息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

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93・いけない先生と悪夢5

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93・いけない先生と悪夢5


 ただいま晴天小学校では1時間目が終わって、ほんのちょっとの休憩時間という中にあった。そして職員室の中において、、この時間を待っていた! とばかり動くのが関口澱夢。

「青井先生」

 彼はとなりクラス、つまり太一のクラスを受け持つ担任に声をかける。まずは、大変ですねと思いやりの言葉からかける。ちなみに太一のクラスは今現在使用不可であるため、このクラスだけは音楽室を代用して使っている。

「あぁ、関口先生。どうもありがとうございます」

 青井は疲れたって表情を隠さないというより隠せない。なんせ教え子の一人が自殺してしまったのだから、ほんとうなら今日は授業などするべきではないと思っている。

「生徒もつらいでしょうね。もしかしてこの事を知ってショックを受けて来ていないって生徒もいるんじゃないですか?」

 澱夢は何気に一番聞きたいことをサラっと質問。

「あぁっと……まぁ、一人休んでいますけど……この事件が原因かどうかはわかりません。まぁ、事件にショックを受けたとかいう可能性はあるかと思いますが」

 バカ正直に一人休んでいると情報を伝えたので、それを受け取った澱夢は嬉しくなる。

「その来ていない生徒は誰です?」

「え、どうしてですか?

「あ、いや、昨日の大雨でちょっと被害の出たところがあるって、もしかすると誤報かもしれないけれど、一応そういうのを見たから心配で」

「え、そうでしったけ? 来ていないのは中野太一って言うんですけどね」

 青井はバカ正直&ご丁寧に太一の名前を教える。すると澱夢は心の中でガッツポーズを取ってうなづく。そうだよな、男子生徒だよなと、あの大雨の中を走って逃げていった後姿を思い出す。

「で、その中野太一の住所は?」

「〇〇です。別に大雨の被害は受けていないと思いますけどね。ただ、今日はなぜ休んだか連絡がないのです。昼頃になったら家に電話して確認しようと想っていますけどね」

「ほぉ、連絡なしで休みですか? それはそれは……心配ですねぇ」

 これで話は決まった! と澱夢は納得する。つまりあのとき、大雨の中を走って行って中野太一はまちがいなく教室の中にいて殺人現場を見ていた。だからして大急ぎで殺すべき存在であると。

(よし、夜中になったら殺しに行こうか)

 殺人教師はそういう予定をダークな内側でこしらえた。そして昼間は何食わぬ顔で一人の先生って姿を演じ続ける。

 そうして同日の夕方、太一はまず母にこっぴどく怒られ、夜になって家に帰ってきた父からも同じく怒られる。なぜなら学校に行っていない事が担任からの電話でバレてしまったからだ。

 しかし、不幸中の幸いという感じでこの日ばかりはウソがスムーズに心地よく成り立った。同じクラスの女子が教室で自殺したなんてショックな出来事があったら、キブンが悪くて学校にいけなかった……と言えば、親もそれには同意せざるを得ない。たとえ学校をサボった事実があるとしても、息子をガシガシ責めるのはやり過ぎだと思いになり、説教は早期に終わりを告げる。

「し、しかし……ぼくはどうしたらいいんだろう」

 部屋に戻った太一から大きな不安や悩みをまったく消えていない。関口という教師が殺人を犯したという事実を警察に報告するべきではないのか? とか、明日は学校に行かなきゃいけないのか……などなど、一度考え始めたら爆死してしまいそうなほど精神が不安定になる。

「あぁぁぁぁぁ!!」

 ベッドにドサっと倒れギュッと抱きしめる枕に顔を当て、怖い、怖い、怖い、怖いとくり返す。

「やっぱり……警察に行かなきゃいけないんだろうなぁ。で、でも……どうやって話を切り出したらいいんだろう。どういう風に言えばいいんだろう」

 夕飯にお風呂に済ませている太一、今夜はしっかり考えなければと思ってみる。でも精神的なダメージと、学校へ行かずひたすら歩きまくっていた事で生々しい疲れが沸いてくる。

(ぅ……)

 部屋の電気はついたままだが、太一はそのまま寝入ってしまった。ズーン! と深い眠りに落ち込み、午後10時、午後11時、そして午前12時、午前1時、午前2時へと時間が流れていく。

「中野太一、今夜がおまえの最後だ、殺してやるよ、殺してやるからなぁ」

 真っ暗な夜道を一人歩くは関口澱夢。彼はいよいよ行動に出ようとしていた。本日の昼間、もしかすると警察から疑われるのではないかと思っていたが何もなかった。つまりそれは中野太一が目撃したことを警察に伝えていないという事である。

「伝えられてたまるかよぉ、せっかく教師って仕事をがんばっているのによぉ、それはこんな些細なことでつぶされてたまるかよぉ」

 そうして男はひっそり静まり返り、誰の姿もない真夜中の〇〇町にたどりつき、中野家を正面に見て立ち止まる。

「ここかぁ、中野太一。言っておくがこれはすべておまえが悪いんだ。おまえがあのときあそこにいたという事実が罪なんだ。だからおまえは今宵、このおれに殺されてしかるべきなんだ」

 澱夢、教師とは思えぬワガママなセリフを言い放ったら、グッと両腕をにぎった。そしてそのまま左の脇を閉めると、月夜を見上げにぎった右手をまっすぐ突き上げ叫んだ!

「ヘッビーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 するとどうだ、吠えた澱夢の体に白い電流が走りバチバチっと音が鳴る。そうして彼は醜い顔があまりに印象的な蛇男に変身した。そう、澱夢はあのとき出現した大きく邪悪な白蛇と互いの存在を統合させていたのだ。

「さぁ、待たせたな中野太一」

 中野家に向かって一歩進む澱夢。その顔面はヘビになった人間そのものであり、赤い目がギロギロっとしている。
「む!」

 ここで思わぬ事が発生。突然に澱夢が前に進めなくなった。

「な、なんだ……どういうことだ」

 どうしても前に進めない澱夢、一度可能な限り後退し、月夜に照らされる中野家を見てみる。そうすると驚きの絶叫を発せずにいられない。

「なにぃ!?」

 いったいどういうことだ! と考えても仕方のない事実として中野家に結界が張られている。

「信じられん……いったいどういうことだ……」

 蛇男、しばらくの間は何としても中野家に入りたいと粘った。しかしどうしても向こう側に行けない。

「なんだ、中野家は神事に生きる家系なのか?」

 理解できないとする蛇男には知る由もないが、これは閻美が太一に与えたお守りのおかげである。何があろうと離してはいけないという言葉を守り、ひたすら身に着けている事でこのような展開が発生しているのだ。

「おのれ……中野家を目の前にして入れないとは!」

 蛇男がいた仕方ないとばかり関口澱夢の姿に戻った。しかし張られている結界は男の目にはちゃんと見える。ここにやってきた時は浮足立って見えていなかっただけだ。そして関口澱夢って本来の姿でも中には入れない。

「仕方ない、こうなったら明日というか今日だ。学校の中で殺すしかない。もしそれができなかったら、中野太一が学校から家に帰るまで、その間の道中で葬るしかない」

 こうして男はひとまず退散とし夜って空間に消えていった。部屋の中で深い眠りに入り込んだままの太一、とりあえず今は命拾いをした。
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