息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

jun( ̄▽ ̄)ノ

文字の大きさ
70 / 223

70・実はずっと前から息吹くんが好きだったんだよ3

しおりを挟む
70・実はずっと前から息吹くんが好きだったんだよ3
 

 場の空気が白けモードに入っている。しかしそれを理由にして退散としづらいのは、かな子がこの場の主導権を握っているせいだった。予想外に世話の焼ける女なんだなぁと思った息吹、こんな提案をしてみた。

「人生がつまらないとか言うんだったら、どうせなら思い切った事をして目立ってみたらどうだ? それでブチブチって吹っ切れるかもしれないぞ」

「思い切った事をして目立つ? たとえばどんな?」

「そうだなぁ……たとえば情豚掘川(じょうとんぼりがわ)に飛び込みしてみるとかどうだ? それもただの飛び込みじゃなく、下着姿になってダイブするとか。そうすればまちがいなく伝説になれる」

 息吹のこの提案は7割くらいは冗談だった。眼前に座っている田村かな子が惹きつけられるとはあまり思っていなかった。しかし意外にもかな子はこの提案に興味をそそられた。

「あ、それいいかもしれない!」

「え、マジか?」

「息吹くんに相手されず、それを悲しいと思ってダラダラ生きるのは悔しいもん。それならぶっ飛んだ事をして頭をつぶしちゃった方がいいかなって」

 かな子はどうやら本気らしい。ここから徒歩で20分くらい歩いた所にある、養豚橋から真下にある情豚掘川へ飛び込む事を前向きに考えている。そして考えれば考えるほど前向きになるらしく、5分後には立ち上がっていた。

「行くよ、息吹くん」

「行くって、ほんとうにやるのか?」

「もちろん。そして息吹くんはわたしの雄姿を見届ける義務がある。なぜならこれは元を辿れば息吹くんが悪い。女のわたしにここまでの事をさせるのだから、ちゃんと見届けて。それくらいの事はできるでしょう?」

 かわいくテレて言っているように見えるが、もしかすると怖い目かも……なんていうのを浮かべてかな子は歩き出す。中々に強引でワンマンであるその後姿を見る時、息吹は思わずにいられない。

(高校の時にこの性格が表に出ていたら、けっこうぶっ飛んだ人生を送っていたのかな、田村って)

 こうして2人はあまり心が通っていない恋人みたいにして歩きながら、あっという間に養豚橋にたどり着く。

「人が多いね」

 かな子はやわらかい前髪を風に愛撫されながら、目立つには絶好だとご満悦。いい子で生きてきた女としてはびっくりするほど、神経の柱は太いって事かもしれない。

「ねぇ、息吹くん。息吹くんも飛び込んでくれない?」

「別にいいけど……ただおれの場合、飛び込んだ後で警察に捕まると面倒くさいからな。飛び込んだらそのまま姿を消すぞ?」

「わかった、それでいいよ。わたしを抱いてくれない息吹くんなんてどうでもいいしね」

 こうして少し無言の間が生じた後、かな子はよーし! っと大きな声を出した。それにつられて道行く人間がかな子に目を向ける。

「おっぱいが大きい巨乳になっても、求めてくれる相手がいなきゃただの無価値ディスプレイ。高校時代から密かに思っていた人に出会っても抱いてもらえないみじめな女の裸、しっかり拝むといいよ」

 言ったかな子、ゆっくりと……まるで心得ています! と言わんばかり感じに服を脱ぎだした。一番上のモノを脱いだ時点では誰も騒がない。しかしその次を脱いでフルカップ姿になると状況は一変する。

 ボワン! っと揺れ動くかな子の豊満フルカップ。それはIカップ、もっと詳しく言えばI90とかいうサイズのふくらみで、ふっくらやわらかそうな谷間と相成りなんともすさまじい見応えをみんなに無料提供。

「さぁ、どんどん行くよ」

 こうしてかな子はほんとうにとんでもない姿になってしまったのである。こうなると周りは大騒ぎであり、早く飛び込まないと警察に捕獲される。

「じゃぁな田村、お幸せに」

「うん、バイバイ……わたしの初恋人」

 約束通りに息吹が養豚橋から川に向かって飛び込む。そうして全裸となったかな子は、大歓声の周囲にピースをやりながら橋の上に立つ。

「田村かな子、行きまーす!!!」

 大きな声で叫んだかな子が青空へ向かってジャンプ! その姿は多くの人間に「女神の大ジャンプ」という名前で記憶され、後々まで伝説として語り継がれる事になる。しかし今ここでのかな子はしばらく川を泳いだ後で警察に連行され、ネットのニュースで痛々しく取り上げられたっぷり恥をかくことになるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

48歳主婦の宅建試験挑戦―そして年下彼がくれた勇気と恋

MisakiNonagase
恋愛
「お母さん」でも「奥さん」でもない、私の名前を呼び止めたのは、26つも年下の彼だった。 「48歳、主婦。私が手に入れたのは、資格(ライセンス)と、甘く切ない自由だった。」 スーパーのパートに明け暮れる平凡な主婦・中西京香、48歳。 目的もなく始めた宅建試験への挑戦が、枯れかけていた彼女の人生を激変させる。 インスタの勉強垢で出会ったのは、娘よりも年下の22歳大学生・幸正。 「不倫なんて、別の世界の出来事だと思っていた――」 そんな保守的で、誰より否定的な考えを持っていたはずの京香が、孤独な受験勉強の中で彼と心を通わせ、気づけば過去問演習よりも重い「境界線」を越えていく。 資格取得、秘めた大人の恋。そして再スタート、 50歳を迎えた彼女が見つけた、自分だけの「地平線」とは。 不動産、法学、そして予期せぬ情熱が交錯する、48歳からの再生と自立の物語。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

10秒で読めるちょっと怖い話。

絢郷水沙
ホラー
 ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)

処理中です...