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第七章 忙しいが、呆気なく都市ルーセントに向かう事になりました。
第八十一幕 可能性と宝石庫
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「ドアだ!」
冒険者たちはドアを見つけたことで喜んでいたが、千夜は渋い顔をしていた。
そのことに気がついた冒険者が尋ねてくる。
「どうかしましたか?」
「色々と可能性を考えていた」
「可能性ですか?」
「そうだ」
千夜の頭の中では様々な出来事が高速で起きていた。
一つは膝まである水嵩のせいでドアが開かない場合。
その前にドアが押し戸、引き戸のどちらかなのか。押し戸で開かない場合は部屋の中も水がある可能性。もしくはドアが錆び付いて開かない場合。
二つ目は、トラップが仕掛けてある場合。
トラップも様々だがドアが簡単に開き、その中から魔物が襲い掛かってくる可能性。電気なのど感電トラップの可能性。千夜が考える最悪のトラップは後者だ。膝まである水でこの場にいる全員が感電する可能性があるからだ。
(やはり斬るしかないか)
部屋の中に水がなく、普通の部屋だった場合、普通にあければ水が流れ込み部屋内の探索が困難になることも踏まえて答えにたどり着いた。
(ま、ドアが斬れること前提だが)
「全員その場で待機だ」
その言葉に疑問に感じた者が数名いたが、不満に感じる者は誰一人いなかった。
千夜はドアの前までくると鬼椿でドア目掛けて一閃して一刀両断にする。
手応えで斬れたと感じた千夜はドアを軽く押して上半分を倒す。
床と激突する激しい音が通路にも響き渡る。
(良かった。どうやら向こうには水が入っていないな)
音と照明で確認した千夜は内心安堵しながら全員を自分の下までこさせる。
「俺がまず入って部屋の確認をする。安全が確保できたら入って来い」
「「「「「はい」」」」」
了承の返事が返ってきたため千夜は下半分のドアを跨いで部屋の中を確かめる。
(トラップらしいトラップはなさそうだな)
原始的なトラップや魔法トラップなどがないか確かめた千夜は入ってくるように言う。
数分して全員が入り終わる。
「それじゃ、探索開始だ。耳に蛸だろうが警戒は怠るなよ」
「「「「「はい」」」」」
その言葉に全員が探索が始まった。
しかし、この部屋はこれまでと違って引き出しらしい引き出しが存在しない。いや、正確にはいくつかあるが片手で数えられる程度だ。
「ぅおっ!」
「どうした?」
一人の男が驚きの声をあげる。その声に全員の視線が集中する。
「引き出しを開けたらまたこいつが出てきたから驚いただけだ」
地面で跳ねるピラニアもどき。
「怪我はないか?」
「警戒してたからな。すぐに対処することが出来たから問題ない」
「そうか」
見た感じ怪我が無いことは分かっていた千夜だが、念のために問いかけた。
「それで、引き出しの中身は?」
「ああ、当たりだ!」
目を輝かせる男。その中には大量の宝石が並んでいた。
(どうやらここは宝石保管庫のような場所か)
内心そう推測した千夜は引き出しを次々と開けさせていった。
全ての引き出しから大量の宝石が発見された。運が良かったのが最初の引き出し以外にトラップがなかったことだ。
「よし、全員一つずつ手にとれ」
「良いのか?ここにベノワさんはいないんだぞ」
「安心しろ。探索する前に許可は貰っている。そうだろ?」
そう言って千夜は秘書に確認をとる。
「はい。ベノワ様から構わないと許可を頂いております」
「だそうだ。最初に見つけたお前から選べ。あとは順番だ。もちろん二つ持って帰ろうとするなよ」
釘を刺しておくことを忘れない千夜。
数分して全員が宝石を手にしたあとは奴隷たちが丁寧に宝石を回収していく。
宝石を見つけたことに喜びを覚える冒険者だが、千夜だけ違った。その事に気がついた秘書は話しかけた。
「どうかしたのですか?」
「いや、これまでの部屋と違って随分と財宝の量が少ないと思ってな」
「確かにそうですが。全て最初の部屋のようなわけではありませんから」
「そうだろうな」
(だが、それだけじゃない。あまりにも魔物の数が少なすぎる。他のダンジョンに比べても出現率が低い。この海底遺跡の製作者の心境から考えればもっと多くてもおかしくはない。それともあの程度で対処出来たか。もしくは他にこれまでとは比べ物にならない門番がいる可能性もある)
内心そんな事を考えていると、いつの間にか回収が終わったのか全員の視線が集まっていたことに気がつかなかった。
「どうかしたのか?」
「いや、この部屋は随分と財宝が少ないと思っただけだ」
「それには同意だけど、それは欲張りって言うもんだぜ」
「そうかもな」
何が起こるか分からない場所にも拘らず、室内で笑いが巻き起こる。警戒心が低いのか、図太いのかは分からない。
「それじゃ今日はここまでだ。全員で地上に戻るぞ」
「「「「「おう!」」」」」
先ほどまでとは比べ物にならないほどの元気のある返事に内心嘆息しながらも警戒は怠らず、千夜を先頭に地上へと戻る。
こうして五日目の探索は終了した。
冒険者たちはドアを見つけたことで喜んでいたが、千夜は渋い顔をしていた。
そのことに気がついた冒険者が尋ねてくる。
「どうかしましたか?」
「色々と可能性を考えていた」
「可能性ですか?」
「そうだ」
千夜の頭の中では様々な出来事が高速で起きていた。
一つは膝まである水嵩のせいでドアが開かない場合。
その前にドアが押し戸、引き戸のどちらかなのか。押し戸で開かない場合は部屋の中も水がある可能性。もしくはドアが錆び付いて開かない場合。
二つ目は、トラップが仕掛けてある場合。
トラップも様々だがドアが簡単に開き、その中から魔物が襲い掛かってくる可能性。電気なのど感電トラップの可能性。千夜が考える最悪のトラップは後者だ。膝まである水でこの場にいる全員が感電する可能性があるからだ。
(やはり斬るしかないか)
部屋の中に水がなく、普通の部屋だった場合、普通にあければ水が流れ込み部屋内の探索が困難になることも踏まえて答えにたどり着いた。
(ま、ドアが斬れること前提だが)
「全員その場で待機だ」
その言葉に疑問に感じた者が数名いたが、不満に感じる者は誰一人いなかった。
千夜はドアの前までくると鬼椿でドア目掛けて一閃して一刀両断にする。
手応えで斬れたと感じた千夜はドアを軽く押して上半分を倒す。
床と激突する激しい音が通路にも響き渡る。
(良かった。どうやら向こうには水が入っていないな)
音と照明で確認した千夜は内心安堵しながら全員を自分の下までこさせる。
「俺がまず入って部屋の確認をする。安全が確保できたら入って来い」
「「「「「はい」」」」」
了承の返事が返ってきたため千夜は下半分のドアを跨いで部屋の中を確かめる。
(トラップらしいトラップはなさそうだな)
原始的なトラップや魔法トラップなどがないか確かめた千夜は入ってくるように言う。
数分して全員が入り終わる。
「それじゃ、探索開始だ。耳に蛸だろうが警戒は怠るなよ」
「「「「「はい」」」」」
その言葉に全員が探索が始まった。
しかし、この部屋はこれまでと違って引き出しらしい引き出しが存在しない。いや、正確にはいくつかあるが片手で数えられる程度だ。
「ぅおっ!」
「どうした?」
一人の男が驚きの声をあげる。その声に全員の視線が集中する。
「引き出しを開けたらまたこいつが出てきたから驚いただけだ」
地面で跳ねるピラニアもどき。
「怪我はないか?」
「警戒してたからな。すぐに対処することが出来たから問題ない」
「そうか」
見た感じ怪我が無いことは分かっていた千夜だが、念のために問いかけた。
「それで、引き出しの中身は?」
「ああ、当たりだ!」
目を輝かせる男。その中には大量の宝石が並んでいた。
(どうやらここは宝石保管庫のような場所か)
内心そう推測した千夜は引き出しを次々と開けさせていった。
全ての引き出しから大量の宝石が発見された。運が良かったのが最初の引き出し以外にトラップがなかったことだ。
「よし、全員一つずつ手にとれ」
「良いのか?ここにベノワさんはいないんだぞ」
「安心しろ。探索する前に許可は貰っている。そうだろ?」
そう言って千夜は秘書に確認をとる。
「はい。ベノワ様から構わないと許可を頂いております」
「だそうだ。最初に見つけたお前から選べ。あとは順番だ。もちろん二つ持って帰ろうとするなよ」
釘を刺しておくことを忘れない千夜。
数分して全員が宝石を手にしたあとは奴隷たちが丁寧に宝石を回収していく。
宝石を見つけたことに喜びを覚える冒険者だが、千夜だけ違った。その事に気がついた秘書は話しかけた。
「どうかしたのですか?」
「いや、これまでの部屋と違って随分と財宝の量が少ないと思ってな」
「確かにそうですが。全て最初の部屋のようなわけではありませんから」
「そうだろうな」
(だが、それだけじゃない。あまりにも魔物の数が少なすぎる。他のダンジョンに比べても出現率が低い。この海底遺跡の製作者の心境から考えればもっと多くてもおかしくはない。それともあの程度で対処出来たか。もしくは他にこれまでとは比べ物にならない門番がいる可能性もある)
内心そんな事を考えていると、いつの間にか回収が終わったのか全員の視線が集まっていたことに気がつかなかった。
「どうかしたのか?」
「いや、この部屋は随分と財宝が少ないと思っただけだ」
「それには同意だけど、それは欲張りって言うもんだぜ」
「そうかもな」
何が起こるか分からない場所にも拘らず、室内で笑いが巻き起こる。警戒心が低いのか、図太いのかは分からない。
「それじゃ今日はここまでだ。全員で地上に戻るぞ」
「「「「「おう!」」」」」
先ほどまでとは比べ物にならないほどの元気のある返事に内心嘆息しながらも警戒は怠らず、千夜を先頭に地上へと戻る。
こうして五日目の探索は終了した。
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