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最終話 新たなる一歩
6 予感、終わらない今日
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「絵本ってね、調べてみるといろんな種類があるのよ」
事前に色々と調べて来たらしく話が止まらなかった二人はしばらく図書館の入り口で立ち話をすることにした。
まるでファンタジー世界に迷い込んだようなこの図書館は人気があるらしく、人の出入りもそこそこ多いように感じたが、冬休みに入っているからという理由もあるかもしれない。
戀は先ほどの女性のことが気になり、陽菜の話を聞きながらアトリエの方に視線を向ける。
彼女はどうしてこちらを見ていたのだろう。
恐らく見ていた相手は自分たちではなく、コンビニ店員。
彼がアトリエに行ったことを言わなかったことを考えても、それが正しいと思えた。
「ねえ、戀くん」
戀がアトリエの方ばかり見ていると、陽菜に袖を引っ張られる。
「あっちばかり気にしているけど、どうしたの?」
「いや、別に」
「あ、わかった」
陽菜の言葉に戀はドキリとした。先ほどの様子は彼女からは見えていないはず。大丈夫だと自分に言い聞かせながら次の言葉を待った。
「戀くんもネコのアクセサリー欲しくなっちゃったんでしょ? 可愛いものね、あれ」
「ああ、うん。そう」
戀は適当に頷くことにする。余計なことは言うべきではない。
「じゃあ、図書館に行く前に寄って行こうか」
あの時外に出ていた女性については誰だか分かっていないが、服装だけなら覚えている。
「いいね」
渡りに船を思った戀は彼女に案に乗った。
詮索すべきではないことは分かっているのに、どうにも気になって仕方ない。相手が誰なのか分かれば、この気持ちも落ち着くのではないかと思ったのだが、甘かった。
「みんな同じ服装……」
「ん? 何か言った?」
アトリエに足を踏み入れた戀は売り子を見てガックリと肩を落とす。
ここでは制作の合間に売り子もするシステムらしく、同じ格好をしている女性が三人いた。奥には生徒さんもいるのだろうが、同じ格好をしている可能性は大だ。
仕方なく店内の端でアクセサリーを眺める。
陽菜が何か気に入ったならプレゼントしようと思いながら。
「これ、可愛い」
陽菜はナチュラルに戀の傍に寄り、目の前にあったネコのアクセサリーを取りあげる。
「それにする?」
「戀くんが買うんじゃないの?」
「うん、俺が出すよ」
”そういう意味じゃない”と言う彼女の目は笑っていなかった。もしかして嘘がバレたのだろうか。
「で?」
そっと顔を寄せる彼女。怒っているようには見えない。
「”で?”とは」
「なにか事件なんでしょ?」
彼女の質問に戀は再び咽た。彼女が戀の背中をさすってくれる。
「なんでそう思うの」
「だって不自然だから」
陽菜の洞察力は自分の想像以上かもしれないと思う。もっとも、戀が分かりやす過ぎるのかもしれないが。
「陽菜は名探偵になれると思う」
「探偵は志望してないわよ?」
返事をしてから戀が話を逸らそうとしたことに気づいたのか、彼女は殴るふりをして片腕を挙げる。
「目立っちゃうよ。買い物して、外で話そう」
「わかった」
”話してくれるという意味よね”とその目は言っていた。
観念すべきだろうか。
図書館デートの予定は大幅にズレ、買い物を終えた二人は相変わらず図書館の前にいた。
「何か気になることがあるんでしょ?」
「大したことじゃないよ」
官民境界にある膝よりも少し高い縁石に寄りかかりながら。
「それに他人のことだしさ」
頼まれてもいない些細な事。そんなことを調べるべきではない。ほんの少し、相手が誰なのか気になっただけなのだ。
「好奇心ってやつで事件じゃないし、褒められたことでもない」
「それでも聞きたい。誰にも言わないから」
「しょうがないな」
「大丈夫、連帯責任だよ」
何が大丈夫なんだと思いながらも、戀は自分の持った違和感について陽菜に話すことに。
だが戀はこの時はまだ予想もしていなかった。
自分たちがこの件に巻き込まれていくことを。
****
『心打つ雨音、恋してもなお:完』
→『恋する図書館、愛の天使』へ続く。
事前に色々と調べて来たらしく話が止まらなかった二人はしばらく図書館の入り口で立ち話をすることにした。
まるでファンタジー世界に迷い込んだようなこの図書館は人気があるらしく、人の出入りもそこそこ多いように感じたが、冬休みに入っているからという理由もあるかもしれない。
戀は先ほどの女性のことが気になり、陽菜の話を聞きながらアトリエの方に視線を向ける。
彼女はどうしてこちらを見ていたのだろう。
恐らく見ていた相手は自分たちではなく、コンビニ店員。
彼がアトリエに行ったことを言わなかったことを考えても、それが正しいと思えた。
「ねえ、戀くん」
戀がアトリエの方ばかり見ていると、陽菜に袖を引っ張られる。
「あっちばかり気にしているけど、どうしたの?」
「いや、別に」
「あ、わかった」
陽菜の言葉に戀はドキリとした。先ほどの様子は彼女からは見えていないはず。大丈夫だと自分に言い聞かせながら次の言葉を待った。
「戀くんもネコのアクセサリー欲しくなっちゃったんでしょ? 可愛いものね、あれ」
「ああ、うん。そう」
戀は適当に頷くことにする。余計なことは言うべきではない。
「じゃあ、図書館に行く前に寄って行こうか」
あの時外に出ていた女性については誰だか分かっていないが、服装だけなら覚えている。
「いいね」
渡りに船を思った戀は彼女に案に乗った。
詮索すべきではないことは分かっているのに、どうにも気になって仕方ない。相手が誰なのか分かれば、この気持ちも落ち着くのではないかと思ったのだが、甘かった。
「みんな同じ服装……」
「ん? 何か言った?」
アトリエに足を踏み入れた戀は売り子を見てガックリと肩を落とす。
ここでは制作の合間に売り子もするシステムらしく、同じ格好をしている女性が三人いた。奥には生徒さんもいるのだろうが、同じ格好をしている可能性は大だ。
仕方なく店内の端でアクセサリーを眺める。
陽菜が何か気に入ったならプレゼントしようと思いながら。
「これ、可愛い」
陽菜はナチュラルに戀の傍に寄り、目の前にあったネコのアクセサリーを取りあげる。
「それにする?」
「戀くんが買うんじゃないの?」
「うん、俺が出すよ」
”そういう意味じゃない”と言う彼女の目は笑っていなかった。もしかして嘘がバレたのだろうか。
「で?」
そっと顔を寄せる彼女。怒っているようには見えない。
「”で?”とは」
「なにか事件なんでしょ?」
彼女の質問に戀は再び咽た。彼女が戀の背中をさすってくれる。
「なんでそう思うの」
「だって不自然だから」
陽菜の洞察力は自分の想像以上かもしれないと思う。もっとも、戀が分かりやす過ぎるのかもしれないが。
「陽菜は名探偵になれると思う」
「探偵は志望してないわよ?」
返事をしてから戀が話を逸らそうとしたことに気づいたのか、彼女は殴るふりをして片腕を挙げる。
「目立っちゃうよ。買い物して、外で話そう」
「わかった」
”話してくれるという意味よね”とその目は言っていた。
観念すべきだろうか。
図書館デートの予定は大幅にズレ、買い物を終えた二人は相変わらず図書館の前にいた。
「何か気になることがあるんでしょ?」
「大したことじゃないよ」
官民境界にある膝よりも少し高い縁石に寄りかかりながら。
「それに他人のことだしさ」
頼まれてもいない些細な事。そんなことを調べるべきではない。ほんの少し、相手が誰なのか気になっただけなのだ。
「好奇心ってやつで事件じゃないし、褒められたことでもない」
「それでも聞きたい。誰にも言わないから」
「しょうがないな」
「大丈夫、連帯責任だよ」
何が大丈夫なんだと思いながらも、戀は自分の持った違和感について陽菜に話すことに。
だが戀はこの時はまだ予想もしていなかった。
自分たちがこの件に巻き込まれていくことを。
****
『心打つ雨音、恋してもなお:完』
→『恋する図書館、愛の天使』へ続く。
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