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95・いけない先生と悪夢7
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95・いけない先生と悪夢7
本日、中野太一はいよいよ親に打ち明けようと思いながら……また言えずに家を出て学校を目指さねばならなくなった。しかし、学校が終わって帰宅したら母に相談しようかなって意識は胸に持つ。
(ふぅ……)
不安だ、そして怖い……と思いながらも、昨日を思い起こすと気が楽になる。関口澱夢がドアから教室内を見つめ、そこで目が遭ったと時は殺される! と本気で思った。しかしそこでは何も起こらず、その後も同じで何も発生しなかった。あの殺人教師から声をかけられる事もなかったから、もしかすると自分は心配なんかしなくてもいいのかな? なんて考えもジワーっと浮かび始めてしまう。
(おぉ……)
学校に到着して少し経った時、太一の顔が久しぶりに明るくなった。なぜなら今日は関口が休みだと知ったからだ。
(はぁ……なんてキモチがいい)
昼休み時間、太一は廊下の窓から外を眺めおだやかな表情に酔いしれる。あの殺人現場を見てから今日までの数日、まるで太く長い魔のトンネルに入ったようだった。永遠に出口のない、一度入ったら二度と出られない、そんなおそろしさに巻かれているようだった。ゆえに、いま目にする晴天のうつくしいこと。そして関口がいないというだけで味わえる安堵感のすばらしいこと。それらはもう地獄から天国に引越しした直後みたいな心地よさ。
人間として生き返ることができた! そう思う時間を過ごせた。友人と笑顔で会話し、友人と走り回り、悩みとか不安がないきれいな心でずーっと安定。ふつうがとってもありがたく愛しいと思えてならなかった。
「あぁ……明日もこうだったらいいのに……っていうか……あんなやつ病気とか事故で死んでしまえばいいのに」
帰り道はハッキリ言うまでもなくホクホクだった。それゆえ事件の事を母に相談しようって考えは忘れてしまっていた。
「うん?」
家の近くまで来たら見知らぬ車が止まっていると目にした。
「お母さんの何か……かな?」
特に何かを感じたり思ったりする事なく、太一は家のドアを開けた。見慣れない靴があるなぁと目にしながら明るい声で言う。
「ただいま!」
すると母が今から出てきた。明るい顔の息子とはちょい対象的に曇っている。いつもなら怒られるのかな? と不安になる太一だが、今はすこぶるキブンがいいので笑顔のまま母に言う。
「どうしたの?」
すると母は最近あなたの様子がおかしいから心配だと先生が来てくれているよと言った。
「へ? 先生?」
担任は何も言っていなかったぞ、不意打ち? とか思い、太一は居間へ通じるドアを開けた。
「おかえり」
そう言ったのは誰か? それは居間のテーブルに向かって座っている関口澱夢その人だった。
「ひぃぃ!!!!」
まさに一瞬にして成される劇的な転落。ビク! っとなり青ざめたあげく、強烈に恐れて声を震わせる太一、全身をガクガクさせ始める。
「な、な、な……」
なんという悪夢! 目の前に、こんな至近距離に、何より我が家の中に殺人教師がいる。母がいるからかろうじて保たれているわざとらしい絵が成り立っているが、もし教師と生徒の2人だけだったらどうなっているのか。
「ぁ……」
太一、心底震えて後ずさり。だがここで片腕を母親につかまれる。
「太一、あんた最近学校での様子がおかしいんだって? 関口先生は隣クラスの担任なのに心配して来てくださったんだよ。しかも太一、あんた何か変なアイテムで遊んでいるそうじゃない、なに、それをここで出しなさい」
「へ、変なアイテムなんて持ってないよ……」
そう言った太一だったが、ここで母は息子に手首にあるブレスレットを発見する。
「ブレスレット? 男の子がなに……っていうか、これ何か変な事をするためのモノじゃないでしょうね? 外しなさい」
「だ、ダメなんだよ、これはダメなんだよ!」
「いいから外して!」
なんということ……ガクガク震え体がこわばっているせいか、太一は母親にお守りを奪われてしまった!
「ぁ……」
お守りを取られた! と思ったとき……太一はそれを与えてくれた女の言っていた事を思い出す。何があっても離さないように、ずっと身に着けているようにというアドバイスを。
「なによ、これに何か変な仕掛けでもあるわけ?」
母はそうつぶやき怪訝そうな顔をするが、そんな事はまったくどうでもいい。あまりに深刻な問題というのは、関口の表情がとてもうれしそうになったこと。なぜなら彼はわかったのである。太一からお守りが離れた瞬間、太一にあった見えざるガードが消失したと。
「座りなさい。3人で話をしましょう」
母がそう言ったとき、太一は超ファインプレーをやった。激に慌てたり取り乱したりするとかえって危険なわけだが、おどろくほど冷静に観念したというようにうなづいて見せたのである。
「じゃぁ、カバンだけは部屋に置いてくるから。すぐ来るから待っていて」
あまりに素直な態度だから母どころか関口澱夢すら安心させた。そして少年は居間のドアを閉めると、足音を立てずに玄関に行き自分の靴を手に取る。そうして特に問題のないって足取りで階段を上がっていき、自分の部屋へと入った。そして行動に出る。
「お、お守りがなくなったら守ってもらえない。逃げるしかない、誰が、誰があんなやつと話なんかするものか」
靴を履くと小さい方の窓を開けた。机にのっかりそこからベランダへと出たら、ベランダから屋根に出てそこから下りるという行動に出た。いつもなら時間のかかる事だ。うっかり足を滑らせると危ない。だが今はちがう。想像を絶する恐怖が真後ろに迫っているのだ。よって本人もおどろくほどテンポ良くスムーズに事を進められた。
「つかまってたまるもんか。こうなったら警察に行って何もかも打ち明けてやる」
中野太一の命がけ逃亡劇がいま始まった。
本日、中野太一はいよいよ親に打ち明けようと思いながら……また言えずに家を出て学校を目指さねばならなくなった。しかし、学校が終わって帰宅したら母に相談しようかなって意識は胸に持つ。
(ふぅ……)
不安だ、そして怖い……と思いながらも、昨日を思い起こすと気が楽になる。関口澱夢がドアから教室内を見つめ、そこで目が遭ったと時は殺される! と本気で思った。しかしそこでは何も起こらず、その後も同じで何も発生しなかった。あの殺人教師から声をかけられる事もなかったから、もしかすると自分は心配なんかしなくてもいいのかな? なんて考えもジワーっと浮かび始めてしまう。
(おぉ……)
学校に到着して少し経った時、太一の顔が久しぶりに明るくなった。なぜなら今日は関口が休みだと知ったからだ。
(はぁ……なんてキモチがいい)
昼休み時間、太一は廊下の窓から外を眺めおだやかな表情に酔いしれる。あの殺人現場を見てから今日までの数日、まるで太く長い魔のトンネルに入ったようだった。永遠に出口のない、一度入ったら二度と出られない、そんなおそろしさに巻かれているようだった。ゆえに、いま目にする晴天のうつくしいこと。そして関口がいないというだけで味わえる安堵感のすばらしいこと。それらはもう地獄から天国に引越しした直後みたいな心地よさ。
人間として生き返ることができた! そう思う時間を過ごせた。友人と笑顔で会話し、友人と走り回り、悩みとか不安がないきれいな心でずーっと安定。ふつうがとってもありがたく愛しいと思えてならなかった。
「あぁ……明日もこうだったらいいのに……っていうか……あんなやつ病気とか事故で死んでしまえばいいのに」
帰り道はハッキリ言うまでもなくホクホクだった。それゆえ事件の事を母に相談しようって考えは忘れてしまっていた。
「うん?」
家の近くまで来たら見知らぬ車が止まっていると目にした。
「お母さんの何か……かな?」
特に何かを感じたり思ったりする事なく、太一は家のドアを開けた。見慣れない靴があるなぁと目にしながら明るい声で言う。
「ただいま!」
すると母が今から出てきた。明るい顔の息子とはちょい対象的に曇っている。いつもなら怒られるのかな? と不安になる太一だが、今はすこぶるキブンがいいので笑顔のまま母に言う。
「どうしたの?」
すると母は最近あなたの様子がおかしいから心配だと先生が来てくれているよと言った。
「へ? 先生?」
担任は何も言っていなかったぞ、不意打ち? とか思い、太一は居間へ通じるドアを開けた。
「おかえり」
そう言ったのは誰か? それは居間のテーブルに向かって座っている関口澱夢その人だった。
「ひぃぃ!!!!」
まさに一瞬にして成される劇的な転落。ビク! っとなり青ざめたあげく、強烈に恐れて声を震わせる太一、全身をガクガクさせ始める。
「な、な、な……」
なんという悪夢! 目の前に、こんな至近距離に、何より我が家の中に殺人教師がいる。母がいるからかろうじて保たれているわざとらしい絵が成り立っているが、もし教師と生徒の2人だけだったらどうなっているのか。
「ぁ……」
太一、心底震えて後ずさり。だがここで片腕を母親につかまれる。
「太一、あんた最近学校での様子がおかしいんだって? 関口先生は隣クラスの担任なのに心配して来てくださったんだよ。しかも太一、あんた何か変なアイテムで遊んでいるそうじゃない、なに、それをここで出しなさい」
「へ、変なアイテムなんて持ってないよ……」
そう言った太一だったが、ここで母は息子に手首にあるブレスレットを発見する。
「ブレスレット? 男の子がなに……っていうか、これ何か変な事をするためのモノじゃないでしょうね? 外しなさい」
「だ、ダメなんだよ、これはダメなんだよ!」
「いいから外して!」
なんということ……ガクガク震え体がこわばっているせいか、太一は母親にお守りを奪われてしまった!
「ぁ……」
お守りを取られた! と思ったとき……太一はそれを与えてくれた女の言っていた事を思い出す。何があっても離さないように、ずっと身に着けているようにというアドバイスを。
「なによ、これに何か変な仕掛けでもあるわけ?」
母はそうつぶやき怪訝そうな顔をするが、そんな事はまったくどうでもいい。あまりに深刻な問題というのは、関口の表情がとてもうれしそうになったこと。なぜなら彼はわかったのである。太一からお守りが離れた瞬間、太一にあった見えざるガードが消失したと。
「座りなさい。3人で話をしましょう」
母がそう言ったとき、太一は超ファインプレーをやった。激に慌てたり取り乱したりするとかえって危険なわけだが、おどろくほど冷静に観念したというようにうなづいて見せたのである。
「じゃぁ、カバンだけは部屋に置いてくるから。すぐ来るから待っていて」
あまりに素直な態度だから母どころか関口澱夢すら安心させた。そして少年は居間のドアを閉めると、足音を立てずに玄関に行き自分の靴を手に取る。そうして特に問題のないって足取りで階段を上がっていき、自分の部屋へと入った。そして行動に出る。
「お、お守りがなくなったら守ってもらえない。逃げるしかない、誰が、誰があんなやつと話なんかするものか」
靴を履くと小さい方の窓を開けた。机にのっかりそこからベランダへと出たら、ベランダから屋根に出てそこから下りるという行動に出た。いつもなら時間のかかる事だ。うっかり足を滑らせると危ない。だが今はちがう。想像を絶する恐怖が真後ろに迫っているのだ。よって本人もおどろくほどテンポ良くスムーズに事を進められた。
「つかまってたまるもんか。こうなったら警察に行って何もかも打ち明けてやる」
中野太一の命がけ逃亡劇がいま始まった。
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