息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

jun( ̄▽ ̄)ノ

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169・キャラクターの反乱バトル13

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169・キャラクターの反乱バトル13


「ハァハァ……」

 午後8時45分ごろ、大慌ての書矢がネットカフェから外に出た。あぁ、星空がきれいだ……などと感動する余裕なし。いかんせん自分のつくったキャラ数人が怒りに燃えて追いかけてきているのだ。今はひたすらに逃げるしかない。

「くそ……」

 ダッシュ、夜の道をすごいスピードでダッシュ! 周囲に人がほとんどいないから走りやすいのだが、逆に言うと人が少なすぎて助けを求めるって事ができない。

「ちくしょう、こうなるってわかっていたら……繁華街のネットカフェに行ったんだがな……」

 夜の道を走りながら後ろを見ると、ネットカフェを出た4人のキャラが自分を追いかけている事に気づく。

「う、うわ……作者が、神が自分のつくったキャラに殺されるとか、そんなのありかよ」

 はげしい焦りが冷静な書矢より冷静な判断を失う。なぜ? どうして? となるが、トチ狂ってしまうと駅方面ではなく〇〇公園の方へ進んでしまう。それは公園とか言いながらもめっちゃくそデカくて広い森の中みたいなモノ。夜だから当然人もほとんどいないだろう。そういう場所に自らつき進んでいく。

「ハァハァ……ぁぅ……」

 息がキレる、フラフラだと思う書矢、月明りの下、一周3kくらいのサイクリングコースってところにいた。

「だ、ダメだ……息が……」

 止まってはいけない……と思っても体はいう事を聞かない。徐々に速度は低下し、ついには止まってしまう。そして離れた後方より「書矢ぁ!」って怒りの叫び声が聞こえる。

「ダメだ……殺される……」

 書矢がそう思い、おれの人生無意味だったなぁとあきらめかけた時、月明りの下、突然にどこからか見知らぬ若い男が現れた。それは20代の前半であろう男だが、ほんとうの突然魔法みたいに出現した。

「だいじょうぶか?」

「え、なに、誰?」

「おれは家満登息吹、SOS脳波をつよく感じたから来た」

「えっとその……」

 書矢、いったい何事? と思うが、ヘロヘロになって動けない。だから得たいが知れないって男に、自分を助けて欲しいって望みを託す。

「ん?」

 息吹、前方より走って来る数人を見て目を丸くした。4人もいる? ってこと以上に、全員服装がおかしいと突っ込みたくなるからだ。

「なんだ、コスプレ仲間とかか?」

 息吹にそう言われた書矢はブンブンと顔を横に振る。

「ちがう、おれがつくったキャラクターたち?」

 そう言われた息吹、なんだ……どういう事? 目をパチクリさせる。しかしとりあえずは、この男を助けねばならないのだろうと刀を取り出し4人前に立ちはだかる。

「なに、誰?」

 4人の先頭に立っているアデリーヌがキョトンとする。

「おれは家満登息吹、後ろにいる男のSOS脳波を感じ取って出てきた者だ。おまえらこそ一体何者だ」

 息吹が正眼の構えで問うと、女剣士にあこがれる爆乳コスプレーヤーって感じにしか見えない女が一歩前に出る。そして息吹と戦う気はないから、その男を渡して欲しいと口にする。

「わたしたち4人はその男が作っている小説に登場するキャラクター。わたしの名前はビアンカという。でな、家満登息吹……簡単に説明すると、わたしたちキャラはその男、つまり作者より辱めを受けたのだ。おぞましい番外編ドエロ小説で、望んでもいない役回りをさせられた。この煮えたぎるような怒り、もはや作者の首を斬り落とすことでしか解決しない。息吹、おまえだってわたしたち4人と戦う理由はあるまい?」

 息吹、ビアンカに言われて返事に困った。何これ……マジですか? と悩みそうになる。しかし作者とかいう男は渡せないと断言。

「殺されるとか物騒な話を見過ごすってわけにはいかない。それにだ、キャラクターっていうのなら作者あってこそだろう? 作者が死んでキャラが生き残るっていうのはおかしくないか?」

 まずは冷静にまともな事を爆乳女剣士に伝えてみた。

「まぁな、それも一理ある。だがその作者、書矢はわたしたちに散々ウソを吐いた悪人だ。わたしらをただの道具としか思っていない。それなら、わたしたちはひとつの可能性に賭けてみようと思った」

「可能性?」

「書矢を殺したとしても、もしかすれば……誰かが書矢の小説を引き継いでくれるかもしれない。そのあたらしい作者がキャラを大事にしてくれる者なら、わたしたちはシアワセになれる……と考えた」

「いや、だけど……」

 息吹は振り向いてオドオドしている男を見てから言った。こいつは有名な小説家なのか? と。

「いや、無名の作家だが」

「だったら、こいつの小説を引き継ぐなんて他人はいねぇよ。他人の作品を引き継ぐっていうのは、成功している作品であるとか、あるいはものすごい尊敬の念を持っているとか、そのどちらかだろう。無名の作家ではそんな事が起こるとは思えないな」

「では息吹、わたしたちはどうすればいいというのだ? やりたい放題されて悲しみに打ちのめされても、異議を唱える権利すらないというのか」

「キャラクターなんだろう? おそらく人権は……ない。あるとすれば作者とかファンがキャラクターにも人権を! と主張する場合だけだろう」

「そうか、今のを聞いたら胸が張り裂けそうに悲しくなった。だからどうしても書矢を殺したい。それを邪魔するなら、わたしたち4人と息吹の戦いは避けられないな」

 場の空気がピリっと引き締まった。息吹の後ろに立つ書矢はもう気が気ではない。今宵が自分の命日になるのか? と涙すら出そうになる。

 するとそのとき、シューっと落として空気が踊るように巻かれて……サッと新たな者出現。

「ビューティーかすみ参上!」

 えっへん! と登場したかすみ、息吹が誰かを守るために誰かと戦っているのだろうと感じ取りやってきた。しかしやけに人数が多いって事や、相手数人の格好がみんなおかしくない? と戸惑う。

「ね、ねぇ、息吹くん。向かいにいる4人ってどういう者たちなの?」

「キャラだってさ」

「はい?」

「おれの後ろにいる男は作家で、その作家のつくったキャラが不平不満を持って作者を殺しにかかっている……って事らしい」

「え、え、え、え?????」

 息吹くんが真顔でよくわからない冗談みたいな事を言った? とかすみはますます戸惑う。が、愛しの息吹が変な事を言うわけもないと、よくわからないけれどすんなり飲み込んでおこうとうなづく。

「作家さんですか?」

 かすみが振り返る。すると月明りに照らされた美少女という顔、前を空けているパーカーの下にあるTシャツの豊満なふくらみ具合などを見て、やばい状況だというのに書矢が呆ける。かわいくて巨乳なだぁ、むふふ……なんて、まったく男ってやつは的な感情におぼれる。

「だいじょうぶ、わたしと息吹くんの2人があなたを守ります」

 かすみ、息吹と2人で共闘なんてラブラブバトルだぁ、と張り切る。ところがそこにギュワーっと渦巻いた風が吹き込み、白い着物って女が登場する。

「息吹、ちょっと久しぶりだな。息吹が戸惑っているように感じたからやってきた。わたしも参加しよう」

 閻美はそう言うと、おまえがいるのかよ……って一瞬顔に出しかけたが引っ込め、かすみの横に立ってつぶやく。

「どういう状況なのかわかりやすく、教えてくれないかな子ども巨乳」

「子ども巨乳って言ったから教えてやらないです、ベーだ!」

「く、年上に歯向かうな」

 閻美、顔を赤くしてかすみの両頬をぐぃーっと引っ張ってやる。しかしそういう光景を見てビアンカがじれて言う。

「なにやら御大層な感じになってきた。それなら全員で乱打戦でもやるか?」

 ビアンカの声とフンイキにかすみは思わずつぶやく。

「なんか、閻美さんに感じが似ていません? あの人」

 すると閻美、ふん! っと鼻息を落とし、かすみの頬から手を離してちょい好戦的っぽい口調で言った。

「わたしの方が美人でいい女だろう、あんなコスプレ女といっしょにするのは間違っているぞ子ども巨乳」
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