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プロローグ

あれから何日目だ?

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「退屈だ」



 俺は煙草に火をつけながら曇天模様の空を見上げる。もし俺以外に人が居たら未成年が煙草を吸うなって言われるだろうな。だが、俺は今年で30歳だ。それなのに未成年に見えるのはこれは俺の体であって本当の体ではないからだ。
 ※煙草は20歳からです!

 日中なのに薄暗い街並みは不気味だ。
 そんな田舎のとある3階建の屋上で俺は呟いた。


「あれから何日目だ…………?」


 憂鬱な俺は日課にもなった行為をする。
 手に持っていたL96A1を400メートルほど先にある2階建の家に向けるとライフルスコープを覗く。

「いた」

 そこには1体の人が居た。だが、人であって人ではない理性を失い本能のままに同種である人間を襲い、喰らう屍。
 いわゆるゾンビだ。

「眠れ」

 俺はゾンビの頭に照準を合わせると絞るようにトリガーを引いた。
 すると、サイレンサーにより発射音が抑えられながら7.62ミリNATO弾が吸い込まれるようにゾンビの頭を撃ち抜いた。

「よし、ヘッドショットによるボーナスポイントゲットっと」

 まるでゲームのようなことを俺は呟いた。

 だが、これはバーチャルワールドではなくリアルワールドでの出来事なのだ。

 え、なんでボーナスポイントなんて言ってるかってそれは俺にも分からないからだ!
 ま、自信満々に言うことではないのだが、俺にもよく分からないんだよな。


 数日前のことだ。

 俺は没頭していたゲームの最中に見かけないミッションがあった。
 前日のアップデートで増えたミッションかと思った俺はその謎のミッションを始めた瞬間に気を失って気が付いたらこの世界に居たのだ。 
 よく、小説なんかでみる異世界転移かと思ったけど俺の場合は少し違った。いや、あってるのかもしれないが、

 俺がいるのは日本。

 それも、バイオハザードで朽ち果てた200年後の世界に来てるのだ。
 そしてなぜか体はゲームするときに最初に作ったキャラクターだったからだ。
 
 身長175から180ぐらいで体重64キロ、見た目は黒髪のポニーテール。つり目で瞳も黒。すこし中性的な顔のためボーイッシュな女と間違われることがゲーム内であった。
 いや、男にナンパされるとか気持ち悪すぎるから。俺、そっちの趣味ないし。

 そして、なぜかゲームのステータスがこのリアルワールドでも適用されてるし、これまでに手に入れた武器、アイテムも使える。
  それにゲーム内でのミッションや大会などでゲットした称号のスキルも使えるため弾薬、金は無限に使える。ま、特殊弾薬や特殊爆弾は無限ではないけど、どういうわけかアイコンを開いて購入欄から欲しいものがあれば買えるから結局はMAXまでアイテムボックスにあるんだけど。
 ほんと意味わからん。


そして一番意味が分からないのが何故かゲーム内ではレベルMAXだったはずがレベル1になっていたことだ。それもレベルMAX時のステータスはそのままで。

 ほんと意味わからん。


そんなこんなで現在はレベル15の俺だがこれまでの経験と(ま、ゲーム内だけど)チートなステータスのお陰で今も生きているのだ。

それにしても、
「人と話したいな」
 俺は最近の口癖を呟きながらアイテムボックスから缶飯と水を取り出して食べるのだった。


さて、武器、弾薬、金、食糧、テントなどが無限に手にはいるのになぜ、ゾンビ狩りをしてるかというと車両をゲットするためです。1度手に入れれば壊れるまで何度でも乗れるが、それまでが大変なんです!部分破損すれば金を使って修理可能ですが、手に入れるには金ではなくポイントで買わないといけないんです。一部の武器や車両、支援要請、物資搬送には金ではなくポイントが適用されてるから大変なんです。なぜかというと、昔、課金プレイヤーと無課金プレイヤーによる対決があり、その時、武器や物資、車両の質、量が圧倒的に違うせいでほぼ虐殺行為と化したせいで一部の武器や物資、車両は金ではなくポイントになりました。ま、簡単に言えば強力な武器や物資、車両が欲しければ己の力で掴み取れとなったのです。

 え、俺はもちろん課金プレイヤーでしたよ。ま、ポイント制が入ったとしてもハイプレイヤーでしたから苦労はしませんでしたけど(ドヤッ!)
 はい、すいません、ただの灰人です。
 
 ま、このリアルワールドに来たとき何故か車両やレールガン等の強力武器だけアイテムボックスから消えてたときは腹が立ちましたけど。

 それでも、ようやくポイントが貯まったので何を買おうかな。やはりここはスキルですかね、それよりも車両ですかね。
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