能性も否定はできないが、日々のニュースを見ていると悪事が明るみになっても『慣例だ』などと開き直る議員もいるくらいなのだ。
そう、彼らにとって悪事とは暴かれても大したことではない。そう考える方が自然。一般人は高々100円のものを盗んだとしても刑務所へ送られることもある。逮捕されて当然であるにも関わらず、億単位の不正をしても更迭で済んでしまうのが議員というもの。
更迭とはその役人が変わると言うだけ。もちろん中には逮捕される者もいるかもしれないが、どう考えても大したことではない様に見える。
つまり、悪事に対して罪悪感なんてないし、もしかしたら悪いことだと思っていない可能性もあるだろう。それなのに殺人なんて犯すだろうか?
「やはり、この地域から出てないと思うんだよなあ」
気になるのは身元の分かるものを何も所持していなかった点だ。それが事故に巻き込まれて身元不明の遺体となっているなら、やはり陽菜たち家族が照会した時に何らかの手ごたえがあるはずだろう。
「一度、救急指定病院に問い合わせしてみた方がいいかもしれないわね」
やはりそう来たかと戀は思う。
遅かれ早かれそうなることは予想はしていたが、その医院と元カノが関わっているという話を聞いた後では気持ちが違う。
「そうですね」
声を発したのは陽菜だった。
大丈夫と言うように戀の手の上に自分の手を重ねた彼女。
「まずは電話で問い合わせをしてみようと思います。それで門前払いされてしまったら直接行くしかないけれど」
「その時は一緒に行くよ」
もともとそのつもりだったのだ。決心が鈍ってしまったことを恥じながら彼女に笑いかけた戀は、陽菜が心配そうにこちらを窺っていたことに気づく。
戀は苦笑いするしかなかった。
「ねえ、大丈夫?」
皆が帰ったのち、陽菜は心配そうに。
「これでいよいよあの子に協力要請をするしかなくなったわね」
これまで黙っていた叔母が二人の前に紅茶のカップを置きながら口を挟む。
できれば避けたかった道だ。
「そうみたいだね」
”ああ……”とため息をついてカウンターに突っ伏す戀。慰めるように背中に当てられた陽菜の手が温かい。
「いい加減、覚悟を決めなさいよ」
「わかってるよ」
憂鬱でしかないが、それ以外に方法はないのだ。
「そんなに会うのが嫌なの? 喧嘩わかれしたとか?」
陽菜の質問にどう答えるべきか迷う。
「違うのよ。戀、あの子のことが苦手なの」
代わりに質問に答えクスクスと笑う叔母。
「え? 苦手……そう、なの」
驚いたのち、何故かホッとしたように言葉を漏らす陽菜。何故彼女がホッとしたのか、戀にはわからなかった。
皆で手分けして新聞の記事を調べたもの、特定の場所となるとなかなか該当の記事には当たらなかった。もっとも新聞には全ての事故が載っているわけではない。
協力してくれた人々には叔母から夕食をご馳走すると言われ、再び珈琲店に引き返してきた一行。
「内容的には一致した記事もあるんですが、場所が違ったり」
戀の代わりにそれぞれ成果を報告する彼ら。
「でも、記事になっていないと言うことは、そこまでの大けがでなかったという捉え方もできますしね」
温かい料理が冷えた心を溶かしていく。
戀は皆の話を聞きながら、そういう捉え方もできるのかと思っていた。
「例えばの話だけれど」
協力してくれた中の常連客の一人が自分の考えを口にする。
「陽菜ちゃんのお兄さんはライターさんである事件を追っていたわけでしょう。それ関係でこの街から何処かに移動したとしても、何か進展があれば『ネタ』はその雑誌社に報告すると思うんだよ」
進捗や現在どこにいるなどの報告も、もちろんその担当にするだろうと推理する。
「その途中で事件に巻き込まれて……なんてのはやはりドラマの中だけだと思うしさ」
世の中にはきな臭い事件も確かにある。
無名だったからこそ秘密裏に処理されたという可能性も否定はできないが、日々のニュースを見ていると悪事が明るみになっても『慣例だ』などと開き直る議員もいるくらいなのだ。
そう、彼らにとって悪事とは暴かれても大したことではない。そう考える方が自然。一般人は高々100円のものを盗んだとしても刑務所へ送られることもある。逮捕されて当然であるにも関わらず、億単位の不正をしても更迭で済んでしまうのが議員というもの。
更迭とはその役人が変わると言うだけ。もちろん中には逮捕される者もいるかもしれないが、どう考えても大したことではない様に見える。
つまり、悪事に対して罪悪感なんてないし、もしかしたら悪いことだと思っていない可能性もあるだろう。それなのに殺人なんて犯すだろうか?
「やはり、この地域から出てないと思うんだよなあ」
気になるのは身元の分かるものを何も所持していなかった点だ。それが事故に巻き込まれて身元不明の遺体となっているなら、やはり陽菜たち家族が照会した時に何らかの手ごたえがあるはずだろう。
「一度、救急指定病院に問い合わせしてみた方がいいかもしれないわね」
やはりそう来たかと戀は思う。
遅かれ早かれそうなることは予想はしていたが、その医院と元カノが関わっているという話を聞いた後では気持ちが違う。
「そうですね」
声を発したのは陽菜だった。
大丈夫と言うように戀の手の上に自分の手を重ねた彼女。
「まずは電話で問い合わせをしてみようと思います。それで門前払いされてしまったら直接行くしかないけれど」
「その時は一緒に行くよ」
もともとそのつもりだったのだ。決心が鈍ってしまったことを恥じながら彼女に笑いかけた戀は、陽菜が心配そうにこちらを窺っていたことに気づく。
戀は苦笑いするしかなかった。
「ねえ、大丈夫?」
皆が帰ったのち、陽菜は心配そうに。
「これでいよいよあの子に協力要請をするしかなくなったわね」
これまで黙っていた叔母が二人の前に紅茶のカップを置きながら口を挟む。
できれば避けたかった道だ。
「そうみたいだね」
”ああ……”とため息をついてカウンターに突っ伏す戀。慰めるように背中に当てられた陽菜の手が温かい。
「いい加減、覚悟を決めなさいよ」
「わかってるよ」
憂鬱でしかないが、それ以外に方法はないのだ。
「そんなに会うのが嫌なの? 喧嘩わかれしたとか?」
陽菜の質問にどう答えるべきか迷う。
「違うのよ。戀、あの子のことが苦手なの」
代わりに質問に答えクスクスと笑う叔母。
「え? 苦手……そう、なの」
驚いたのち、何故かホッとしたように言葉を漏らす陽菜。何故彼女がホッとしたのか、戀にはわからなかった。
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