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11)天使という属性
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さて、ついにこの日がやってきたのである。運命のイメージビデオ撮影の日。
これまでの僕の人生、それはもう冴えない人生だった。
受験も失敗した。恋も実らなかった。夢も叶わなかった。ただただ趣味に生きるだけの人生。
いや、まあね。生き甲斐であるこの趣味を見つけられたのは良かったと思う。
もしこの世界に、R15のイメージビデオというジャンルが存在していなければ、僕は生きる意味を何一つ見出すことは出来なかっただろう。
精神安定剤に頼りながら、自宅と会社を往復するだけの日々。それだけで僕の人生は終わっていただろうな。
でも、この世界には、それが存在する。天使という属性の女の子たち。
彼女たちは、孤独な僕たちに向かって、優しく微笑みかけてくれるのだ。
「おっぱいが好きなの? じゃあ、見せてあげるね」
「いやだ、やっぱり恥ずかしいな・・・」
「でも、ちょっとだけ、谷間だけだったら、いいよ」
「やだ、ずっと見えてたんだ? は、恥ずかしい。でも、本当はこれ、水着なんだよ・・・。ほら、別に見られても平気だから・・・。嘘、もう見ないでね」
「どうしたの? さっきからハアハア言ってるね? え? 出たって、何が? ちょ、ちょっとなにこれ、・・・すごい」
・・・おっと、僕はどうしたというのだ。撮影を前に興奮し過ぎているな。
ああ、天使たちよ。生まれてきてくれてありがとう。
彼女たちは同年代の女の子たちと比べても、抜きん出てかわいらしいのに、なぜだか不特定多数に向かって、自分の水着姿を曝してくれるのである。
なぜだ? なぜなんだ?
どうして、あれほどかわいらしい女の子たちが水着姿になって、惜しみなく身体を見せてくれるのか僕にはわからないけど、とにかく彼女たちは脱いでくれる。
そして僕たちは天使に忠誠を誓うかのように、その前で片膝をつき、自分の股間を力いっぱい握り締めて、激しくこする。
モニターの向こう、天空を舞う天使に向かって、精液という捧げものを手向けるのだ。
その迸る勢いこそ、僕たちが天使に向ける愛と情熱の証し。
さて、経験豊かで優秀なスタッフさんたちが、全てのお膳立てを整えてくれている。
僕が作成した企画書や簡単な絵コントに基づいて、ロケ現場を用意してくれていて、セットを作ってくれている。
撮影の手順も任せている。僕はただ、このシーンがオーケーのか、NGなのか判断するだけが仕事。
いや、その中で、どれだけ二人のアイドルに、細かい動作や表情の指示を出せるかどうか、それが勝負だと思っている。
エロスは、一瞬に宿る。ちょっとした動き、ちょっとした表情の変化、その一瞬が作品の質を決定するのだ。絶対に妥協してはいけない。
撮影の円滑な流れを止めてでも、満足出来るシーンが撮れるまで、やり直ししなければいけない。
スタッフの舌打ちが聞こえても、美咲ちゃんとゆかりちゃんがうんざりした表情をしても、「違うんだ、このシーンはこうしてくれ!」って僕は言うから、マジで。
「では、まず、椎名美咲ちゃんの最初のシーン。パジャマから制服に着替えるシーンからです!」
映画でいうところの助監督、テレビ界ではADと呼ばれるスタッフさんが、全てのスタッフさんに向かって大きな声で言う。
撮影現場にピリリとした緊張感が走った。
いよいよ始まるのだ!
これまでの僕の人生、それはもう冴えない人生だった。
受験も失敗した。恋も実らなかった。夢も叶わなかった。ただただ趣味に生きるだけの人生。
いや、まあね。生き甲斐であるこの趣味を見つけられたのは良かったと思う。
もしこの世界に、R15のイメージビデオというジャンルが存在していなければ、僕は生きる意味を何一つ見出すことは出来なかっただろう。
精神安定剤に頼りながら、自宅と会社を往復するだけの日々。それだけで僕の人生は終わっていただろうな。
でも、この世界には、それが存在する。天使という属性の女の子たち。
彼女たちは、孤独な僕たちに向かって、優しく微笑みかけてくれるのだ。
「おっぱいが好きなの? じゃあ、見せてあげるね」
「いやだ、やっぱり恥ずかしいな・・・」
「でも、ちょっとだけ、谷間だけだったら、いいよ」
「やだ、ずっと見えてたんだ? は、恥ずかしい。でも、本当はこれ、水着なんだよ・・・。ほら、別に見られても平気だから・・・。嘘、もう見ないでね」
「どうしたの? さっきからハアハア言ってるね? え? 出たって、何が? ちょ、ちょっとなにこれ、・・・すごい」
・・・おっと、僕はどうしたというのだ。撮影を前に興奮し過ぎているな。
ああ、天使たちよ。生まれてきてくれてありがとう。
彼女たちは同年代の女の子たちと比べても、抜きん出てかわいらしいのに、なぜだか不特定多数に向かって、自分の水着姿を曝してくれるのである。
なぜだ? なぜなんだ?
どうして、あれほどかわいらしい女の子たちが水着姿になって、惜しみなく身体を見せてくれるのか僕にはわからないけど、とにかく彼女たちは脱いでくれる。
そして僕たちは天使に忠誠を誓うかのように、その前で片膝をつき、自分の股間を力いっぱい握り締めて、激しくこする。
モニターの向こう、天空を舞う天使に向かって、精液という捧げものを手向けるのだ。
その迸る勢いこそ、僕たちが天使に向ける愛と情熱の証し。
さて、経験豊かで優秀なスタッフさんたちが、全てのお膳立てを整えてくれている。
僕が作成した企画書や簡単な絵コントに基づいて、ロケ現場を用意してくれていて、セットを作ってくれている。
撮影の手順も任せている。僕はただ、このシーンがオーケーのか、NGなのか判断するだけが仕事。
いや、その中で、どれだけ二人のアイドルに、細かい動作や表情の指示を出せるかどうか、それが勝負だと思っている。
エロスは、一瞬に宿る。ちょっとした動き、ちょっとした表情の変化、その一瞬が作品の質を決定するのだ。絶対に妥協してはいけない。
撮影の円滑な流れを止めてでも、満足出来るシーンが撮れるまで、やり直ししなければいけない。
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「では、まず、椎名美咲ちゃんの最初のシーン。パジャマから制服に着替えるシーンからです!」
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撮影現場にピリリとした緊張感が走った。
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