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一章:佳奈編
3・重たい愛の押し付け
しおりを挟む『佳奈が好きで好きで、好き』
恋人の一志から好きと言われるたびに、佳奈は苦痛でならなかった。
可愛いと好きを繰り返す、一志。
自分が好きだと言われたいから”好き”だといっているようにしか感じない。 うっとおしい、メンドクサイが佳奈の本心だ。
────女は可愛いと言っておけば、良いとでも思っているのだろうか?
佳奈は今まで、男性に対し良い印象は持っていなかった。
男の言う”可愛い愛してる”は、すなわち、”ヤりたい”と同等だと思っており、愛だと感じたことはない。
その中でも一志の一方的な想いは苦痛でしかなく、”愛している”と言っては身体を求める彼に、”あんたの愛はただの自己愛”だと感じていた。
────うんざりだ。
「佳奈。これプレゼント。つけてくれるよね?」
彼は、装飾品ばかり佳奈に寄こす。
どんなに要らないと突っ返そうとしても、無理やり押し付ける。
それは佳奈にとって、単なる束縛の証でしかない。彼は佳奈に、自分と言う恋人がいることを周りに知らしめたいのだ。
「わたしは浮気なんてしないし、こういうものは好まない」
佳奈は何度も何度も拒否をした。
「あなたの性欲処理の道具にもなりたくない」
「そんなつもりはない、佳奈を愛しているから抱きたいんだよ」
────そんなのただの支配だよ。
男の使う”愛している”に愛なんてない。
そんな甘い言葉で女をその気にさせ、自分の好きにしたいだけ。
自分と同じ人間扱いをしているなら、そんな原始的なことはしない。
佳奈は知的な男性を好んだ。
特に絵画や音楽、文学、芸術に関心を寄せるような。
一志は確かに読書は好んだが、彼の言動から知性は感じられなかった。何よりも一志は自己愛が強すぎる。
そして、人から愛されたいという想いが強すぎた。
モテる自分が好き。モテることを自慢するのがカッコいいと思っている。
────吐き気がする。頭、おかしい。
「佳奈、俺また告白されちゃった」
一志はモテるわけではない。単に相手をその気にさせているだけだ。
そして、告白すれば上手くいくような思わせぶりな態度を取っているに過ぎない。自分が好かれたいから。
「あ、でも。佳奈がいるから………もちろん断ったよ」
恩着せがましい言葉。
佳奈にとっては重荷でしかない。
佳奈は、一志が何度も女性と二人きりで逢っているのを見かけていた。
それでも、初めての時は少しは気持ちがあったのだ。繰り返されるうちに、興味さえ失せていく。
────モテ自慢なんかどうでもいい。
ただ、わたしは”別れて”からやって欲しいだけ。
わたしは一志から解放されたいの。
一志からすれば、佳奈の気を惹きたくてしていることであったが、佳奈にとっては、ただただどうでもいいことであった。
佳奈は、一志と初めて逢った頃のこと思い出す。
────もっと知的な男だと思っていたのにな……。
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