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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第八十幕 真ん中と鉄棒
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再編成して二階層へとやってきた千夜たちだが、魔物に襲われる事はなく十字路まで辿りついた。
「どっちに行きますか?」
「そうだな。昨日は左に行ったからな」
「なら右に行きますか?」
「お前、あの綺麗な通路に罠が無いと本気で思っているのか?」
「ですよね」
考え無し意見に嘆息したくなるが、冒険者の意見も一理ある。
(ここで悩んでいても時間を費やすだけだからな)
千夜は真ん中と右の通路を交互に視線を向ける。どちらからも危険な臭いが漂う通路。いかに被害を抑えられるかが千夜に問われていた。
(右の通路はどう考えてもトラップ系の通路。で、真ん中は薄暗くて解らないがもしかしたらあの水溜りが途中から深くなっていて、その中にあのピラニアもどきが生息している場合だ。さて、どっちに行くべきか)
数秒悩んだすえ、出した答えが。
「よし、真ん中の道に行くぞ」
そんな千夜の言葉に誰も返事をして来なかったが、気にすることなく千夜は真ん中の通路に向かって歩き出す。
ピチャピチャと歩くたびに音を発しながら千夜たちは水浸しの通路を進んで行く。
「センさんさっきからなにをしているんですか?」
「これか?」
「はい、そうです」
後ろを歩く一人の冒険者が地面に向かって石を投げ続ける千夜の行動を見て尋ねてきた。
「これは確かめているんだ」
「確かめてる?」
その言葉を復唱しながら疑問符を浮かべる。
「見ての通り照明の魔法だけでは視界が悪い。だからまともにこの水浸しの地面も深いのかそうでないのか目で判断するのは難しい。もしかしたらどこかで水位が深くなっているかもしてれない。だからこうやって時々石を投げて確かめているわけだ」
「な、なるほどさすがですね」
「勿論天井や壁の警戒も忘れては駄目だからな」
「はい!」
普通なら警戒を怠りそうな地面を警戒して進む千夜の行動に感嘆の眼差しを向ける若き冒険者。その姿に千夜は背中がむず痒くなる。
(どうみても俺より一、二歳年上だろ)
内心そんな事を思いながら石を投げる。
ポトンッ。
その音にこれまでとは確実に違う音に千夜は口を開く。
「全員止まれ」
千夜の直ぐ後ろを歩いていた冒険者や奴隷たちはその意味を理解したが、数メートル後ろを歩く冒険者、奴隷たちはどうしてこんな中途半端な場所で止まるのか理解できていなかった。
「センさんの言うとおりでしたね」
「そうだな」
冒険者の言葉を受け流しながら千夜は近くにあったソフトボールぐらいの石を見つけた。
「悪いがその紐を貸してくれ」
「は、はい」
奴隷から紐を受け取り、石に巻きつけて音が変わった水溜りに落としてみる。
石の重みでどんどん紐が水の中に持っていかれる。数秒して止まったのを確認した千夜は引き上げて濡れた紐の長さを確かめる。
「約五十センチといったところか」
「随分と深いですね。どうしますか?」
「誰か、長い棒かなにか持っていないか?」
振り向き冒険者たちに聞いてみる。
すると数メートル後ろのほうで一人の女性冒険者が大声で答えた。
「あるわよ」
「悪いが持ってきてくれ」
女の冒険者は人ごみを掻き分けるように前まで来た。
「ふう、ようやく前にこれた」
「棒は?」
「これよ」
渡されたのは長さはおよそ一メートル五十センチの鉄棒だった。
それを見て千夜は心で思ったことを聞いてみる。
「いったい何に使うんだ?」
「ま、武器として使うこともあるけど一番は罠の確認ようよ」
「なるほど。悪いが借りてもいいか?」
「別に良いわよ」
「助かる。それじゃ、全員はここで待機してろ。俺は少し先まで進んで安全確認してくる」
「別にセンさんが行く必要なんて」
「もしもこの中に魔物が生息していて直ぐに対処できるのは俺だけだ」
「解りました……」
心配してくれていることに嬉しく思う千夜ではあるが内心は違う。
(自分で確かめた方が確実だからな)
そういって千夜は水溜りに足を入れる。
(やはりな)
想像していた通りの結果に千夜は内心呟く。
「ここ階段になっている」
「え、それって」
「どうやらここは少し低く作られているようだ」
数段しかない階段を下り終わると水面は膝の高さまであり、少し歩き辛いと感じながらも自分が歩く前方を鉄棒で床を軽く叩きながら進む。まるで目が不自由な人が使う白杖のように使いながら千夜は進んで行く。
(今のところ問題はないな。だが大丈夫だな)
「全員ここまで進んでこい」
その言葉に最初は不安を感じていた冒険者だったが、一人の冒険者が水の中に入ると次々と水の中に入り千夜の許まで歩いてきた。
「よし進むぞ。全員周囲警戒。特に水の中の警戒は怠るなよ」
「「「「「おう!」」」」」
その言葉に全員が返事をするのを確認した千夜は再び歩き出す。
浸食した通路を歩くこと数分ようやく最初の扉を見つけた。
「どっちに行きますか?」
「そうだな。昨日は左に行ったからな」
「なら右に行きますか?」
「お前、あの綺麗な通路に罠が無いと本気で思っているのか?」
「ですよね」
考え無し意見に嘆息したくなるが、冒険者の意見も一理ある。
(ここで悩んでいても時間を費やすだけだからな)
千夜は真ん中と右の通路を交互に視線を向ける。どちらからも危険な臭いが漂う通路。いかに被害を抑えられるかが千夜に問われていた。
(右の通路はどう考えてもトラップ系の通路。で、真ん中は薄暗くて解らないがもしかしたらあの水溜りが途中から深くなっていて、その中にあのピラニアもどきが生息している場合だ。さて、どっちに行くべきか)
数秒悩んだすえ、出した答えが。
「よし、真ん中の道に行くぞ」
そんな千夜の言葉に誰も返事をして来なかったが、気にすることなく千夜は真ん中の通路に向かって歩き出す。
ピチャピチャと歩くたびに音を発しながら千夜たちは水浸しの通路を進んで行く。
「センさんさっきからなにをしているんですか?」
「これか?」
「はい、そうです」
後ろを歩く一人の冒険者が地面に向かって石を投げ続ける千夜の行動を見て尋ねてきた。
「これは確かめているんだ」
「確かめてる?」
その言葉を復唱しながら疑問符を浮かべる。
「見ての通り照明の魔法だけでは視界が悪い。だからまともにこの水浸しの地面も深いのかそうでないのか目で判断するのは難しい。もしかしたらどこかで水位が深くなっているかもしてれない。だからこうやって時々石を投げて確かめているわけだ」
「な、なるほどさすがですね」
「勿論天井や壁の警戒も忘れては駄目だからな」
「はい!」
普通なら警戒を怠りそうな地面を警戒して進む千夜の行動に感嘆の眼差しを向ける若き冒険者。その姿に千夜は背中がむず痒くなる。
(どうみても俺より一、二歳年上だろ)
内心そんな事を思いながら石を投げる。
ポトンッ。
その音にこれまでとは確実に違う音に千夜は口を開く。
「全員止まれ」
千夜の直ぐ後ろを歩いていた冒険者や奴隷たちはその意味を理解したが、数メートル後ろを歩く冒険者、奴隷たちはどうしてこんな中途半端な場所で止まるのか理解できていなかった。
「センさんの言うとおりでしたね」
「そうだな」
冒険者の言葉を受け流しながら千夜は近くにあったソフトボールぐらいの石を見つけた。
「悪いがその紐を貸してくれ」
「は、はい」
奴隷から紐を受け取り、石に巻きつけて音が変わった水溜りに落としてみる。
石の重みでどんどん紐が水の中に持っていかれる。数秒して止まったのを確認した千夜は引き上げて濡れた紐の長さを確かめる。
「約五十センチといったところか」
「随分と深いですね。どうしますか?」
「誰か、長い棒かなにか持っていないか?」
振り向き冒険者たちに聞いてみる。
すると数メートル後ろのほうで一人の女性冒険者が大声で答えた。
「あるわよ」
「悪いが持ってきてくれ」
女の冒険者は人ごみを掻き分けるように前まで来た。
「ふう、ようやく前にこれた」
「棒は?」
「これよ」
渡されたのは長さはおよそ一メートル五十センチの鉄棒だった。
それを見て千夜は心で思ったことを聞いてみる。
「いったい何に使うんだ?」
「ま、武器として使うこともあるけど一番は罠の確認ようよ」
「なるほど。悪いが借りてもいいか?」
「別に良いわよ」
「助かる。それじゃ、全員はここで待機してろ。俺は少し先まで進んで安全確認してくる」
「別にセンさんが行く必要なんて」
「もしもこの中に魔物が生息していて直ぐに対処できるのは俺だけだ」
「解りました……」
心配してくれていることに嬉しく思う千夜ではあるが内心は違う。
(自分で確かめた方が確実だからな)
そういって千夜は水溜りに足を入れる。
(やはりな)
想像していた通りの結果に千夜は内心呟く。
「ここ階段になっている」
「え、それって」
「どうやらここは少し低く作られているようだ」
数段しかない階段を下り終わると水面は膝の高さまであり、少し歩き辛いと感じながらも自分が歩く前方を鉄棒で床を軽く叩きながら進む。まるで目が不自由な人が使う白杖のように使いながら千夜は進んで行く。
(今のところ問題はないな。だが大丈夫だな)
「全員ここまで進んでこい」
その言葉に最初は不安を感じていた冒険者だったが、一人の冒険者が水の中に入ると次々と水の中に入り千夜の許まで歩いてきた。
「よし進むぞ。全員周囲警戒。特に水の中の警戒は怠るなよ」
「「「「「おう!」」」」」
その言葉に全員が返事をするのを確認した千夜は再び歩き出す。
浸食した通路を歩くこと数分ようやく最初の扉を見つけた。
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