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Case.5 霊鬼
第二十一話
しおりを挟む「う~ん……。まじか……。う~む……」
あの会長さんが、言葉を失っている。
「さすがにこうなるとは予想してなかったや。反省……なんてしてる場合じゃないけど」
経験値が高いだけあって、清水先輩はかなり冷静。でもやっぱり、事態は軽くない。
「今、〈霊鬼〉の行き先を探っていますけど……。正直見つけるのは難しそうですね」
鬼頭先輩も、色々やってくれている。
「ねぇ、もも、大丈夫?」
「え……」
その声で我に返る。まさか、凛津に心配されるとは思いもしなかった。
その襟首を名津君が掴んで小声で言う。
「あのさあ、こういうときはそっとしとけよ」
「むぅ……」
無駄な心配かけちゃったな。全部、私が撒いた種なのに。
「ご、ごめんね。私は大丈夫だから……」
つい、三十分前の話。有馬先輩は真冬さん──〈霊鬼〉と一緒に消えた。それと同時に、あれだけ騒いでいた鬼達が静かになった。未だに二人がどこへ行ったのかはわからない。
八方塞がりだ。多分、向こうから接触してくることもないだろうし、こちらから接触することはできない。
「あー……。でもちょっとだけ好都合。言い方は悪いけんだど……」
清水先輩が突然そう言った。
「有馬君がいるところじゃ言いづらかったんだ。なにせ、彼が一番の被害者なんだし」
「被害者?」
「んー。ごめんね澪ちゃん。これじゃわかりにくいね」
まるで小学生に話しかけているような感じだ。ちょっと複雑。
「……〈酒呑童子〉のこと」
〈酒呑童子〉は、戦前からどこかで封印されていた。だが、その後の戦中、戦後のごたごで封印場所がわからなくなっていた。
そんな矢先に起きたのが、一昨年の事故だ。
ほんの少しの間をおいて、清水先輩は語りだした。
「残念だけど、私達の調査でも〈酒呑童子〉が元々どこにいたのかは掴めなかった。封印の跡も綺麗に消えてるみたい」
どうして今〈酒呑童子〉が関係しているのかわからない。
「だけど、今〈霊鬼〉がいるのは〈酒呑童子〉が封印されていた場所だと思うの」
その発言を受けて凛津が言った。
「……その〈霊鬼〉が、〈酒呑童子〉由来のものだから?」
「うん」
だ、駄目だ……。頭がこんがらがってきた……。
うぅ……。こんなんだったら、ちゃんと鬼のことを勉強しておくんだったな。今更反省しても遅いけど。
顔に「わかりません」と書いてある私を見た鬼頭先輩が教えてくれた。
「真冬さんは、直前に〈酒呑童子〉と戦っていたので、その影響で〈霊鬼〉になってしまったんですよ」
な、なるほど……。
取り込まれたとか憑かれたとか、そういう次元の話かな。
「つまり、〈酒呑童子〉の封印されていた場所さえわかれば、〈霊鬼〉と有馬君は見つかる」
清水先輩がそう締めたけど、かなり重大な矛盾を感じる。
「あれ?」
名津君も気が付いたようだ。
「でもさっき、〈酒呑童子〉の封印場所はわかってないって……」
「そう。だけど、君だけは〈酒呑童子〉の封印場所を知ってるはずよ」
そう言って、清水先輩は私の方を見た。
「ねぇ、〈半鬼〉桃田澪」
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