息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

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118・サキュバスと12歳の少年に戻されてしまった息吹16

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118・サキュバスと12歳の少年に戻されてしまった息吹16


「このナックルは宇宙で一番固い。これを顔面に食らったら、閻美のきれいな顔もグシャグシャになるから気をつけてね♪」

 怖い事をニンマリ顔で言うサキュバス。

「そうか、その忠告、ありがたく受け取っておこう」

 八相の構えをキープする閻美、ファイティングポーズでジリジリっと迫ってくる相手をジッと見る。

「ふん!」

 それは目にも止まらない右ストレートへの動きだった。腕を動かしたサキュバス望は決まった! という気がした。それはほんとうに一秒をみじん切りにしたような時間の中で思った事。

 ガン! と、どえらいぶつかり音が発生。ナックルの右ストレートが立てている刀のボディーに直撃したのに砕けないでいる。

「なんで砕けない……」

 ググっと右腕に力を入れて押し込もうとするが、刀の方にダメージを与えているという気がしない。

「サキュバス、おまえ、能ある鷹は爪を隠すって言葉を知っているか?」

「なんだ急に……」

「そのナックルが宇宙で一番固いとか事前に教えるべきじゃない。そういう情報は放ってから教えるべき。おかげでこっちは対策が取れたというわけだ」

「対策ぅ?」

「そうだ、いまこの刀にはわたしの宇宙で一番魅力的な女というエナジーと、宇宙の高みとも言えるプライドを送り込んでいる。それがこの強度の秘密」

「息吹のエナジー門前と同じような事を……ふざけるな!」

 冗談が過ぎるだろうと腹を立てたサキュバス、もう一度右ストレートだと腕を動かそうとした。だがそれより先に閻美の放った右ストレートが顔面にドストライクって直撃。

「ブッ!」

 ズサーっと尻を付き滑ったサキュバス、すぐさま立ち上がったが、鼻血が出ている事に気づきショックを受ける。

「わ、わたしのかわいい顔に鼻血……おのれ閻美……よくも愛すべき女の顔にキズを付けてくれたなぁ!」

「女同士の戦いに鼻血もクソもあるか。うだうだ言ってないで、さっさとかかって来い!」

「殺してやる、子ども巨乳の方はどこかかわいいって感じがあるから許せるとしても、閻美ってババアは許し難い。粉々にしてやる」

 グッと空手の殺意モードってスイッチを自ら押したサキュバス、身構えながら考える。

(相手は刀、接近するほど攻撃は当てにくく対するこちらは攻撃を当てやすい、一発、まずは一発入れば閻美の動きが鈍るからして、そのまま怒涛の攻撃でたたみかければグチャグチャにしてやれる)

 考え終えるとすぐさまサキュバスは攻撃に入った。シュワっとすばやく接近し一発当たれば骨が砕けるという攻撃を繰り出す。

 しかし……当たらない、閻美の流れるようにうつくしい回避が目立つ。そのうつくしさを映えさせるための養分になったような気がするサキュバス、手に足にと攻撃ラッシュを放ちながらイラつく。

(く、なんで当たらない……着物姿の爆乳が、どうしてこんな華麗に避け続けられる)

 感情が乱れそうになった。だから渾身の一撃って右を放たんと、グッと手をにぎって腕を動かしたその時……閻美がスーッと流れるように下がった。右ストレートが届かない……と思せられた。だが次の瞬間……、突如閻美はバックから前進に切り替えていた。

(やば……)

 目の前に刀を斜め上から振り下ろさんとしている閻美の姿あり。食らったら大出血は免れない。

「う、く!」

 抜群の反射神経……そこに運の良さが手伝いサキュバスは助かった。とっさに開いて出した手の甲、そこにあるナックルで刀を受けたせいだ。もしナックルがなかったら色白きれいな手は血肉の固まりとなっていただろう。

「おぉ、よく受けた」

 言いながらスーッと引いて距離を取る閻美。

「く……ムカつく……踊るように間合いをコントロールするとか」

 サキュバスは歯ぎしりをしながら、同時にゼーゼー息を切らす。短期決戦という感じの連撃をやっていたせいで呼吸が乱れた。

「サキュバス、息が乱れているぞ」

「ふ、ふん、まだまだ……」

「心やさしいわたしとしては、無益な殺生は好まない。どうだろうかな、ここらでひとつ手打ちとして、息吹を元に戻すというのは。そうすればムダな死体をこしらえなくても済むが」

「手打ちぃ? 手打ちソバじゃないんだから、そんな提案受けるわけないつーんだよ、バーカ! 爆乳の腐れババア、死んでしまえ!」

「そうか」

 言った閻美が居合の構えを取る。それを見てサキュバスも極悪空手の構えで身構える。

(ものすごいスピードで突進してくる、よくある話。でもそれさえ防ぐなり避ければ、それが反撃のチャンスにつながれば……まちがいなく閻美の顔面に一発入れられる)

 両者がググっとにらみ合う。しかしサキュバスは相手が来るのを待った。自分から行くよりは受けて立つと決めてかかる。

「場風の舞!」

 閻美がすさまじいスピードで向かってきた。

(来た、思った通り)

 グッと身構えるサキュバスだったが、閻美の刀が下から上にという流れで、しかも腹の辺りに向かってくるのを見てニンマリ。

(これはもらった)

 上に着てジッパーを上げているピンクのパーカーはドエロスチールで固めてあるに加え、自分のエナジーをたっぷり送っている。だから斬れない、これは閻美の敗北につなげられる! そう思ったサキュバス、にんまりやりながら両腕を上げた。ほらほら斬れるなら斬ってみろとうれしそうにバンザイする。

「うあぁぁぁ!」

 ガキ! っと刀が相手のみぞおち辺りに当たって鈍い音を立てる。閻美はバカだ、これで勝負が決まった! とサキュバスが笑いかける。

「まだまだぁ!」

 閻美がグッと力を入れると、ビキビキって音が鳴り始めた。

「な、く、砕け……」

 笑いかけていたサキュバスが青ざめる。閻美の刀がパーカーを砕きにかかっているせいだ。

(や、やば……)

 焦ったサキュバス、にぎった右手のナックルを閻美の頭に当てようかとする。だがそれより先に閻美が刀を振り抜く。

「でやぁぁぁ海底撈月!(ハイテイラオユエ)

 グワっと閻美が刀を振り切ると、ドン! とぶっ太い衝撃が発生。

「うぐぅ……」

 青ざめたまま表情が固まったままサキュバスの体が宙を舞った。高く、高く、舞い上がる敗者の体。それは揺らめく水面に映る悲しい月の悲鳴に似ていた。サキュバスのうつろな目は色情空間がグルっと回転するように見る。そして、そのままドサっと床に激しく落下。それは大ダメージという激痛を全身にもたらす。

「ぅく……く」

 腹に手を当て転がり回るサキュバス、あまりの痛みにのたうち回りながら、しかし胴体が真っ二つになっていない事にぼやく。

「く……み、峰打ちで打撲力を上げるとか……」

 起き上がろうと思うが起き上がれず、肩を下にしたらゴホゴホやって目を回す。

「ツモだ!」

 閻美がそう言ってきれいな前髪をフッと左手でかき上げる。負けて転がる敗者とは対照的にうつくしい勝者の姿あり!
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