天使たちの水浴びシーン

アッシュ出版

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74)バスタオルを巻いて

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 「お邪魔します」と美咲ちゃんが大きめのバッグにお泊りセットを入れて、ゆかりちゃんの家にやって来るわけだ。
 今日はパパとママが留守なんです。一人で寝るのは怖くて。だから先輩、私の家に来ませんか? 
 というのは建前、誘いの言葉。美咲ちゃんもわかっている。

 男性などを連れ込もうならば、それは不純異性交遊。親にばれたら大変だし、それはいけないことだと本人にも自覚はある。
 しかし相手は同姓だ。友達なのである。

 それに二人の関係はあやふやだ。
 ただの友情なのか、肉欲を伴った愛なのか、わかってなんかいない。
 とにかく、一緒に居たいという衝動、それに従っているのだ! 

 というわけでメイド服着替え編を割愛して、一夜を過ごす美咲ちゃんとゆかりちゃん編の撮影開始。
 まずは入浴シーンの撮影である。
 二人で一緒に湯船に入る。シャワーを浴びながら、お互いの身体を洗い合いしたりすることにもなるでしょうね。

 ところでこのシーン、二人はバスタオルを巻いてバスルームに入る。
 バスタオル姿の二人、それからバスタオルを取って、水着になる瞬間、それらを撮影するがこのシーンの裏テーマでもあり。
 その下に水着を着ているわけでありますが、バスタオルを脱ぐのをやたらと恥ずかしがっていて、なかなか脱ごうとしないなんて演技を僕は要求するつもりだ。
 つまり二人ともバスタオルの下は裸で、それを脱いだとき、二人にはお互いの裸を見た、見られたというリアクションをして欲しいのだ。しかも初めての経験として。

 「え? どんな感じの演技をすればいいのですか? お手本、見せて下さい、監督」

 「そうです、教えて下さいよ」

 撮影の直前、美咲ちゃんとゆかりちゃんにその撮影プランを話したら、そんな言葉が返ってきた。

 「え? 手本? そ、そうだねえ・・・」

 僕はそのシチュエーションを想像する。
 自分が好きで堪らない女子と二人でお風呂に入ることになって、恥ずかしがる彼女がバスタオルを脱いだ瞬間、
そのときの感動はどんなものだろうか? 
 感動というよりも興奮。そのときの僕のリアクションはどんなか。

 美咲ちゃんとゆかりちゃんの前で、女性の裸を見たときの自分を想像するなんて、何か犯罪的なことをしている気になる。しかしそれは二人が求めてきたことだ。
 しかも、その相手はもしかしたら、二人の内のどちらかもしれない。
 だって今、僕が見たくて堪らない相手がいるとすれば、この二人なわけであるのだから。

 「えーと、そうだね・・・」

 つまり僕は今、美咲ちゃんとゆかりちゃんの目の前で、美咲ちゃんとゆかりちゃんの裸を見たときのことを想像してもいいという権利を得たわけである! 

 僕は恐る恐る二人をじろりじろりと眺めてしまう。
 二人は次の撮影のために、バスタオル姿、と言いたいところであるが、その上に上着を羽織っていて、実際のところ、かなりの防御態勢。
 裸の予感は皆無なのだけど、でも僕たちの付き合いは長く、この撮影の間、これまで散々、水着姿を見てきて、想像をしようと思えばどこまでもリアルに思い描くことは出来る。

 でも最後のひとかけら、最も肝心な部分が謎で、そこだけは霧の中。
 その霧が晴れたとき、どんなに感動するのか、それが重要なわけであるが、そこだけは想像だけで到達出来ないのだ。

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