R18【オメガバース】愛を持たざる者ども─αとΩに愛されたβ─

crazy’s7@体調不良不定期更新中

文字の大きさ
123 / 145
18話『αの潜入捜査と執事』

1 気がかりな人々

しおりを挟む
****♡Side・β(カイル)

───クライスは大丈夫だろうか。

 この国に来なければ、ラット化することを経験する必要はなく、本来知る必要のなかった”性欲”を植え付けられることもなかった。
 自分が一番信頼している、宮廷では側近であり現在は執事であるβ男性体の者にクライスを頼んだ。出来る限りクライスの傍に居て、彼を守って欲しいと。
 もう妹の時のように大切な人を失いたくなかった。
 母は妹を失った時、カイルにとっては父であるこの国の王に離縁を申し出たという。自分には正妻の役目は果たせないと。
 世継ぎとして産んだ息子はΩに選ばれたため城を去ることになり、国の象徴であった娘はαのせいで殺されたも同然。

 自分にはこれ以上子を産むことは難しい。それは年齢的なことと肉体的なこと、精神的なことからの理由による。なんの役にも立たないのだから、任を解いて欲しいと申し出たのだ。離縁しカイルと暮らしたいと彼女は願っていた。
 しかし国王は彼女を愛している。どうしても傍に置きたいと、それを突っぱねた。
 世継ぎならば側室の子がいくらでもいる、と。
 確かに我が王家には自分の他にたくさんの子がいる。
 この国で国王にたくさんの側室がいるのは、子が戦争で亡くなったり、医療レベルが低いために亡くなるからなどの理由によるものではない。

 β男性体しか王の座を継ぐことが出来ない。
 しかも法の元Ωに恋人として選ばれれば、皇族でなくなるからだ。
 その為、世継ぎ候補がたくさん必要であり、側室がいるのだ。
 父が母を愛しているのは分かる。一目ぼれだと伺っているから。
 しかし母が父を愛していると言ったようなことは、聞いたことが無かった。母は自分や妹は愛してくれていたと思う。

『カイル、産まれてきてくれて。ありがとう』
 母はそう言って何度も抱きしめてくれた。
 今思えば世継ぎとして産まれてきてくれて、肩の荷が下りたからかも知れないと感じる。

───例え、母が心から自分を愛してくれなかったとしても、俺は母を愛している。ここで一緒に暮らしたいと言ってくれた時、どんなに嬉しかったことか。

 自分は父王が嫌いだった。
 妹を見捨て、母をいつまでも縛り付けるあの人が。
 母が床に臥せてしまったのは、あの人のせいではないのか。母はあの人など愛してはいない。
 もちろん妹を死に追いやった犯人は許せない。必ずこの手で裁きを下す。
 妹だけじゃない、愛しいレンやクライスにも危害を加えようとしたのだ。奴は遅かれ早かれ捕まることだろう。
 しかし、父王は違う。

───母を、宮廷から救い出さなければならない。

 レンの発情期が終わり次第行動に移そうと決意したカイルは、自室のドアを開ける。レンの起きている気配がした。
「レン、食事にしよう」
 給仕の者がカイルに続きリビングのへ進んでいく。
 カイルはベッドルームに向かうと、
「起きられる?」
と声をかけた。
 彼の疲れ切った表情。

「カイル……」
 発情期で失われるのは体力だけではない。
 自分でない自分が記憶も意識もないままに、意志に反して性を求めるのはどんなに辛かろうと思った。
 母を宮廷から連れ出す作戦についてレンに意見を求めようとした居たカイルは、彼が両腕を伸ばすのを見てただ優しく彼を抱きしめる。
 きっと、今はその時ではないと。

「愛してるよ、カイル」
 ちゃんとした恋人関係になってからは、いつだってカイルのことを気遣ってくれる、レン。愛しかった。
「俺もだよ。一緒にご飯を食べようね」
「うん」
 今頃クライスは寂しい想いをしてはいないか、カイルは心配になりながらもレンを抱き上げたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー

白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿) 金持ち‪社長・溺愛&執着 α‬ × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω 幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。 ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。 発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう 離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。 すれ違っていく2人は結ばれることができるのか…… 思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいα‬の溺愛、身分差ストーリー ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜

トマトふぁ之助
BL
 某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。  そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。  聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。

あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

春風の香

梅川 ノン
BL
 名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。  母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。  そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。  雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。  自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。  雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。  3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。  オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。    番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...