天使たちの水浴びシーン

アッシュ出版

文字の大きさ
8 / 92

8)露出度レベルのランク付け

しおりを挟む
 天羽ゆかりちゃんのマネージャーは中年の女性だった。きっと僕よりも年上だ。小柄で小太りで、動きもテキパキしていて、やり手の雰囲気が漂っている。

 「うちの天羽を採用していただいてありがとうございます。共演する椎名さんはこの業界では有名な子。グラビアデビュー作としては話題性は十分です。しかしこの子にとって水着のお仕事初めて。水着は当然、パラオでお願いします。胸の谷間を強調したカットもNGで」

 ゆかりちゃんのマネージャーさんは担当さんにだけ言う。
 隣の僕の存在はさりげなく無視だ。新人監督なんてどうでもいい。そういう態度だった。

 「天羽は女優として育てていくつもりです。この仕事はあくまで話題作りのため。そちらの方向に積極的に進む気はありませんので」

 「はい、わかっています」

 それは当然のこと、十分に予測していたことだ。その制限の中でどれだけエロい作品を作ることが出来るか、それが僕たちの仕事。
 こっちだって清純派女優としての天羽ちゃんを抜擢したつもりである。
 そもそも、露出度の低い天羽ゆかりちゃんと、露出度の高い椎名美咲ちゃんを組み合わせることで、これまでにないイメージビデオを作るというのが僕の方針。

 とはいえ、彼女の事務所はかなりの弱小事務所でもある。
 そして天羽ゆかりはまだまだ無名。そこはつけ込みどころでもある。
 向こうだって迷いが感じられるのだ。僕のような新人ディレクターの仕事に応じたのだってその迷いが原因。

 なし崩しに、もう少し露出度のレベルは上げられるはずだ。きっと担当さんなんかは、そういう計算もしている。

 ところで、パラオ着用、胸の強調カット無し。
 それは僕の区分わけではAタイプに分類される。超売れっ子アイドルの最初の写真集なんか、そのAランク。

 一応、僕はイメージビデオマニアである。これまでに数え切れないくらいの作品を見てきて、おおよそのパターンのようなものを見出している。
 イメージビデオには露出度によって、明確にランク付けが出来るのだ。ざっと説明するとこういう感じ。

 Aランク。パラオ着用。胸の谷間の接写無し。

 Bランク。ビキニあり。胸の谷間強調シーンあり。

 Cランク。お尻の食い込みあり。横乳や、下乳など、乳房の部分露出。筋ありの場合もあり。

 Dランク。水着パンチラシーンあり。後ろ筋あり。自分の手で乳房を揉んだり、胸を強調するシーンあり。ノーブラ風の前屈みシーンも。

 Eランク。Tバック。水着ではなくて下着でのパンチラ。

 Fランク。ブラを外す。手ブラ。

 Gランク。パンツを脱ぐ。お尻を見せる。

 Hランク。乳首を見せる。

 当然、このランク付けには色々と異論もあるだろう。
 もっと正確なランク付けが出来るという批評家さんもいるに違いない。これは議論のたたき台くらいのものだと理解していただきたい。

 しかし確実に言えることは、そのランク付けのようなものは作品の中では一貫していること。
 胸の谷間も強調しないアイドルは、お尻の接写シーンだってないこと。お尻、下半身のほうがやはり露出度レベルが高いのである。
 しかしパンツを脱いで、生尻を曝す女の子であっても、乳首は出さない。乳首を出すのは最終手段だということ。
 そこに個人差というものがほとんどないのがこの世界の鉄則である。
 憲法のように決まっているのだ。乳首は出すけどお尻は出さないグラビアアイドルは存在しない。

 おっと、乳首とかお尻丸出しは、美咲ちゃんやゆかりちゃんには関係ないことだ。彼女たちに関わるのはこれだろうか。水着パンチラありかなしか! 
 たとえ水着であっても、パンチラシーンというのは滅多にない。
 水着パンチラシーンというのは、かなりのエロレベルであることも、ここに強調しておきたい。このランク付けではDランク。ちなみに、椎名ちゃんはここにいます。

 Aランクの天羽ゆかりちゃんと、Dランクの椎名美咲ちゃんの競演による秩序壊乱。それがこの作品の狙い。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...