天使たちの水浴びシーン

アッシュ出版

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17)二人きりの密室

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 「えーと、マネージャーさん、ここは僕に任せてくれないかしら」

 僕は自分がオネエキャラだということをかろうじて思い出す。

 「撮影直前になって、タレントがごね始めるなんて問題ですよね? そもそも、これはあなたの責任じゃないのかしら?」

 このマネージャーさんの力不足でこのような事態を招いたことは事実である。無茶な言いがかりではないはずだ。
 そこを厳しく突っ込めば、マネージャーさんも言い返すことは出来ないだろう。

 「ああ、はい」

 確かにそうかもしれません。しかし密室で男性とこの子を二人にするわけにはいかないのです。
 はっきりとそういうわけではないが、このような言葉をマネージャーさんはモゴモゴと言ってくる。

 「彼女、降板させたいの?」

 僕は言った。「このままじゃそうなるよね?」

 「いえ、私がちゃんと説得します」

 「あなたじゃ無理なの」

 「そんなことありません」

 「僕を信頼して」

 僕は言った。「ゆかりちゃんもそっちのほうがいいでしょ?」

 ゆかりちゃんはまだ顔を伏せたままだったけど、コクリと頷いた。

 そうなのである。そもそも、ゆかりちゃんとこのマネージャーさんとの間がしっくりといっていないようなのだ。
 マネージャーさんは中年の女性。真面目で堅物。性的なことを忌み嫌っているところがある。そういう雰囲気を言葉の端々から感じる。
 そんな彼女の前で水着姿になるのが恥ずかしい。ゆかりちゃんが怖気ついた理由の中には、そういう事情もある。
 僕はそれも知っていた。だからこそ、このような強気なセリフが言えたのである。
 ゆかりちゃんを解放的な気分にさせるのは、この過保護な保護者から切り離す必要があるのだ。

 「彼女が降板ってことになったら、あんたも会社の偉い人に怒られるでしょ。ここは僕に任せて」

 僕はウインクしながら言った。こいつはおかまだ。二人きりにしても丈夫だろう。そういう油断をさせるためのウインクである。

 「しかしですね」

 「じゃあ、ゆかりちゃんと二人で相談して。三分、時間をあげるから。二人で答えを出して」

 「わかりました」

 マネージャーさんはゆかりちゃんと小声で相談を始める。ゆかりちゃんは頷いたり、首を振ったりしている。大丈夫です。そのような声も聞こえる。

 「どこか触られたりしたら、大きな声を出しなさいよ」

 マネージャーさんは言う。多分、わざと僕に聞こえるようにだ。

 「わかってます」

 「水着は脱がなくていいのよ」

 「あ、当たり前ですよ・・・」

 ゆかりちゃんも心配性のマネージャーさんに苦笑いだ。
 とはいえ、話し合いは終わったようだ。

 「仕方ありません、ではここはあなたに任せます」

 「何も心配はありませんよ」

 マネージャーさんは少し恨めし気に僕をにらみつつも、すみやかに部屋を出ていく。ああ、これでゆかりちゃんと二人きりか。
 僕はゴクリと唾を飲み込みながら、ゆかりちゃんを見る。彼女は扉から出ていくマネージャーさんを見送っている。
 そのパジャマの後ろ姿。薄い生地越しに水着のラインが透けて見えそうだ。
 水着がお尻の割れ目に食い込んでいるかもしれない。立ったり座ったりしていたから、そうなっていて当然だ。そもそも、彼女の大きなお尻をすっかり隠してしまう水着なんてないだろう。
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